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ある快晴の日に、走りに行った。

1月中旬のシドニー。夏。快晴。最高気温27度。

ブラシですっと描いたような雲が少し浮かぶほかはまっさらの青空。

こんな日は、普通のシドニー住民ならば町のあちこちにあるビーチに繰り出すのだろうが、私の場合はランニング。いそいそとランニングウェアに着替え、お気に入りのシューズに足を入れ、外に出た。

摂氏27度というのはランニングにはちょっと高すぎる気温と思われるかもしれないが、シドニーの場合はそうでもない。木陰に入ればエアコンの効いたビルに入ったようにすっと涼しくなるし、海岸線に沿うコースを走れば、海から絶えずさわやかな風が吹き寄せてくる。

自宅のすぐそばはいわゆる夜の街だが、昼間はいたって穏やかで、カフェの軒先では地元の人がカフェラテを飲んでいる。そこを走り抜けて急坂を降りると、海軍の基地がある。

軍隊にも夏休みがあるのだろう、普段は半分ほどしか埋まっていない岸壁も、軍艦が横二列になってぎっしりと停泊している。

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軍港のすぐ横にはお洒落なレストランがずらりと並んでいて、さらに野外彫刻が配置されている。

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イキな顔をしてサキソフォンを吹いているお兄さん…。日常生活に、非日常的なアートがさり気なく溶け込んでいる。

そのまま海岸線を走る。海からやって来る風はたまに強くなり、ごおっという風の音が耳をなぶる。その時だけ周りの音がかき消され、風が止むとまた鳥の声や波の音が湧き上がってくる。

そして岬をまわるといつもの絶景スポットだ。

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これまで何百回もここに来ているが、岬をまわる瞬間はいつも少しドキドキする。今日はどんな景色を見せてくれるのかな…という。

いつもなら観光客で賑わって、外国語が飛び交っていたこのスポットも、今は散歩をしている人、ランナー、釣りをしている人がまばらにいる程度。静かでいいけど、少し物寂しくもある。

植物園に入ると、きれいに刈り揃えられた緑の芝生が鮮やかだ。泰山木の花が咲いていて、甘い匂いを漂わせている。

昼間の太陽を受け、オペラハウスのタイルが真っ白に輝いている。

フェリー乗り場はさすがにそれなりの人がいるが、まっすぐ走るのに困るような人混みではない。

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巨大な鉄骨で組み上げられたハーバーブリッジの真下を走り抜け、いくつかの埠頭を過ぎると海に突き出した公園に入り、丘を登る。空はどこまでも青い。

そろそろ自宅に戻るルートだ。フェリー乗り場の真上を走るハイウェイの横で立ち止まる。オペラハウスとハーバーブリッジが左右に見えるこれまた絶景スポットだ。

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ちょうどフェリーが出発するところで、そのスクリューにかき回された海水が、青緑色の泡を立たせている。すべてが綺麗すぎて、作り物のようだ。

世の中の細かいことなんて、もうどうでも良くなるような…。

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また植物園に戻ると、家まではもうあと少し。ごみごみとした町並みに戻っていき、今日のランもじきに終了。

心地よく汗がかけた。


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