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一杯の固定概念を変える「25メートル・プール一杯分ばかりのビール」

比喩表現の神様といえば、村上春樹ですよね。
私も、後輩の薦めで村上春樹作品と向き合う時期がありました。
村上春樹ワールドは、唯一無二の世界観で、これがヒットしたというところが目を見張る。結果論でしかないかもしれないが、音楽業界でいう「セカイノオワリ」にもう少し人間の湿った部分が入った世界感がある。

そんな村上春樹の表現で、なるほどなあ、と思った表現がある。

夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートル・プール一杯分ばかりのビールを飲み干し、「ジェイズ・バー」の床いっぱいに5センチの厚さにピーナツの殻をまきちらした。

『風の歌を聴け』の一節。
一般的な数字と、一般的な枠の単位。だけど、そこの間には常識という文字はなく、想定外の2種類の数字が組み合わさっている。
なるほどなあ。25メートルプールを1杯と考えるのかあ。なるほどなあ。なんて思ってしまいました。

固定概念に囚われすぎて生きている証ですね。
先日、後輩ちゃんにアイディア出しの手法を伝えましたが、やはりかけ離れているものをクロスして考えると面白いものが生まれたりしますね。
精進しなければ。

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