見出し画像

人事管理の理想は「管理しないこと」(インプット備忘録7-1)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

ここ最近は絵描いているか推しの話しているかだったんで、久方ぶりに本業関連のお話をば。

9月より、労働政策研究・研修機構が主催する「東京労働大学講座」を受講しております。

ちなみに…
従来は東京大学の講堂で行われているのですが、こういう社会状況なので今年はZOOMによるオンライン開催となっております(東大行きたかったのでちょっと残念)。

企業の人事担当者や経営者向けに、人事管理・労働経済、労働法などを学びます。大学の先生方が直接教鞭をとってくださるとても贅沢な講座です。

ということで、そこでのインプットを順番にまとめていきたいと思います。
今回は「人事管理の役割と課題」をテーマに前・後編でお送りします!
まずは前編として、そもそもの人事管理について書いていきます〜

◾️人事管理とは

企業経営の一機能であり、支払い可能な人件費の範囲内で必要な労働サービスの需要を充足させることです。

具体的には「雇用管理」と「報酬管理」という2つの取り組みから成り立っています。

<雇用管理>
必要とされる労働サービスを提供できる職業能力を保有した人材の確保、育成、配置

<報酬管理>
職業能力を保有する人材の能力発揮意欲と能力開発意欲の維持、向上

この人事管理においては2つの前提があります。

1.2人以上の組織に発生するものである
 人事管理は管理「する側」と「される側」がいて初めて発生するものなので、屋号があったとしても個人商店などの経営者1人で切り盛りしている組織は、人事管理機能を持っていないと考えます。2つ目の前提にも絡みますが、人を雇って業務を委託することで初めて発生するのが人事管理です。

2.仕事(業務)を起点に発生するものである
 人事管理はあくまでも「仕事ありき」で考えます。

 経営戦略、ビジネスモデルを定める
 ↓
   事業遂行のために必要な仕事(やらなきゃいけないこと)が明らかになる
 ↓
   仕事を遂行するための労働サービス(何をしてもらうのか)が決まる
 ↓
   そのために必要な能力・スキルが定まる
 ↓
   その人材を確保するための諸要件(配置や報酬など)が定まる

上記のように、人を雇う際は経営の根っこからブレイクダウンして考えていく必要があります。
これを、いわゆる「良い人がいるから雇う」と人を起点にしてしまうと経営戦略や必要な労働サービスとの齟齬が起きてしまう可能性があります。

どの企業もお願いする業務を全く考えていないで採用するということは滅多にないですが、任せたい仕事や諸要件が詰めきれていない、ということはよくある話かと思います。

これはまた別の機会に記事にしますが、特に日本は「メンバーシップ型雇用」という曖昧ボーダーレスな雇用を容認する慣習が根強いことも影響しているかなと…

◾️「人事管理」の理想形は「管理しないこと」

人事管理がその他の経営機能と大きく一線を画すのは、扱っている対象が「人間」であるということにあります。

人間は感情を持った生き物であるが故に、例え任せたい仕事をするための能力やスキルが十分にあったとしても、その能力・スキルを組織のために発揮してくれるかどうかは、本人のモチベーションに左右されます。
よって、ただ「仕事と能力がマッチした→じゃあよろしく」というわけにはいかないのです。

また、今持っている能力・スキルをより一層のばそうと自ら学んだり新しい挑戦をするといった取り組みをしてくれるかどうかも、本人がそこに対してモチベーションを持てるかどうかに左右されます。

せっかく仕事と能力がマッチした優秀な人材を採用したのに、思ったようにパフォーマンスを発揮してくれない…こんなはずでは…
対して成果もあげてくれずに辞めてしまった…せっかく高い紹介料払ったのになんてこったい!

みたいなこと、皆さんの組織でありませんか?
(私は何度か見たことあります汗  新卒採用でも中途採用でも)

こういった状況の背景には、もしかしたら彼らのモチベーション上げられていないということがあるのかもしれません(もちろん、本人に原因があることもあるので、決めつけはしません)。

働く人たちが自ら能力を発揮しよう、あるいは能力をもっと伸ばしていこうと思い、実際に行動に移すような状態になるよう働きかけること、それが人事管理の最も重要な機能なのです。この状態になると、第三者から細かい業務指示をしなくても方針だけ渡せば自ら考えて動くことができる状態になります。

具体的には、
✔︎「あなたに任せたい」という期待を伝える
✔︎仕事の進め方など、ある程度の裁量を渡す
✔︎遂行した仕事や成果を、相手が認識できるように評価する

こういった働きかけを日常的に行う必要があるということです。

とすると、実は人事機能は人事部だけが担うものではないということに気づく方もいると思います。

日常的にメンバーの仕事ぶりを観察し、期待を伝え、評価する。
これは人事部ではなく職場・課の管理職に求められる役割なのです。


****

「人事管理=人事部がやるもの」というイメージを抱きやすいのですが、実際は現場のマネジメント職がその役割の大半を担っています。
本社の人事部は、現場の管理職がマネジメントを遂行できるように制度面などで支援することが本来の役割なのです。

ということで、後編では現場の管理職が担う人事管理機能と、人事部の本来の役割について書いていきたいと思います。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?