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「決めたことをやり続ける」ことの難しさとその価値について

こんにちは。デジタルマーケティンググループでコンサルタントをしている多々良(たたら)です。

ようやくコロナが落ち着きを見せ、世間では少しずつ外出の機会も増えてきたようですが、わたしはというと在宅勤務で家にこもり続けている日々です。

先日、さすがに運動不足すぎるかなーと思い、家にあったリングフィットアドベンチャーを久々に立ち上げてみました。まずは息子からぜひトライしてほしいとレコメンドされた、ろくろ回し(ひざの屈伸で手の位置を動かしてきれいな形のつぼを作るゲーム)から始めてみたのですが、奮闘の結果、つぼ2つ目で大腿四頭筋が逝ってしまいました。1日でわたしの冒険は終わりました。あれから一度も立ち上げていません。


そんなわたしですが、普段はクライアントのマーケティング支援に従事しています。CRM領域を担当することが多く、長期間にわたってクライアントと共にコツコツ成果を追うスタイルが多いのですが、そんな中で最近特に感じているのが「決めたことをやり続ける」ことの難しさです。

今回は、「決めたことをやり続ける」ことの難しさとその価値について考えたいと思います。


きっかけはKPI設計の相談だった

「決めたことをやり続ける」ことの難しさを考えはじめたきっかけは「KPI設計」でした(リングフィットではありません)。

過去にも何度かお客様から「正しいKPI設計ができず悩ましい」「当社に最適なKPIを見つけてほしい」といった相談をいただいてきました。世の中のマーケティング課題としてもごく一般的なものかと思います。

ただ、そのご相談の背景をさらに深掘ってヒアリングをしてみると、実はなにかしらの指標を決めて一定期間追いかけ続けたことが、そもそも無いという状況が散見されたのです。

そういった状況を目の当たりにしたときに、「KPIではなく他に問題があるんじゃないか?」と思うように至りました。

前述のご相談では、「正しいKPI設計ができない」という言葉に落とし込まれていたわけですが、その裏には「PDCAが回せている実感がしない」だったり、「施策の効果がわからない」であったりすることが多く、それが結果として「KPI設計」というワードに集約されていたというのが実情かと思います。

ではこのような実情の中でなぜ「KPI設計」というポイントに焦点が当たってしまうのでしょうか?

その理由のひとつに、日々のモニタリングが軽視されすぎているという点があると思います。

たとえ最適なKPIが設計ができていたとしても、それ以外の主要指標も含めて定点観測していくことは必須なはずです。ましてや、「最適なKPI設計ができた!」と満足しているだけでは何も解決せず、目標を定め、そこから定点観測が始まり、日々目標とのギャップを可視化し改善を重ねる…という当たり前の地道な作業が必ず付いてくるわけです。

そういった地道な作業をやり続けるという現実って実は、みんなが一番見たくないものなんですよね。だからこそ無意識的にそこから目を背け、「そもそもKPIの設計が悪いんじゃ…?」という発想に行きがちなのではないかと思っています。

となると、本当に必要なことは無意識的に目を背けてしまっている「決めたことをやり続ける」にこそあるように思うのです。


「決めたことをやり続ける」はなぜ、むずかしいのか?

「継続は力なり」
そんなことは誰でも知っていることですが、「決めたことをやり続ける」ことは実は本当に難しい。単純作業なのになぜか続かないことってよくあります。いや、本当に難しいです。

例えば、とある施策でいくつかの指標のモニタリングレポートを毎月作成する事を決めたとしましょう。この場合、指標の確認自体は難しい作業ではありませんので継続の壁になるのは主に技術的要因ではなく心理的要因にあるはずです。

要するにやり方は分かっているけど、なぜか形骸化してしまい続かないということですね。

例えばその要因として、

・楽しくない
・数値を深掘りしたくない
・忙しい/時間がかかりすぎる
・やる意味がわからない
・悪い成果を見える化したくない
・やらなくても誰にも何も言われない
・わたしがやる理由がない/やらされている

このような状況があると思います。

これらは報告する側(施策担当者)が抱える心理状況という視点でまとめていますが、さらに難しいのは報告される側(担当者の上長)も実は同じ心理を持っているという事がしばしばあるということです。

これらの心理的要因に目を向けて現場を変えていかなければ、どのような施策を行っても状況は改善していきません。

「決めたことをやり続ける」ためのいくつかのヒント~モニタリングレポート編~

では、どうすればその心理的なハードルをクリアできるのか?
これは一つの正解があるわけではありませんが、先ほどの心理的要因を例にしてわたしの経験の中からいくつかヒントを提示できればと思います。

