揺れるブルー
ゆだるような昼間の熱を
めくったページに閉じ込めて
電話を見つめながら 手帳の予定をなぞる
すべからく仕事は積もって 君とも冴えない
らしくもなく “夏が好きだ”という顔をする
きっとこんな夏は 望まなかったろうけど
見つめる先の秋にも “君と”はたぶん無い
はっきりと穴になって 光がほどけている
ぼくが冬を想うより 君は夏を想うだろう
唇を噛んだって かえってこない波と
苦いだけのコーヒーみたいな 夏
君がアイツを想う夏だから
余計にぼくは この夏を蒼く感じている
海に出掛けて離れがたかったなんて
耳がどうにかなってしまいそうだ
ガソリンの臭いを いっぱい吸った時の気分
何でもないよと 自分にだけ聴こえる声で
一生懸命に呟いている
桜も咲かなかったし
花火も散らなかった
ぼくは何を待っているんだろう
君が覗くファインダーには
きっと光だけが写っている
ぼくは揺らぐ蒼色を
何とかやっとの 心で撮った
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