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自己紹介代わりに、好きな映画と作家

このnoteでは主に『映画』と『SF小説』の感想や考察を書いています。
好きな映画と作家をチラッと紹介するので、趣味が合致する方は、ぜひ他の記事も見てやって下さい。

映画はそのとき劇場公開していた映画のレビューになります。
元ネタ解説とか、情報を引用しただけの記事は書きません。なるべくオリジナルがモットー。てか映画の感想はそうあるべき。

読書ペースが割と遅いので、SF小説は映画より緩やかな更新。


好きな映画

DUNE 砂の惑星

デヴィッド・リンチ版ではなく、2021年のドゥニ・ヴィルヌーブ版。
『2001年宇宙の旅』がそうであるように、『DUNE』もまた、SFのビジュアル表現を更新した作品だと感じる。

一番は光の使い方。
自然光あるいは自然光を模したCGが使われており、尋常じゃない”そこにある感”を醸し出す。

どえらい映画作ったな。というのが初見の感想。
まだ前半のPart1しか公開されていないため、評価は保留となるが、近年見た映画の中では最高峰の出来。

ドゥニ・ヴィルヌーブ監督は最前線で活躍する映画監督の中でもぶっちぎりに好きな存在で、アートとエンタメを融合させる稀有な監督だと思ってます。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

押井監督のリアリズムは、劇映画的でジブリの真逆のスタイルと言ってもいい。少佐が壁を伝ってジャンプし着地した瞬間、地面にひびが入る。全身サイボーグの重量感を表現する。

構図へのこだわりが尋常でなく(動きも含めて構図)、鬼のような要求に対して、描かされるアニメーターは泣くしかない。
パトレイバー2とイノセンスの演出ノートを見て驚くのが、背景や小物、人物の構図に多重の意味を含ませ、見かけ以上の情報量を演出していることだ。

ここまで緻密に組み立てられているとは思わなかった。
アニメーションという表現方法は作り手が描いたものしか画面に映り込まないため、象徴や構図、モンタージュといった映像言語で勝負するなら、実写映画より純粋な形態なのかもしれない。

リアリティのあるSF世界の構築と言った点で、何から何まで完璧に成し遂げた作品だと思う。演出やヴィジュアル、哲学的なテーマまで、ずっとクールであり続ける存在。

ニキータ

これと『レオン』はセットで一つ。
両方好きですが、ニキータの方を。

『ニキータ』と『レオン』は、アクション映画なのですが、キャラクターの日常の描き方が丁寧で、過激な戦闘シーンとの対比が鮮やかで胸を掴む。

リュック・ベッソンが描く戦うヒロインは、男まさりなマッチョではなく、普通の女子だったりするのが常だ。
ニキータも初めはヒットマンとはほど遠い性格で、ガサツな少女だった。
そんな彼女が殺し屋として生きていく中で、恋をして女になっていく。

日常のかけがえの無さは、凄惨な殺しのシーンがあることで、より深いものになり、外連味のあるアクションシーンは、静的な日常のシーンの反動としてダイナミックに描かれる。

こんなにかっこよく、可愛く、おしゃれなアクション映画を私は知らない。

ブレードランナー

ブレードランナーの魅力はなんと言っても、過剰なまでに溢れる”物“へのフェティッシュに尽きる。ヘンテコなものが画面上を埋め尽くし、キャラクターさえも背景物と化してしまう異常ぶり。

退廃的な未来を描いた映画だと思われがちだが、私はそうは思わない。
2019年の架空のロサンゼルスは、ゴミは多いけど、人で賑わっていて、お祭り状態といっても過言ではない。

ヴァンゲリスの音楽が象徴するように、ロマンチックで美しい世界だと思っている。レプリカントのロイが放つセリフには詩情さえある。

お気に入りの画集を眺めるような、うっとりとその世界に浸る楽しみがこの映画にはある。

好きな作家

伊藤計劃

『虐殺器官』は高校生のとき読んでぶっ飛んだ小説。
そのままSF小説の世界にハマっていくきっかけをくれた作品でもある。

日本の作家が外国を舞台にした本格的なエスピオナージュを書いてるというのがまず衝撃だった。世界観は攻殻機動隊よりも先をゆくポストサイバーパンクな感じになっていて、近未来の様々なテクノロジーが縦横無尽に展開する様は、知的な興奮をたっぷり感じさせてくれる。

これと『ハーモニー』の二つの代表作で語られる伊藤計劃の人類観は、『サピエンス全史』などで脚光を浴びたハラリの哲学を先取りするものである。最前線のSFとして清心な魅力に満ちていたのだ。

文体は視覚的な描写に優れ、戦闘シーンの臨場感には底知れない筆力を感じさせる。
リアリスティックで、ハードサイエンスを駆使した小説だが、人物の内面をエモーショナルに仕上げているのも、心憎い。

ブログなどで映画の評論も書いていて、作者自体が既に面白くてアホな人間なのが最高だ。亡くなってしまったのが本当に惜しい。

ジョン・ヴァーリィ

ハードSF的なアイデアを使って、あっと驚くワンダーに満ちた世界を構築する一方、キャラクターの孤独や喪失感といったものを美しく叙情的で、少し切なく描き出す。センス抜群の天才作家。

ヴァーリィはヒッピーだったようで、その影響か、あっけらかんとした自由さが全体にある。SFに未来や可能性を感じさせてくれるのも好きなところです。

おすすめは早川書房からでている『逆光の夏』です。傑作選です。

下の記事でも詳しく語りました。
ヴァーリィの八世界では性転換が自由自在で、登場キャラは服でも着替えるみたいに、男になったり女になったりする。初めはこの設定を、ジェンダーの視点で読んでいたのですが、実はそうじゃなくて、ヴァーリィの変容メタモルフォーゼに対する愛着なのではないかと、思い始めています。


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