swfiが誕生するまで_#2

◆映画業界で働くということ

今回は、映画がどうやってつくられていくか、について書いていこうと思います。

日本の映画業界は、労働時間に定時がありません。
また、部署によっても労働時間や拘束期間に差があります。

○映画を作る人たち
映画スタッフは主に、
準備パート、現場パート、単発&仕上げパートに分類されるかと思います。

まず監督やプロデューサーが立ち上げた企画が
現実に動き始めると、スタッフたちが準備を始めます。

・準備パート
演出部、制作部、美術部、装飾部、衣裳部、メイク部、スクリプター、キャスティングなど

これら準備パートは、
早い時で撮影の半年前、平均的には2,3ヶ月前頃から準備を始めます。
衣裳メイク部さんなどは撮影前は他の作品を掛け持ちしている方も多いかと思います。もちろん現場にもでます。

・現場パート
撮影部、照明部、録音部、特機部、車輌部など

現場パートと呼ばれるこれらの部署は、
一番上の技師さんは準備中も打ち合わせには必ず参加しますが、
助手の人たちは基本的には撮影直前の機材準備と、撮影期間のみの拘束が多いです。

・単発&仕上げパート
CG部(作品によってはベタ付き)、ガンエフェクト、
アクション部、カースタント、編集部、宣伝部など

現場には必要な日だけなどでたまにしか来ないけれど、重要な専門部署だったり、撮影が終わったあとに映画を仕上げる編集さんやCG部さん、更に完成から公開にむけて宣伝で動く人たちです。

もちろん、監督やプロデューサーはすべての行程に参加しますし、
スクリプターや録音部さんやカメラマン、照明技師なども仕上げには関わります。

ここには書いていないだけで、部署の中にもまた更に細かい役職があったり、
方言指導や動物プロなど他にも映画作りを支える部署はいくつかあります。
現場には参加せずとも、物や機材やロケ場所を貸してくれる人たち、
また映画の顔になる俳優部ももちろん一員です。
その俳優部を支えるマネージャー、演技事務なども大事な現場スタッフです。

○映画作りのながれ
・準備期間中
俳優部やロケ場所の都合をすべて考慮して撮影の細かいスケジュールを決めたり、
エキストラの人数をきめたり、端役までキャスティングが決まり、
どこで撮影するか、どんなセットになるか、どんな飾りになるか、
どんな衣裳をきてどんな持ち物を持つか、
どんな小道具が必要で、それをどうやって用意するか。
監督の理想を現実化するにはどうするか、
様々な打ち合わせなどを経て、ひとつずつ細かく決めていきます。

準備期間は、撮影ほどハードではないですが、
それでも日曜も休まず毎日仕事をするチームもありますし、
衣裳小道具合わせや打ち合わせが日曜日にはいったり、
打ち合わせが夜21時すぎまで長引く事などもあります。

クランクインが近づくにつれてやることは増え、
帰る時間も遅くなります。

そして撮影が始まる直前にはお祓いやオールスタッフという、
ほぼすべてのスタッフが一度集まって簡単な自己紹介をする場が設けられ(小道具の私は場所によっては参加できない事が多いです。)
各部署が自分たちの車輌に必要な道具や機材を積込み、クランクインを迎えます。

・クランクイン
基本的には事前に組まれたスケジュールに沿って撮影が進んでいきます。
クランクアップまでの総合スケジュールと、
撮影日1日ごとの日々スケジュールが毎日でます。

朝はだいたい、部署によって時間に差がありますが、
平均的に6時前後から仕事がはじまります。
日々スケジュールにタイムスケジュールをかくタイプの人もいますが、
基本的には時間は書かれておらず、
書かれていてもそれが守られるかどうかは別の話。
毎日開始時間も違うし、終了時刻は撮影が進むまでわかりません。

終わり時間だけでなく、食事が入る時間も決まっていません。
きりのいいところまでやってからお昼ご飯を入れよう、
と言って、14時頃にやっと昼食が入る、という事もあります。
逆に、昼のシーンが速く終わってしまってやることがなくなり、
夜のシーンまでに夕飯を入れよう、と16時頃に夕飯を食べる事もあります。
食事と食事の間隔が短すぎたり、空きすぎたり、バラバラです。

