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Vol.1|ウェビナーはオフラインイベントの代替ではないという話

はじめまして。
オンラインイベント配信、イベント運営支援を提供しているシンフォニティ株式会社代表の岩井です。がんちゃんと呼ばれております。

このnoteでは、初めてオンラインでイベントを開催する方、オンラインイベント企画/運営担当になりたての方が、俯瞰的にイベント運営ができるよう、今まで数百回以上セミナーやイベントを企画、開催してきた知見をもとに、まとめてみました!

また、今回のnoteでは文字数の関係でセミナーやイベントを、オンラインで映像配信することウェビナーと呼んでおります!

株主総会や大型カンファレンス、採用イベント、コミュニティイベントなど、オンラインで開催するセミナー/イベントは、このnoteで定義するウェビナーに該当します。

全5回でお届けしていきますので、お楽しみに!

Vol.1|ウェビナーはオフラインイベントの代替ではない
→この回ではウェビナーを開催するにあたっての概論をご紹介します。
Vol.2|ウェビナー運営の全体の流れ
→ウェビナー運営全体の流れを時系列順でご紹介します。
Vol.3|ウェビナー企画で絶対に教えたい3つの数字
→ウェビナーを成功させるために必要な3つの数字についてご紹介します。
Vol.4|目的にあった集客/配信ツールの選び方
→Zoom/YouTube/EventHub/Peatixなど様々なツールの選び方を紹介します。
Vol.5|ウェビナーの品質が自社のブランディングとなる時代
→まとめ

簡単な自己紹介

私は元々ユーザベースグループのFORCAS事業(当時は株式会社FORCAS)の立ち上げ期にインターンとしてマーケティングチームに所属していました。2018年当初は3人しかいないイベントチームでひたすらセミナー運営を回しておりました。

当時の様子は、私の元上司でユーザベースのCMOでもある酒居さんがnoteに記載しております。酒居さんの記事は企画やターゲティングにおいて非常に参考になります。是非皆さん読んでみてください。

その後、NewsPicksの法人向け新規事業、NewsPicks for Businessのマーケティング立ち上げを行い、CRM/SFA、MAツールの構築やイベント施策の立案・実行はもちろんのこと、自社配信スタジオの設立・運用など様々な経験をさせていただき、昨年末に退社。現在は主にB2B SaaS領域の企業様のイベント支援、ライブ配信支援を行っています。

NewsPicksでは、自社スタジオを立ち上げたこともあり、工数少なくウェビナー配信が可能でした。

来場が伴うイベントを2年間、ウェビナーを2年間を回しまくってきた経験をもとに得た知見を余すことなく、このnoteに記載していこうと思います。

今回のnoteでは、ウェビナー実施の概論についてご紹介していきますが、お伝えしたいことはただ一つ。
ウェビナー企画/実施はセミナーのオンライン化ではなく、全くの別物と考えていただきたいです。
来場型のイベントとウェビナー、どんな違いがあるかを説明した上で、気をつけなければいけないポイントを網羅的にご紹介します。
それでは早速、初めていきましょう。

来場型イベントとウェビナーの違い

まずは会場で開催するセミナーとウェビナーの違いを図にまとめてみました。
※イベントの内容や企画、設計などで変わるので、あくまで同じ企画で開催した際の比較表です。

来場型イベントとウェビナーの違い

ご覧いただければご理解いただけるかと思いますが、ウェビナーは申込数を獲得しやすい一方で、視聴率は非常に低いです。
皆さん、実際にどこかの会場で開催されるイベントやセミナーに参加する際、前後の予定も移動のために確保するかと思いますが、ウェビナーであれば、どこからでも簡単に参加できます。
そのような心理的ハードルの低さからウェビナーの方が、申し込みを集めやすい点が特徴です。

イベント当日、登壇者の方がいる前で、途中退席される方は中々いらっしゃいません。気まずい空気感が流れるため、イベント途中の離脱はほぼゼロに近いと言っても過言ではないでしょう。

その反面、ウェビナーは「ながら作業」で視聴することも可能、つまらなかったらすぐに退出も可能。ボタン一つで終了できます。
最後まで見てもらえなければ、結局元々の目的を達成できませんよね。

ウェビナー企画/実施は今までのセミナーやイベント企画を、ただオンライン化したものではありません。
視聴する方を飽きさせない演出、リアルタイムで参加して良かった!と思えるような参加者とのコミュニケーション設計が非常に重要となります。

そのタイミングで参加する価値をどのように設計していくか、このシリーズでお伝えできると幸いです。

まずは、ウェビナーを因数分解してみた

先ほど演出やコミュケーション設計が重要だとお伝えしましたが、ウェビナーを一つの施策と考えた時に、以下の要素で分けられます。
あくまで演出はその一部に過ぎません。

オンラインイベントの構成要素
オンラインイベントの構成要素

この要素に分けて考えることで、ウェビナーが成功する確率は飛躍的に高まります。
※順序ではなく、あくまで構成要素です。準備の順序とも相関性はありますが、その順番で行わなければいけない訳ではないです。

