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伊根町探訪記(①舟屋で学ぶ経済学)

京都にある伊根町というところに旅行に行った時の話です。

伊根町は京都の北にある町で、人口2000人の小さな町です。
(伊根町のGoogleマップのスクショを貼ります。この記事では「伊根の舟屋」について①として書き、「浦嶋神社」について別途②として書きます)

伊根町

伊根町を知るきっかけになったのは千鳥の相席食堂(2019年10月22日放送)でした。野性爆弾のくっきーが「日本のベネチア」とも呼ばれる伊根町を散歩するのですが、その様子がなんとも風流で、ここに行ってみたい!と思い立ち、夫婦二人旅をすることになりました。

伊根町の舟屋とは

伊根町では、昔から漁師さんたちが伊根湾に面して家を建て、一階を舟置き場、二階を居住空間として利用しています。そのような家を舟屋と呼ぶのですが、230もの舟屋が伊根湾を囲むように軒を連ねており、その景色は国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。実物はこんな感じ。

伊根町の景色 (1)

舟屋に泊まれます

こんな素晴らしい景色がみれる伊根町では、舟屋に泊まれちゃいます。
私たちが泊まったのは、「風雅」さんで、下のリンクを見ても分かるように、伊根湾を一望できる露天風呂付きのお宿なのです。
http://ine-kankou-jp.check-xserver.jp/wp/inn/fuuga

宿泊施設の景色 (1)

露天風呂をお部屋の中から見るとこんな感じ。海が目の前にあって、とてもゆったりとした時間を過ごせます。

割烹の大将の話

こんな感じで、海に面した穏やかな観光地なのですが、ご飯は勿論魚介です。宿の近くにある割烹、海宮(わだつみ)さんでご飯を食べてきました。
http://funayabiyori.com/food/
店内はカウンター形式になっているため、大将が魚を捌いたりするのを見ながらご飯を食べます。

お刺身 (1)

どの料理も美味しくとても満足したのですが、伊根町のご出身だという大将がお話をしてくれたことが印象深く、興味深かったので対話形式で記そうと思います。(私の記憶ベースなので、若干の脚色があると思います。)

大将:(伊根町は)魚なら基本的になんでも獲れますね。でも昔に比べると、漁師さんの数は減ってますね。昭和の頃はたくさんの船が毎日出てましたが、今伊根町から漁に出てる船は5隻くらいじゃないですかね。

:少子高齢化の影響なんですかね。でも、日本の人口は昭和からずっと増え続けてきていて、人間の胃袋自体は減っていないとすると、主な原因は何なのですかね?

大将:海産物の事業というのは、獲った魚をそのまま食べるものとして卸すこともありますが、練り物なんかの加工食品の材料として売ったりもする訳ですね。イカを例に話をしますと、伊根町ではイカがよく獲れるので、昔はイカを材料として売っていた訳です。しかし、80年の頃に円高になったでしょう。あれから、加工食品の材料なんてのは輸入して外国から買ったほうが安い、ということになって売れなくなったんですよ。

:円高ですか・・・。なるほど。

舟屋で学ぶ経済学

日本は戦後、1ドル=360円の固定為替相場制のもとで輸出産業を伸ばしたことなどによって、高度経済成長を達成したと言われています。
しかし、1985年のプラザ合意に始まり、ドル円相場は次第に円高となりました。日本の長引く低成長は、円安に比べて輸出が不利になることから、円高に端を発していると言われています。

大将の話で興味深かったのは、輸出が減ることによって産業が衰退するのではなく、安い輸入が増えることによって産業が衰退するということです。
日本がコメなどの農産物の輸入に関税をかけて保護してきたことなど、よくよく考えてみれば当たり前のことなのですが、それを目の前にいる人から聞くと、それがとてもリアルに感じられました。
大将が教えてくれたのは、源材料としてのイカは品質ではなく価格が重視され、その結果、円高で価格競争力を持つようになった輸入品のイカに伊根町のイカが競争で負けたというお話でした。

話は脱線しますが、私はいわゆるミレニアル世代(日本風に言えばゆとり世代)です。小さい頃から「グローバル」、「自由化(規制緩和)」、「効率化」といった言葉をよく聞いてきました。また生まれた時からデフレなので、安くモノが買えることは良いことだと思って生きてきました。
しかし、働き始めて経済の仕組みを実感を持って勉強する中、規制緩和も効率化も、やればやるほど良いってもんじゃないなと思うようになりました。また、安いということは、働き手の収入減の裏返しでもあるということを、長引く停滞する日本経済を見ていて強く思うようになりました。現に、安い輸入品のイカが入ってきたことで、漁師さんは以前ほど売上をあげられなくなってしまったのです。
新自由主義的な考え方に則れば、「競争に勝てない非効率な業者が市場から撤退するのは自然なこと」ということなのかもしれません。しかし、市場から撤退した事業者の消費(所得)が市場から消えてしまうことは、経済全体で見ればマイナスではないでしょうか。近いうちにこの辺の考えをどこかにまとめようと思います。

とにかく伊根町は最高です

脱線が長くなってしまいましたが、とにかくこの記事で伝えたかったことは、伊根町が最高だということです。コロナが明けたら皆さんこぞって伊根町にお越し下さい!!

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