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能力開発のために個人と組織ができること(インプット備忘録8-2)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

前回の続き!
能力開発管理のお話ということで、前回はメンバーシップ型雇用における企業の責任について書きました。

前編はこちら↓

【前回のまとめ】
 日本企業が従来運用してきたメンバーシップ型雇用には、企業側が従業員の雇用保障、能力育成といった責任を負うことで、柔軟な人員配置や状況に応じて職種を越えた人のアサインが可能になり、業務と業務の狭間にあるような仕事もお互いに拾い合いながら業務を遂行できるという性質があった。
 ところが、バブル崩壊の後遺症、アメリカ型経営の真似っこによる安易な短期志向と成果主義の導入によって日本企業の人事制度はどんどん迷走していき、メンバーシップ型雇用の運用が時代の変化に合わせてバージョンアップできていないことが根本要因であると言える。


後編では、現状を踏まえて私たちはどのように能力開発をしていくといいのか?ということを書いていきたいと思います。

◾️能力開発のために個人ができること

企業側には従業員を守る責任がある一方で、目まぐるしい情勢の変化、急速なテクノロジーの発達に対応しながら事業を存続・発展させていくというのは並大抵のことではありません(これは、今年誰もが痛感したことかと思います)。
どんな大企業でも「安定」を保障できるわけではないこの世の中で健やかに生きていくためには、企業にも個人にも「能力開発」を行っていく責任があるのです。

一昔前は誰もが欲しがっていた商品・サービスが時を経て見向きもされなくなってしまうように、能力・スキルもその時代の需要変化によって価値が変動します。
商品で言えばカメラのフイルム、スキルで言えば漫画の写植貼り等が分かりやすい例ですね。

必要とされる人材であり続けるためには、世の中の需要を満たす能力を開発し続けていかなければなりません。そのためには次の2つを意識することが大切です。

・必要とされている能力を見極める
 →新聞、ニュースをヒントに世の中の動向にアンテナを張り、自分がいる業界や組織にこれから必要とされる能力を予測してみる。

・自分の中にある様々な経験を活用する
 →仕事経験を棚卸しし、自分が持っている能力を言語化してみる。
  言語化してみることで、いま足りていないものも明確になる。

また、気になるものはとりあえずやってみる、飛び込んでみることで自分の新しい可能性や選択肢が広がっていくこともあります。そういった偶発的な出来事も能力開発のファクターになったりします。
機会を自ら引き寄せていくために、以下のようなことに取り組んでみるとよいでしょう。

・新しいことをやってみる
・いつもとは違う場所に身を置いてみる
・議論する
・疑問を持つ
・頼まれたことは何でも引き受けてみる

私自身どうだったかなと考えてみたら、「いつもとは違う場所に身を置いてみる」と「頼まれたことは何でも引き受けてみる」が今の自分に大きな影響を与えているなと思います。

前任から新卒採用を丸投げされた時に「いや、自分には無理です」って突っぱねていたら、人事としてのキャリアなんて思いつかなかったですし、この東京労働大学の講座も受けていなかったと思います。まさに、とりあえず引き受けてやってみたからこそ今のキャリアがあるパターンですね。

「いつもとは違う場所」は、私の場合noteです。
イラストが描ける「だけ」だったのが、noteで発表することを通じて自分のイラストを振り返る機会になりましたし、note経由で知った「グラフィックレコーディング」にも挑戦するきっかけをもらいました。

◾️能力開発のために組織ができること

企業は、上述したような個人でできる能力開発のための取り組みを支援する仕組みを作ることが求められています。

従業員一人ひとりが自分なりに能力開発のために新しいことに取り組んだり、現状に疑問を持って投げかけてみても、それを制限したり否定していては、せっかくの能力開発の機会を阻害してしまうことになってしまいます。

・現場メンバーが自ら挑戦しようとしていることを業務・精神面で支援したり、逆にこちらからメンバーに「こういうのやってみたら?」と提案する

・社外で学んだこと、獲得したスキルを社内で活用できるような環境を作る。

こういったことが自然にできるような雰囲気を作れると、メンバーもやってみようという気持ちになって自ら動いていくことにポジティブになれます。
そういう意味でも、昨今の複業や兼業の推進は今後キーになってくるのではないかと思います。

弊社でもまさにこういった取り組みを結構やっておりまして。
社長やマネジャーから現場メンバーに「このワークショップ行ってみなよ」と声をかけたり、私のグラレコのようにしれっと社内でやり始められる環境があったり。ちなみに、弊社は副業OKで、個人でビジネスをやっている人もちらほらいます。

安定した雇用は約束できなくても、企業側の運営次第で面白い仕事や働く人の成長機会といった「攻めの雇用保障」を約束することはできます。
自社が従業員に提供できるものは何なのか、そのために整備しなければいけない制度は何か、という視点で組織づくりをしていくことが必要になります。


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この時の講義で印象的だったのがこの言葉。

目指すべきは“人財”(宝)
現実にいるのは“人材”(リソース)
人事管理の失敗から生まれるのは“人在”(ただ在るだけ)
職場の人間関係構築に失敗すると“人罪”(人が悪影響を及ぼす)

誰だって最初から周囲に悪影響を及ぼそうと思って仕事をしているわけではありません。そのような状態になってしまったのは、100%本人だけの責任ではないのです。

いつか“良い人“が来てくれると将来に夢を見るのではなく、今この職場にいる目の前の人に活躍してもらうにはどうすればいいのか?という視点に立つことが、能力開発の大切な最初の一歩なのです。

組織で働く人、一人ひとりがアップデートし続けられる場を提供していく。
それが、企業と人事のミッションであるということを改めて心に刻んだ講義でした。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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