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意匠制度のもやもや

note91にちめ。日曜にてお休みモード、また知財の小話。(夕方になってしまった!)

【日曜知財劇場】
意匠制度のもやもや

発明が特許権で保護されうるように、意匠(デザイン)は意匠権で保護されうる。特許同様、法律やら審査基準やらで定められ説明され、体系だって運用されている。

が、
特許制度に比べて、意匠制度は使い慣れぬどくとくの表現があり、ドウニモ捉えがたい。


“美感を起こさせる”
たとえば、まずその定義(意匠法2①)。

この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

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さらりと定義され。しかし“美感を起こさせる”とはわかりにくい。旧法にこの要件はなく、「審美性も要件だ」とわざわざ加えられ、重視されているようである。

だがじっさいには作用のためだけの形状やまとまりのない煩雑な形状を除けば“美感を起こさせる”ものと判断される。ネジも接続端子も美感を起こさせる。

作用だけのための形状やまとまりのない煩雑な形状にあたらないことが、そのまま美感を起こさせることになるのか、実務上まつたく気にしないが、内心チョト気になるところではある。

まとまりのない煩雑な形状がむしろなにやらカッコイイようなケース、とか? ないのか。

さてネジや接続端子が美感を起こさせないと言いたいわけではないことは明記しておきたい。


“外観の中に含まれる一つの閉じられた領域”
またたとえば、部分の説明(審査基準71.4.1.1.5)。

意匠制度では、四輪自動車(全体)のドアミラー(部分)のように、部分的な意匠を登録することもでき、これを部分意匠という。登録できる部分の説明に、下記がある。

物品全体の形態の中で一定の範囲を占める部分、すなわち、当該意匠の外観の中に含まれる一つの閉じられた領域でなければならない。

“すなわち”の後は言い換え、説明が続くもの。こちらは“すなわち”の後がむしろわかりにくい。初めてお会いしたときは文末すぐさま折り返し読み返した。

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ようするに、面積を持った部分で、境が明確で切り分け示すことのできる部分でないとだめですよ、ということト、書いてみていまいち。なるほど説明するはむつかし、ということか。


もやもやをさておいて読み流し、実務上問題は(おそらく)ない。さらさら流し流され、しかしときどきつい気になる。


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