・楽しくない → 楽しみをつくる

毎月、結果が楽しみになるトライアルを1個作ってみましょう。
検証でもいいし、それに手間がかかるようであれば渾身のコピーを配置してみるなど小さなことでも個人的に結果が楽しみになるポイントを意識的に作ってみてください。
また数値のモニタリングというものは、目標達成率80%くらいから楽しくなってくるものです。達成できるかできないかというヒリヒリとした実感を得るためにも、そもそも目標設定が現実的な数値でない場合は上長と相談をしましょう。

・数値を深掘りしたくない → モニタリングに徹する

深掘りしようと思わないことです。大事なのはモニタリングを続けることです。深掘り以前に予算(目標)と現状から先々の予測を出しそのギャップを把握することが先です。
深掘りに時間がかかり形骸化してしまうようであれば、最低限ギャップを把握することの優先度がたかい取り組みであることを共通認識として進めましょう。

・忙しい/時間がかかりすぎる → 簡単にする

簡単に作業ができるレベルまで指標を減らすことです。
時間がかかりすぎると感じる場合は、3か月程度続けてみて変化が少なく重要度が低い指標はモニタリング対象外としましょう。

・やる意味がわからない → 結果数値(売上/数etc)になるべく紐付ける

KPI/KGIへの影響度合いを可視化する点に力を入れましょう。
ここは最初にパワーがかかるかもしれませんが、後々効いてくるので踏ん張ることをおすすめします。
例えば、以下のように各指標において得られる結果に紐づけられている状態が理想です。

例)○○ページの離脱率を5pt改善できるとフォーム到達UU数が●●向上する
例)メールのクリック数を1,000回増やすと●●円売上が向上する

・悪い成果を見える化したくない → ポジティブな効果に注目する

担当者の心理からすると、都合の悪い数値を積極的に出したくないという気持ちが働くことは想像しやすいですよね。
ただ、これを理由にモニタリングを止めてしまうと、良い変化が起きた時に自分も周囲も気がつかず結果として自分の評価を上げるチャンスも逃してしまいます。また、実際の数値以上に上長が悪い印象を持ってしまいその印象だけで評価されてしまうという懸念も出てきます。
成果が芳しくない場合でも、しっかりとギャップを可視化することで予算や人員の補強という動きも期待できるかもしれません。現実の進捗を可視化し周囲と共通認識を持つことのポジティブな面を理解して向き合っていきましょう。

・やらなくても誰にも何も言われない → 報告会を必ず実施する

この状態を避けるには、やはり定期的な報告の場が必要です。実施タイミングは必ず固定化しカレンダーで繰り返し登録してしまいましょう。
最低でも月に1回の頻度で、時間は30分で長ければ15分でも良いので顔を合わせて報告をする事が望ましいです。むやみに時間を長く取りすぎてしまうと、必要以上に事前準備に時間をかけ疲弊してしまい結果続かないといった事も懸念されるので注意が必要です。
また、毎月の数値の推移に変化がないといった事はよくあり「これやる意味ある?」という状態になりがちです。まずは報告会の目的を、「現状から先々の予測を出しそのギャップを把握すること」と定めて、もし問題がないのであれば「問題がない」という事を確認する場として定義しましょう。

・わたしがやる理由がない/やらされている → (上長が)現場のモチベアップの機会を作る

ここは、上長にあたる方の腕の見せ所です。
現場の担当者が四半期や半期の目標を達成したら、本人にねぎらいの言葉をかけてあげるのはもちろんのこと、例えば幹部の定例会や、週報などに取り上げるなど現場のモチベーションアップの機会を作ってください。
また、売上金額や受注点数などKGIに近い指標との関係を整理してモニタリングできていると、例えば「サイト訪問数目標●%達成」というだけで終わらず、「これによる売上効果は●円相当」と売上インパクトも合わせて伝えることで部外の方にもその取組みの価値が伝わりやすくなります

さいごに


今回は、「決めたことをやり続ける」というテーマのもと、マーケティング業務においてPDCAの根幹となる「モニタリング」を題材につづける事のヒントを考えてみました。
今回の内容が皆さんのヒントになれば幸いです。

実はわたし自身、PDCAの中でこのモニタリングの数値をまとめていく時が一番楽しかったりします。「今月はどんな結果かな~(ワクワク)」と、プレゼントの梱包を破って中身を早く見たい子どものような…とまではいきませんが、でも少しそんな感覚が持てたらうれしいですよね。

最後に、シナジーマーケティングでは今回取り上げた継続性も重視しつつPDCAサイクルのナレッジを詰め込んだメールマーケティング支援サービスを提供しています。メールマーケティングに課題を感じている方はお気軽にご相談ください。



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