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資金繰りを意識していますか?

はじめに

こんにちは!SYNCA合同会計事務所 共同代表の吉井です。
皆さんは「黒字倒産」という言葉を聞いたことはありますか?
黒字倒産とは文字通り、黒字、すなわち利益が出ているのに倒産することをいいます。
利益が出ているのになんで倒産するのか。今回はキャッシュフロー経営の重要性についてお伝えしたいと思います。


◆この記事を読んでほしい人

・月末の資金繰りに悩まれている方
・これから事業を始めようとされている方
・会社の経営を安定されたい方

◆この記事を読んでわかること

・利益とキャッシュの違い
・資金管理の重要性
・資金不足にならない方法

利益とキャッシュの違い

こんな言葉があります。

利益は見解にすぎず、キャッシュは真実である

この意味がわかりますか?
利益は損益計算書で表すことができますが、作る人によって数字が違うことがあります。
例えば減価償却の方法ひとつをとっても、定額法や定率法が認めれており、どちらを採用するかで利益は変わってしまいます。
一方、キャッシュである現預金は、誰が通帳記帳をしに行こうが数字が変わることはありません。
会社の経営状況をよく見せようとするときに、利益を多少操作することはできますが、現預金を帳簿上操作することはできないのです。
このことからキャッシュは偽ることができず、真実を表すと言われています。

キャッシュフローを意識する

会社が倒産するときは、赤字になった時ではありません。
キャッシュが底を着いたとき、つまり資金ショートしたときになります。
特に業績が良く事業を拡大している時ほど、獲得する利益以上の資金が必要になり、倒産のリスクが高まります。
会社を倒産させないためには、キャッシュフローを意識した経営が重要となってきます。

2つの資金

会社の資金需要には大きく分けて2つあります。
それは「運転資金」と「設備資金」です。

・運転資金
商売をするときは、モノを仕入れて、販売し、その代金が入金するまでにタイムラグがあります。このタイムラグ分の資金を運転資金といいます。
貸借対照表でいうと、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」で計算できます。


昨今では、キャッシュレス決済が主流です。消費者側では大変便利ですが、事業者側としてはすぐに入金できないため、経費を前月以前の売上分から賄うことがざらにあります。

・設備資金
設備資金とは、生産能力の拡大や古くなった設備を更新するために行う投資資金のことを言います。
店舗型のビジネスの場合には内装工事や保証金などの多額の設備投資が必要です。
立地選びでミスってしまうとどんなに良い商品で合っても、その後の頑張りで挽回することはほぼ絶望的となってしまいます、、、。
(いつも利益を出している知り合いの飲食店の社長は、「経営は味やサービスじゃなく、いかに良い条件の物件を取れるかだ」と言っていたの印象的です。)

資金繰りがショートしないために

資金繰りの対策として、まずは資金繰り表の作成が基本となります。
これにより、1年間の資金の流れを把握し、通常の状態だといくら資金を確保すれば良いのか確認します。
例えば、受注が減ってきて3か月後に売上が半減してしまうと見込まれる場合に、固定費を賄うために資金がいくら必要なのか。
事前にわかることができれば、金融機関に相談したり、広告費などの攻めのコストを削減して資金流出を極力防ぐ対策を打つことができます。

最後に

経営者が資金繰りに奔走している状態では、会社の経営に必要な戦略立案に集中することが困難になるため、負のスパイラルに陥りやすいです。
特に、せっかく良い商品やサービスを提供していても、資金管理が甘いことによって、黒字倒産してしまうことほどもったいないことはありません。
利益を追い求めることは大事ですが、キャッシュを意識することはもっと大事なので、この不確実な経営環境の中、多少の想定外で傾かない経営を目指しましょう。