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夜間トイレに起きる人は寿命が縮む

夜中にトイレで目が覚めてしまうことはありませんか?
「年齢のせいだ」と諦めてはいませんか?実は、夜中にトイレに起きることは、身体にとって大きなストレスです。眠りから覚めてトイレに行くこの一連の行動が、予想以上に健康に悪影響を及ぼすことが多くの研究で示されています。


夜間頻尿が寿命に与える影響

死亡リスク: 夜間に3回以上トイレに起きる人は、全死亡リスクが高まることが知られています。(出典: American Journal of Kidney Diseases)
心血管疾患: 就寝後3時間以内に目覚めると、心血管疾患による早期死亡リスクが高くなります。(出典: European Heart Journal)
うつ病: 夜間頻尿はうつ病の発症リスクを高める可能性があります。(出典: Psychiatry Research)
認知症: また、夜間頻尿は認知症のリスクを増加させるとも報告されています。(出典: Alzheimer's & Dementia)

夜間頻尿と健康リスク

夜間頻尿、つまり夜に何度もトイレに起きることは、睡眠に関連する加齢の影響の一環として考えられます。
なぜ、加齢とともによるトイレに起きるのでしょうか?
①抗利尿ホルモンの減少: 若い時は、”深く眠れるように”と脳が「オシッコを作らなくするホルモン:抗利尿ホルモン」を分泌します。そのホルモンのおかげで、中学生などは12時間以上寝てもトイレで目が覚めることがありません。しかし、50歳を過ぎたあたりから、抗利尿ホルモンの分泌が減るため、尿の生成が増え、夜間トイレに行く回数が増えます。
②睡眠の浅さ: 加齢とともに様々なホルモンの分泌が乱れ、安定した身体の状態を保つことが苦手な状態になっていきます。その結果、日内リズムが乱れ、睡眠が浅くなり、軽い尿意でも目が覚めやすくなるため、夜間頻尿が発生しやすくなります。

以上が、多くの成人が経験する一般的な現象です。しかし、就寝後2回、3回とトイレに起きるようになり、生活や健康に支障を来す状態となった場合は、「夜間頻尿」という病気と捉え治療をすることで健康を守ることが出来ます。
今回は、夜間頻尿がどのようにして健康を脅かすのか、そしてどのように対処すればよいのかを解説します。

原因と対策

①生活習慣の改善策:
・水分摂取の調整: 就寝前の過剰な水分摂取は避け、日中に十分な水分を摂取することが重要です。「脳梗塞予防」と称して大量の水分を就寝前にとる方がおられますが、夜間頻尿となると逆効果です。
・塩分摂取の管理: 塩分の取り過ぎは夜間頻用の原因となります。減塩を心がけましょう。食事の塩分を減らし、加工食品の摂取を控えることで、体内の水分バランスを改善できます。

②尿関連への対応:
・前立腺肥大症: 40歳を過ぎると、多くの男性において前立腺が肥大し、排尿が上手くいかなくなります。頻尿、尿失禁などが起きてきます。専門医(泌尿器科)の診断を受け、適切な治療を行うことが推奨されます。
・過活動膀胱: 膀胱の壁が硬くなり、過敏に反応するようになります。少量の尿で頻繁に強い尿意を感じ、頻尿や尿失禁などが起きてきます。泌尿器科の診察をお勧めします。

③睡眠問題への対処法:
・睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中の呼吸が頻繁に停止する病気です。何度も目が覚めるばかりではなく頻尿やその他様々な健康被害を起こします。簡単に自宅でできる検査があるので専門医を受診しましょう。
・適切な睡眠時間の維持: 不必要に長い時間寝床にいることは避け、適切な睡眠時間を確保することが大切です。夜間頻尿の一番多い原因として「寝過ぎ」が挙げられています。1時間以上の長い昼寝、日中のうたた寝、夕食後のうたた寝、7時間以上寝床に入っているなど、不適切な睡眠を行うことで夜間頻用の状態になることが報告されています。年齢にあった睡眠時間を目指しましょう。排尿と睡眠に関して不明な点などあれば専門医(泌尿器科など)に聞いてみましょう。厚生労働省は高齢男性に向け「遅寝早起き」を勧めています。

まとめ

夜間頻尿はただの不便ではなく、健康リスクと密接に関連しています。適切な生活習慣の見直しと専門的な医療の活用により、質の高い睡眠と健康を支えることができます。この情報が皆さんの健康管理に役立つことを願っています。


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