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仕事を辞めてから何もかも変わってしまった 【靴の底 #22】

昨年の今頃、仕事の繁忙期がようやく過ぎ去り、あーこれで早朝3時起きから抜け出せるのか〜とか最終の満員電車に揺られて思ったりしていた。

閑散期に入ったらゆっくりしようとか思っていたら、社長が大変な案件を取ってきちゃって、そんなん絶対ムリ!繁忙期後に、これはキツイ仕事だって!と思いながらも、NOと言えない私はどんどん仕事を引き受けて、早朝から深夜までの仕事に追われながら、真夏の40度近いグラウンドでの撮影中に熱中症になって緊急搬送。

家で3日間自宅待機になったけど、出社の日に体がどうしても言うことをきかず、動けなくてそこから休職。そのまま病気療養のために退職になった。

制作の仕事は大好きで、仕事に関わるクリエイターからも信頼をもらってたけど(たぶん)、一度体調が悪くなってしまったせいで、体力が戻らず「今までの疲れが出たんだよ。もう戻らないほうが良い」とお医者様にも言われた。

「退職」という言葉がとても重く、もう自分は何もできない。せっかく積み上げてきたキャリアが落ちちゃったと思う日々で家からも出れず、婚約したての旦那にも「こんな無職のヤツと結婚しちゃダメだよ」と伝えるほど、自信は地に落ちてた。

ただ旦那は「きみが美味しそうにご飯を食べている姿が愛おしいんや」と無職期間に結婚。本当に奇特な人だと思った。

仕事をしない。
そんな日々は意外と慌ただしく、クリーニング屋を営む母親がやたらと外国人留学生を我が家に送り込むようになり、彼らに日本語を教えたり、一緒に外に遊びにいくようになった。

鎌倉へ引っ越したい!と思い立ち、鎌倉通いをしながら家探しをし、引っ越し準備に追われ、越してきたと思ったら東京とは些か違う環境にワクワクが止まらず、日々散歩をし街巡りをする。

さらに、とても有り難いことに保護猫の預かりボランティアをすることになった。
すると猫つながりで人と人の縁が繋がり、仕事とは違う、猫を通しての交流がはじまった。

学生時代から社会人として働いてきて、何もかも自分のために生きてきた私が誰かの世話をしたり、小さい命のボランティアをするなんて、思いもよらなかった。

あのとき、炎天下のグラウンドに倒れたとき、「あ・・・仕事・・・仕事しなきゃ・・・くそ、社長・・・あいつのせいで・・・」とか思ってたのに、半年以上過ぎた今、「預かり猫ちゃん早く来てほしいなぁ」と優しい気持ちでいられる。

仕事を辞めてから何もかも変わったけれども、働くことを諦めたくない。
今、家の中で猫と過ごしながらできる制作の仕事にチャレンジしたいと思うようになってきた。

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