昼も夜もなく撮影は予定した分が終わるまで続き、
ひどい場合は次の日の朝になっても終わらない事もあります。
定期的に出される食事が、もはや何回目の食事だかわからなくなったり、
弁当に顔をつっこむようにして寝てしまったり、、、

最近はそこまでひどい状況はあまり聞かなくなりましたが、
まだまだそういった事はありますし、低予算な作品ほど多いように思います。

時間が決められていない理由としては、
監督に時間制限というプレッシャーを与えるのはよくないという風潮があるからだと思います。
もちろん撮影場所の都合で今日は絶対22時に撤収!と決まっている場合もありますが
そういう時も、余裕をもって終わることは少ないように感じます。
21時半まで撮影して、片付けがあるパートはあわてて撤収したりする事もあります。
なんでこんなに煽られて撤収しないといけないんだ、、と思う事も。。。

撮影が長引く理由は色々あります。
そもそも一日で撮るには厳しい量がもともと予定されていたり、
監督が俳優さんのお芝居に納得せず何度もまわす場合、
雨などの天候で中断せざるを得ず伸びていく場合、
また、撮影場所のスケジュールや、
俳優さんのスケジュールの都合でその日になんとしてでも終わらせないといけない場合など様々です。
夜のシーンが多い映画などだと、
そもそも夕方から集まって、日が暮れてから撮影という
昼夜逆転スケジュールの作品もあります。

もちろん早く撮影が終わる日もありますが、そうそうないですし、
また、作品によっても差があります。
例えば大御所監督の作品ならば、
予算もあってスケジュールも余裕があり一日の分量が少なかったり、
監督が高齢で長時間はもともと予定されておらず夕方に終わったりもします。

つまり決まりが全くありません。

・撮影のない日

だいたい、一週間に一日くらいは撮影の無い日があるのですが、
予備日か撮休かによって意味合いが違います。

予備日というのは、
スケジュール通りに撮影が終わらなかった場合、
その日にまた撮影をする、という日です。
天候などなんらかの事情で当初の撮影日に撮影ができなかった場合、
その日が潰れます。

それに対して撮休は、本当に撮影が入らない日。
予備日が使われなかった場合や撮休は、
現場パートは本当に休みとなる事が多いです。

ただ準備パートはそうは行きません。
その次の一週間の撮影の準備をしたり、
すでに撮影が終了した分の片付けをしたり、
とにかくやることがあるのが通常です。

そうなってくると、
準備パートは丸一日の休みはほぼないまま、撮影期間(短くて1ヶ月、長くて半年)をこなすことになります。
大作などで撮影が長期になる作品だと、さすがに少しは休みますが、
私は4ヶ月無休だった事もありました。
(半休などはあった)

こうなってくると、体調が大丈夫でも、
メンタルがボロボロになったり、
あと単純に病院にいけなかったり選挙にいけなかったり、
役所の用事なんかもいけません。
今ほどスマホが普及する前は、世の中の事故事件などニュースもなかなか気づかなかったし、
自分でもよくやっていたなと思います。

最近は、子供がいつつなんとか撮影に参加する女性スタッフや、
子供のいる男性スタッフも多くなってきたので、
撮影が近づくまでは日曜は休みにしよう、とか、
子供の行事で休みを取る人などもいて、前より相談しやすい雰囲気になったとは思いますが、
やはり公式行事が日曜に入ると、それを一個人の都合でずらすことはなかなかできません。

長くなりましたが、これが現場のいちスタッフとして、今まで私が見てきた現場の基本的な流れかなと思います。

つづく

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映画業界で働く女性を守る会 Support for Women in the Film Industry. 映画業界を子供を育てながら働ける業界にしたいという想いから 現役小道具で1児の母saoriと、元映画美術部で3児の母yuriが中心となり、NPO法人として2020年1月設立
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