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2021年 読書まとめ

2021年も残すところあとわずかとなり、今年私が読んだ80冊程度の本から特に良書だと思ったものを10冊ご紹介します。今年は脳や心理系といった内面的なものが多かったです。

自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 池谷裕二
 近年、認知バイアスという、脳・心理のバグとも言うべき分野が注目されています。認知バイアスはとても興味深く、何冊か読みました。盲点なだけに、手を変え味を変え、何度か読まないと自覚ができませんでした。その中でも、この本が最も面白く、端的なので自覚しやすかった。認知バイアスと向き合い、自分の概念の外側にはみ出した自由な考え方をしていきたいです。

自分に気づく心理学 加藤諦三
 「愛とは相手に「自由」を、自分に「責任」を与えることだ」
と言うような一文がありました。
 この本では特に、自分から見て親、そして子との関係から、自身の心理的な立ち位置を知ることができるでしょう。自分に気づくことがまず大事です。読後は自分の道のもやが晴れているような気がしました。

最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方 堀田秀吾
 さまざまな研究結果やエビデンスから、最適化された脳の扱い方が書かれています。短時間で読むならこの本が端的で良いです。心理学のアズイフの法則というものがあり、「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」ということが証明されています。肉体は精神と一体ですね。

香りの力で潜在意識を浄化する 齊藤帆乃花
 五感のうち「嗅覚」だけは、旧脳と言われる古い脳の部分、ヒトの獣の部分に直接アクセスできるそうです。所謂潜在意識、無意識と呼ばれる部分ですね。さまざまな植物の精油を用いて、心理的な効果を自ら作り出します。例えば、沈んだ気持ちを明るくするとか、勉強中に集中力を高めるとか。
 なんと、自分が元々は苦手な香りも、好きな香りに少し混ぜて慣れていくと、苦手な人とも以前より良い関係を築くことができる、というようなこともできるそうです。私も余裕があれば寝る前にラベンダーやユーカリを香ったり、集中したい時にはローズマリーを香ったりしています。

たった1つの図でわかる! 図解経済学入門 高橋洋一
 日本の資金繰りが端的に説明されていてわかりやすいです。日本円について学ぶならこの本がおすすめですし、外貨に関しても最も身近な日本円の知識を応用できるでしょう。例えば、ものは考えようで日銀を政府の資産と考えた場合、日本政府の負債は少額となる、などの解説がされております。

世界のニュースがわかる! 図解地政学入門 高橋洋一
 高橋洋一さんの著書の入門とあるものはとにかくわかりやすいです。
 私見ですが、歴史を時系列で学ぶより、世界地図を見ながら地政学を見た方が歴史を覚えられると思います。地政学は戦争の歴史でもあり、戦争の背景には各国の事情があります。ほぼ必ず物理的な事情があったということが理解できますし、今後も懸念されるエリアは存在するので、ニュースなどでなぜ報道されるのか、その意味もわかるようになると思います。

スティーブ・ジョブズ I & Ⅱ ウォルター・アイザックソン
 パソコンの「オリジナル」を作った男、世界一売れる電気製品を作った男、ディズニーを実質的に買収した男、高級ブランドを抜いて売場面積あたり最高利益を出し続ける店舗を作った男、一代で時価総額世界最高の企業を作った男…。
 これは全て一人の人間によるもの、スティーブ・ジョブズによる功績です。
 彼は自然科学と人文科学の交差点にいることが好きだと話していたそうです。人を愛し、愛される製品やプロダクトを妥協せずに取り組み続けました。
 そんな彼の元には多くの天才が集い、今のAppleやピクサーがあり、作品があります。
 1巻は幼少期からAppleを追い出されたこととその後、2巻はAppleへの帰還あたりからの構成になっています。
 ところで、なぜパソコンには「電源オフボタン」がないのでしょうか?これにはジョブズも無意識だったのかもしれませんが、パソコンのオリジナルであるMacに込められたある想いがあったようです。

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才 リーアンダー・ケイニー
 ティム・クックはスティーブ・ジョブズ亡きあと、現在もAppleのCEOを担っています。存命中もジョブズの右腕としてAppleを経営していました。
 ジョブズがいなければ、Appleの優れた製品は存在しなかったかもしれません。
 ただ作品を完成させていくのはクックの方だと私は思います。ジョブズの作品は今になって思えば「人文学的」に不十分な部分がありました。クックは、それらの長い年月のかかる進化を、とても短いスパンで達成しつつあります。
 中国の工場の労働問題や、アメリカ国内外の環境問題、アメリカをはじめとした雇用格差の問題、全ての教育の格差、ダイバーシティへの貢献など、世界最大の企業であるAppleが為すべき、示すべき仕事はたくさんあります。これらの巨大な問題を真っ向から受け止めています。
 実は製品自体も大きく変わってきています。個人情報を守る頑ななAppleのプライバシーポリシー、資格や聴覚や上肢機能に障害をお持ちの方もAppleの製品であれば安心して使用できるアクセシビリティ、全ての人が平等に学習ができるよう工夫されたSchool Managerなどの教育アプリ、人々のヘルスケアを意図して作られたApple Watch…全ての人に寄り添う優しいデバイスの色が濃厚になりました。
 例えばMacBookは片手だけで開けるノートパソコン。さまざまなユーザーを徹底的に想定しています。
 そういえば、最近の製品はカラーバリエーションが豊富ですね。彼の多様性を表しているのかもしれません。そして元々超優秀な業務畑出身なので、カラーバリエーションが豊富でも余剰在庫を抱えず供給できるのではないでしょうか。

良い戦略、悪い戦略 (日本経済新聞出版) リチャード・P・ルメルト
 良い戦略は必ずと言っていいほど、単純かつ明快。悪い戦略は空疎であり、矛盾を内包し、ほんとうの問題に取り組まない。
 アップルやエヌビディアやトヨタなどの良い戦略をとれてきた企業を中心に、戦略としての考え方を学習できます。スティーブ・ジョブズもそうですが、パワーポイントなどのスライド資料が嫌いで、戦略ではない、ということがわかります。
 ある程度の経済や生産などの知識があった方が良いですが、なくても比較的名の知れた大企業が中心なので、物語を読むように読むこともできます。

 良書は読むのも時間とエネルギーが要りますが、心強い知識です。積読が落ち着いたら読み返したいと思っています。個人的に来年はまた新たなジャンルに挑戦していく予定があり、楽しみにしています。
 最後までお読みただきありがとうございます。
 良いお年をお迎えください。



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