2021年 大学入学共通テスト(リーディング) 所感
初めての大学入学共通テストが終わりました。英語(リーディング)について所感を述べたいと思います。
(1) 語数
すでに話題になっているので知っている人も多いと思いますが,1400語増加です。しかし,
語数だけでは難易度を測ることはできない
ことに注意が必要です。元々,「発音・アクセント問題」や「文法・語法問題」をなくして読解問題に変えると言っていたため,想定内ですし,解いてみればわかりますが,第5問や第6問の英文の難易度は,センター試験や試行調査と比べてもかなり易しくなっています。速読が必要かといわれると,それほどではないと思います。
(2) 試行調査と何が変わったか
受験生の感想を聞くと,使われている「素材」の変化(「レシピの問題」や「偉人に関する問題」などが出題されなかったこと)に驚いたようですが,そこが問題なわけではありません。そもそも,同じテーマが出るとは考えがたいですし,試行調査の第1回と第2回だけをみても,テーマが同じということはありませんでした。
大きな変更点は,
複数の情報を照らし合わせる問題が増えた
点です。たとえば第4問では,パッセージが2つとタイムテーブルが1つ,グラフが1つ与えられ,それぞれを照らし合わせることが求められ,面倒臭い問題でした。他の大問でも,第2問からダブルパッセージが登場したり,第5問では文章を読んで,スライドに整理するなどの問題も出題されました。とりわけ,連続型テキストと非連続型テキストの行き来が増えた印象があります。
共通テストの対策をするときに,「出題形式」に焦点を当てた対策をしてきた学生は,困惑したかもしれません。しかし,意図を捉え,解き方を意識して練習してきた学生は,それほど驚くことなく,落ち着いて対処できるものだったと思います。
(3) どのような力が求められたか
(2)を考えると,「情報処理能力」が求められたといえます。試行調査でもそうでしたが,本試験ではより一層,「英語力」よりも「情報処理能力」が求められた試験に感じました。現在,自己採点の結果を各予備校が集計し,予想平均点を出していますが,おおむね例年と平均点は変わらなさそうです。しかし,得点分布が異なるのではないかと考えています。どのような得点分布かは注目です。
この問題ではたして「英語力」を測れるものなのか,また「思考力・判断力」を測れる問題なのかという点は疑問が残ります。それぞれの立場によっても賛否両論分かれるものだと思います。ただ1つ言えるのは,これまでのセンター試験では不要だった解法の際の受験テクニックが必要になったことでしょう。
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