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【読書感想文】ブルーマリッジ

「明け方の若者たち」の作者カツセマサヒコさんの三作目となる長編小説です。

──出逢って八年。付き合って六年。同棲を始めて二年。もう僕らのあいだに、新鮮な出来事はほとんど残されていない。                                     いつものスペインバルで年上の彼女にプロポーズした青年・雨宮守。長年連れ添った妻に離婚したいと告げられた中年・土方剛。世代も価値観も正反対だった二人の人生は、社内のある疑惑をきっかけに、変化し始める。夫婦であること、家族であること、働くこと、生活すること、傷つけること、生きること。
 過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、それでも光を求めて彷徨う者たちの物語。

本書紹介文 帯より

カツセマサヒコさんの公式LINEを登録していて、LINEが来てた。

「今日発売です!よろしくお願いします!」

仕事が早くおわったから、その足で書店へ向かい、さっそく手に取った。読み始めたら止まらなくなってしまった。スイスイと、スラスラと。

守はきっと、「今どきの若者らしい」というと、ジェネレーションハラスメントになるのかもしれないけれど、新しい価値観で育ってきている。
私の育ってきた社会では、きっと土方剛の価値観でいる世代が多かったから。

私の嫌いな価値観。

物語は、『結婚』を通して、その男女のあり方や、家族の形、昔と今のワークライフバランスが見えてくるのだけれど、とにかく、土方剛の言動に読んでいて腹が立ってきてしまった。

嫌いだ、本当にこういう人。

けれど、ここまで酷くはなくとも、こんな風にハラスメントと声高に言われる世の中になる前まではきっと、結構そこここにいた。
「俺の若い頃は...」
「私たちの若い頃は...」
「今の若い奴らは根性が...」
「これだから女は...」

私の父や、そのまわりのおじさんたちの口からもそんな言葉をよく聞いていた。仕事終わりに「飲み」に行けば、お酌をして、長々と同じ話ばかりをするおじさんの機嫌を損ねないよう相槌を打った。ロンリーチャップリンも、三年目の浮気も、デュエットしたりしていた。

『そうやって仕事をするものだ』
『人間関係というのはそうやって築くものだ』
『女は愛嬌だ』

そういう時代は、確かにあった、のだけれども。
ずいぶんと昔の話だ。


テレビも、携帯も、車も、あの頃から、何度もモデルチェンジをしている。世の中は、すっかり変わったのに。『結婚』や『家族』や『上司』に見る価値感というのは、なかなかアップデートされていかない。

私が結婚したころ、とても辛かったのは、

『結婚は2人の問題じゃない 両家の問題です』

と、全員から言われていたこと。
私と彼が良くても、周りが納得しないでしょ、と両家の親戚中一軒一軒をまわったりしていた。
そして、子供はまだか?一人産まれれば、二人目はまだか?家はまだか?

守のように、嘔吐したかった。

あれから20年以上もたっているのだから、

『結婚』は二人の問題でいい。
二人で、生活を続けていけたらいい。
本当にもっと、シンプルでいい。

私も加害者にならないように気をつけよう。


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