1. 企画

イベントで最も重要で、明確にしていかなければいけないポイントです。
私は大きく以下のポイントを抑えるように意識していました。

・そもそもの目的は何か
(誰をどうしたいのか/どうさせたいのか)
・イベントのテーマ/内容
(来てもらいたい方が聞きたいテーマや求めている体験など)
・登壇者
(どんな方にお話ししてもらいたいか)
・KPI
(この施策を評価するための指標)
・何に繋げるのか
(商談獲得/資料ダウンロード/後日の座談会などなど)

企画で抑えるべきポイント

このようなポイントをまず明確化します。

ちなみに意外と「XX件のリード獲得」「B2B SaaS企業のマーケティング部門をXXX名集客したい」のようなざっくりとした指標しか決めてない企業様も非常に多い印象があります。

「誰を」の明確化や、集客ターゲットがどんなことに悩んでいるのか、商材の検討フェーズ、どんな人から話を聞きたいのか、このウェビナーを通して参加者の皆様にどうなっていただきたいのか、これらを丁寧に言語化することが非常に重要です。

また、B2Bマーケの方はその言語化を、インサイドセールス(内勤営業)メンバーやフィールドセールス(外勤営業)とすることで、商談獲得〜受注までの確率を、飛躍的に向上できるため、チームでその認識を合わせることが必要になります。

セミナーやウェビナーなどの評価は、参加者の期待値やその方のフェーズ、課題感に対して、セミナーコンテンツが満たしていたかどうか、期待値を超えてきたかどうか、に直結すると考えています。

この話はそれだけで一本の記事になるので、いずれ記事にします!

2. 設計

次はウェビナーの設計に関わる話です。
ここで指す設計とは以下を指します。

  • イベント開催時間
    →何時に開催するか、何分間のイベントにするかなど

  • イベントの構成
    →オープニングセッション→講演→パネルセッション→Q&Aなど

  • 集客〜申し込み〜実施までの参加者の体験フロー
    →申し込みフォーム設計やリマインドの頻度、イベント管理ツールの選定など

  • 配信ツール選定
    →Zoom YouTube Live Teamsなどどんな配信ツールを使うか

①の企画で定めたターゲット像や目的に沿って、その方々が参加しやすい時間設定や、イベント全体の時間配分を検討します。

もちろんイベント目的にもよりますが、イベント全体の時間は1時間〜1時間半で設計することが多いです。1時間半以上のイベントは、視聴者の集中力が途切れやすくなるため、注意が必要です。

また、参加者の申し込みからイベント参加の動線設計は非常に重要です。
ストレスなく、申し込みから参加までどのフォームで申し込みを取るのか、いつリマインドするのか、視聴方法のアナウンスをどうやって行うかなどを決めましょう。

特にMAツールやCRMが入っていない企業様は、Google formなどを活用することになるかと思いますが、手作業が多く発生するため、初心者の方はPeatixやEventHub、EventRegistなどのイベント運営ツールの利用の検討をお勧めします。

ウェビナーは映像と音を参加者に届けるため、映像を配信する配信ツールの選定が重要となってきます。
昨今ZoomやTeams、YouTube Live、JstreamやBrightCoveなど多くの配信ツールが出てきており、それぞれのツールに得意不得意があるため、使い分ける必要があります。
Vol.4の記事でその選定方法についてご紹介しますので乞うご期待ください。

3. 演出

冒頭でご紹介した通り、ウェビナーは飽きさせない工夫が非常に重要です。
ここは多くの企業様が取り組めていない領域で、裏返せば演出を設計できれば、企業ブランドの向上も期待できます。

演出は大きく分けて二つの観点があります。

  • ウェビナー内のコミュニケーション設計

  • 配信映像/音声の品質向上

▼イベント内で双方向型のコミュニケーションを取り入れる
ウェビナー最大の強み、それは登壇者と視聴者が遠隔地にいながら、同じ時間、体験を共有できることです。登壇者と視聴者は物理的にも距離があり、いくらイベントやディスカッションに花が咲いて盛り上がったとしても、視聴者は置いてけぼりになっているケースを多々見かけます。

そこでウェビナーで双方向性を意識したコミュニケーション設計を入れることで、より一体感を生み出すことが可能です。

例えばZoomであれば投票機能、YouTubeであればSlidoというツールを活用するケースが非常に多いです。

Slidoはスマートフォンでアクセスできるので、チャット機能や投票機能がない配信ツールと併用すると、イベントの熱量も向上します。

▼配信映像の品質を上げる
視聴者は配信される「映像」と「音」で情報を摂取し、イベントに参加します。単調な配信映像だとどうしても飽きてしまいます。
テロップや、配信映像の構図、飽きさせないカメラワーク、まるで番組のような映像をお届けすることが非常に重要です。

