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【集の本棚】君は初恋の人、の娘

あふれ出る、抑えられない感情にあてられてしまいました。
次のページをめくる手が止められない!

著:機村 械人
イラスト:いちかわはる
出版:GA文庫

あらすじ

『イッチの話は面白いね。』
小さい頃の初恋の人を未だに忘れられない28歳仕事人間の店長、釘山一悟。仕事はできるし、人望も厚く社会的、経済的に潤ってはいても、恋愛に関しては前向きになれない彼の前に彼女は現れる。昔生き別れた初恋の人、朔良に瓜二つな15歳女子高生、星神ルナ。
ある夜、酔っ払いに絡まれていたルナを助けた、一悟。「よろしければ...……お礼がしたいです。」戸惑いつつも話を聞くとルナは朔良の娘だと知る。
「釘山さんは、心の中で慕い続けてきた、理想の人だったんです。」
そんな初恋の人、の娘から告白された一悟は、朔良戸の思い出を重ねてしまい、朔良の印象にはなかった行動力に振り回されていく。

倫理的にも、社会的にも、今は想い的にも許されない、が
止められない溢れ出る熱い想いに、”二度目”の初恋が始まる。

星神ルナ

「私を恋人にしてくれますか?」
一悟の初恋の人の朔良に瓜二つの高校1年生。彼女は朔良の実の娘で、母である朔良から、昔話を聞いていた。
昔話に登場するイッチこと釘山一悟にルナは淡い憧れをいただくようになる。そんな一悟と出会い、さらに想いを寄せていく。今まで世間体では真面目な優等生であるが、張りつめていた糸をほどいていくように一悟の前では年相応の愛らしい表情や、小悪魔的ないたずらを魅せる。

15歳、そんな彼女が経験するにはたぶんかなりの苦労があり、しっかりしなきゃと頑張って優等生してきて、やっと甘えられるような人に出会えたのは、本当に良かったなと思います。世間体的に怪しまれないようにとギリギリのラインで行動して一悟のことをからかって楽しそうにしている描写があり、読んでいるこっちもとてもハラハラしますし、そういう年相応の笑顔を見せる女の子はとても魅力的だなと思いますね。

釘山一悟

「はは……それは是非ともお願いしたいね.……」
大型ホームセンターでも売り上げ上位の店長を務める仕事ができる器用で真面目な性格の釘山一悟。28歳。昔好きだった、今でも好きだと思う、朔良にそっくりな朔良の娘、ルナを助けた夜。酔った冗談でルナの返答してしまう。常識的にも、社会的にも、28歳が一回り以上離れた15歳の高校生と一緒になれる訳がないだろ。と真面目な思考が働くもルナに迫られ、困惑しつつも彼女に魅かれていく。

「...……僕は、君に朔良を重ねていた。」たとえ今が、きっかけがそうだとしても、朔良さんには朔良さんの、ルナさんにはルナさんの性格があり、そんなこと言ったら火に油を注ぐようにもっと恋心に火をつけてしまうだろうと思います。わざと?(笑)
初恋の人が家庭の事情でいわば政略結婚してしまったが、その人が結婚した相手とも幸せにしていて自分のことも想って娘に話してくれていたというのは、かなり嬉しい事ではないかなと思います。ただ、やはり少し寂しいですし、相手には先立たれ、娘を残していった朔良さんの事を考えると、難しい気持ちになります。
困惑しつつも朔良の娘、星神ルナさんに振り回されて魅かれていく一悟さんを見ていて、(いいな~とも思いつつ)がんばって幸せになってください店長!!と思いました~
一悟さんの店で自分も働きたい……

朔良

『イッチの話はいつも面白いね』
一悟より3つ年上で、大きな家業を営むお嬢様。一悟のことを弟のように可愛がり、一悟の手作りのプレゼントやお誘いをとても嬉しがっていた。そんな一悟にとっては初恋の人。16歳で婚約者と海外に渡り、それ以来一悟とは疎遠になる。婚約者との間にルナを出産し、円満な家庭を築いていたが夫には先立たれ、女手一人でルナを育ててきた。よくルナに一悟との思い出話表情かせていた。数年前に事故で亡くなってしまう。

人当たりもよく負の感情を表に出さない、憧れのお姉さんという感じ。そんな幼馴染の彼女に恋しないわけがない。その当時の自分が彼女に、本当に喜ぶことができていたのだろうか、何か抱えていたなら相談してほしかった。でもその時の自分にはなにも力はなく、結局何もできなかった。そんな後悔を一悟さんがしていて胸が痛くなりました。
作品を通して、ほんとに朔良さんは芯のつよい、人なんだろうなと憧れました。

最後に

レビューでもチラっと見たのですが、「優しいね、イッチ」その言葉が一悟さんを優しく縛っているというのは、しっくりくる表現だなと思いました。個人的には、当人同士が幸せなら、もう何も考えず幸せになれよっ全力でできる事はしてやるから!!という考えなんですがw 当事者になったらやっぱり思い悩むんだろうなと思います。将来有望な仕事人間にとって社会的に考えられないような年の差の恋。そのうえ、”初恋の人朔良さん”と”初恋の人、の娘ルナさん”を重ねてしまい誠実じゃないのではと考える一悟さんの苦悩や、それでもと想いを寄せるルナさんの描写がとても丁寧で大好きです!そんな素敵文章を執筆してくださった、機村 械人さん。そしてあとがきとも被るようですが、ルナさんの制服、私服、作業着、寝間着に笑って楽しそうな表情、涙を流し悲しんでいる表情、一悟さんをからかっている小悪魔的な表情など素敵すぎるイラストでさらに彩を見せてくださったいちかわはるさん。
そして、この作品を僕たち読者まで届けてくださった、編集者の方々、校正、印刷所、書店の皆様方、本当にありがとうございます!
とてもいい物語に出会うことができました。

そしてそして、拙い文章ですがここまで読んでくださった皆々様、本当にありがとうございます!もしよろしければ、「君は初恋の人、の娘」を手に取っていただければ一読者としても、とても嬉しいです。
ぜひ、noteやTwitterなどで感想を語り合いましょっ!!!
コメントも待ってます!

それでは、またどこかの物語で逢いましょ。

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