今日から実践!バリュープライシングとは?
こんにちは。
SYNCA合同会計事務所 共同代表の平川です。
前回の記事では、プライシングの概要についてお伝えしました。
今回は、その中でも「バリュープライシング」にフォーカスをしていきたいと思います。
宜しければ是非ご一読下さい。
◆この記事を読んでほしい人
◆この記事を読んでわかること
はじめに
価格戦略の一つである「バリュープライシング」は、製品やサービスが顧客に提供する「価値」に基づいて価格を設定する方法です。
これはコストや競合の価格に依存しない点に、大きな意味があります。
つまり、顧客が感じる価値に基づいて価格を決定するアプローチなのです。
中小企業にとって、特に差別化が重要な市場では、この価格戦略が経営に大きな影響を及ぼしますので、ご参考になれば幸いです。
バリュープライシングのメリットとは?
バリュープライシングのメリットはいくつかありますが、ここでは以下の3点にまとめてみました。
メリット1 顧客視点で利益率を向上
バリュープライシングは、製品やサービスが提供する価値に基づいて価格を設定するため、原価や経費を主眼に置かず、顧客視点で自社の商品サービスを見直す思考へ変化します。
値決めをする際、どうしても「原価がいくらかかるから~」(コストプラス)、「他社がこの価格をつけているから~」(競合視点)として、そちらに目を奪われてしまう傾向があります。
しかし、そうした制約を一度取り払い、純粋に「顧客にとってどうか?」という視点で見ていく考え方です。
視点が変われば、行動が変わります。
その結果、よりよい商品サービスが生まれ、結果として利益率を高めることにつながります。
メリット2 ブランド力の強化
価値に見合った価格を設定することで、ブランドのポジションが明確になります。
顧客はその価格を通じて「高品質」「専門的」「信頼できる」といったブランドイメージを形成しやすくなり、自社の商品サービスを本当に提供したい顧客がさらなる顧客を呼び込むきっかけとなるでしょう。
メリット3 顧客のロイヤリティの向上
価値を重視した価格設定は、顧客の期待に応えるサービスを提供することを意味します。
これにより、顧客の満足度やリピート率が向上し、長期的な関係を築くことができます。
その結果、経営基盤が構築され、安定した事業運営を行うことにつながるのです。
実践するためのステップとは
では、実際にどのようにバリュープライシングを取り入れていけばよいか、そのステップをみていきましょう。
1.顧客が求める価値を理解する
まずは、ターゲット顧客が何を重要視しているのかを理解することから始まります。
中小企業の経営者は強い想いがあって起業された方ですから、御自身の想い(こういう商品を作りたい、こういうサービスを提供したい)という自社視点が非常に強い傾向にあります。
同時に、ライバル企業へのリサーチも欠かさないため、競合分析もされています。
しかしながら、その視点が強すぎてしまうと大切なものを見落とす結果となります。
それこそが、自社の顧客は誰なのか?という視点です。
また、その顧客は何を求めているのか?、ここを考えることからバリュープライシングは始まります。
具体的には、自社の顧客は「品質」「デザイン」「使いやすさ」「サポート」「スピード感」など、どの要素に価値を感じるのかを一度立ち止まり、把握しましょう。
顧客は御社のどこに価値を感じていると思いますか?
社内でグループワークをするのもよし。
顧客にアンケートをとり比較するのもよし。
まずは「どんな顧客にどんな価値を提供したいのか」を明確にしましょう。
2.競合との差別化を明確にして、”伝える”
自社の製品やサービスが他社と比べてどのような点で優れているのか、その価値を顧客に伝える必要があります。
ここでのポイントは、他社との競合優位性を把握することではなく、それを顧客に適切に伝えられているか、という点です。
中小企業の場合、残念ながら、この点がうまく伝わっていないケースが多いように見受けられます。(分かる人に分かればいいと思っているなど)
顧客に価値が伝わらなければ、判断基準が目に見える価格(同じものなら安い方がよい)となるのは自然の摂理です。
これでは、一向に安売りからの脱却ができません。
この競合優位性を顧客に伝えることができれば、高価格でも顧客に納得してもらいやすくなります。
例えば、パッケージングや説明資料、ウェブサイトやSNS、YouTubeなどを通じて、価値を視覚的に訴えることも効果的です。
顧客が価値を感じていることを、どうしたら最も伝わるでしょうか?是非、検討してみてください。
3.価値に見合った価格設定を行い、フィードバックを繰り返す
製品やサービスが提供する価値に基づいて価格を設定し、その価格に見合った魅力を伝える工夫をしましょう。
去年流行ったものが今年も流行ることは少ないように、消費者ニーズの変化は日増しに早まっています。
経営者の頭の中で考えるだけでなく、実際に価格設定を行った後は、顧客からのフィードバックを活かして、価格と提供する価値のバランスを調整することが大切です。
定期的に顧客の声を聞くことで、価値の再定義やサービスの改善につなげることができます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
私はバリュープライシングこそ中小企業が取り入れるべき価格戦略だと考えています。
バリュープライシングの成功には、提供する価値を的確に伝えることが非常に重要です。しかし、顧客のニーズと価格のバランスが取れていなければ、失敗に終わる可能性もあります。
「この商品やサービスを買うと、顧客にどのような価値や利点があるのか?」を一度実際に紙に書き出してみることをお勧めします。
バリュープライシングは、顧客に「この価格でこれだけの価値を手に入れられる」と、感じてもらうことが鍵です。
顧客が本当に価値を感じるものに焦点を当てて、価格戦略を再考してみてはいかがでしょうか。
SYNCA合同会計事務所では、税に関する相談、経営相談、資金調達のご支援なども行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。