以下の画像は弊社で支援しているウェビナーの配信映像のキャプチャですが、絵作りや演出などにはかなり力を入れています。

UZABASEグループの採用ウェビナーの様子
ソーシャル経済メディア「NewsPicks」のウェビナーの様子

また、通称SE(Sound Effect)と言われる「効果音」も非常に効果的です。Zoomの投票機能を使う際に「デデン!」のような効果音や、自然な拍手音を差し込むことで、イベントの盛り上がりを演出することができます。

弊社で支援したイベントのアンケートを拝見すると、配信映像の品質向上は参加者のエンゲージメントを飛躍的に向上させます。
「登壇者の熱量が伝わってきた」「また参加したい!」「あっという間に感じるぐらい楽しい時間でした」と言ったお声をいただき、リピート率も格段に向上します。

4. 集客

集客ができなければ、いかにいいイベントを開催しても意味がありません。
そのためには①で整理したターゲット像を集客できるチャネルを検討する必要があります。

  • 自社の持つ顧客リスト(通称ハウスリードと呼ばれるリスト)

  • FacebookやInstagramなどのSNS

  • GoogleやYahoo!のGDN、YDNなど

  • 各種メディア媒体

広告出稿などが必要なケースもありますし、他社と共催することで他社のリードを共有するケースもあります。

5. 当日までの準備

当日イベント開催までに準備しなければいけないこと。それは当日の歩留まり(参加率)を上げるための施策や、当日の段取りや役割分担を決めておく必要があります。
例えば、ユーザベースやNewsPicksに在籍していた際は、セミナー申込者リストの中から自社のターゲットとなりうるお客様に対し、リマインドコール(電話)を企画担当である私自身が行っていました。

〜イベント前のリマインドコールスクリプト例〜
XX様 
お忙しいところ失礼いたします。AA社の岩井と申します。
お申し込みいただいた「BBBB」イベントの件についてお伺いしたい事項があり、ご連絡差し上げました。
私が企画させていただいているのですが、皆様のご期待に応えられるようなイベントになるよう、お申し込みいただいた背景や課題、今回のイベントに期待するポイントなどをお伺いし、企画に反映させたいと考えております。お時間少しだけ宜しいでしょうか。

前職での経験より

上記のようなコールをすることで以下のメリットがあります。

  • イベント後のコールより着電率が圧倒的に良い。

  • 期待値はもちろんのこと、お客様の課題ヒアリングまで行える。
    (ヒアリング情報をSalesforceに入力し、インサイドセールスにパス)

  • お客様自身の聞きたいことが聞ける期待値が上がるため、当日参加する可能性が高くなる。(実際に電話をしたお客様の参加率は圧倒的に高い)

このような形でフォロー施策を徹底的に行うことや、当日の問い合わせ対応などの役割分担、①で定めた目的が達成されたかどうかを測るアンケート設計など山ほどやることはあります。
ここの詳細はVol.2の「ウェビナー運営編」でご紹介します。

6. 振り返り

イベントは開催して終わりではありません。当日の参加者数や視聴データ、アンケートデータなどを元に、①で定めた目的に対して結果がどうだったのかをしっかり検証する必要があります。
そのためにも、視聴者データを確実に取得し、MAツールやSalesforceやHubspotなどのCRMと突合することが必要です。

このPDCAを回すことで、より効果のあるウェビナー施策を実施することができます。

最後に

この記事では、ウェビナーなどの概要についてご紹介しました。

ウェビナー実施をすることが目的になってしまっていたり、リードジェネレーション(集客)に集中しすぎ、企画や演出を考慮しきれていない結果、歩留まり悪化や、商談獲得など本来の目的達成ができず、悩まれている企業様が多くいらっしゃいます。
また、つまらないウェビナーを繰り返すことによって、集客の悪化やその会社のブランド毀損にまで繋がります。

ウェビナーは、集客するための手段ではありません。
参加者の皆様がそのイベントに参加することで普段よりちょっと良い時間を過ごせた、持ち帰れるものがあったと感じていただくことこそが、最終的に主催者の利益に繋がります。

これからウェビナーを実施される方、既に実施しているものの悩んでいらっしゃる方々は、視聴者体験ファーストで企画運営をしていただければと思います。

次回のnoteは、実際のウェビナー企画から実施までの、具体的なフローとタスクをご紹介します。ご期待ください!

シンフォニティ株式会社ではイベント運営にお困りの方、ライブ配信にお困りの方の無料相談をおこなっております。
どんなお困りごとでも結構です。お気軽にご連絡ください。

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