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詩)l'eau

心が水没して苦しい夜に
そっと拾いあげてくれたあなた
潜水夫のような軽やかさで私を掬い、
たゆたう体を砂の上へ運んでくれた

蒸発してゆく水滴を傍目で眺める幸せは
まるで違う発音を奏でるあなたと共にあった

雨が反芻して苦しい日には
毛穴から入り込もうとする水分を拭い、温めてくれた
何も奏でようとせず、ただひたすら寄り添ってくれた

次は私の番だから
手始めに傘をさそう
あなたを染めて日にかざそう

頭上で跳ねる水滴に虹を見て
泥を踏んだら洗い流す
迎えた朝が瞼を照らし
まぶしさに睫毛がふるえたらそっと拭う

目眩がしたらまた傘をさす
風がたなびいて髪を連れてゆく
さあ遠くへ
陽炎がざわめく向こうへ
あなたをいざなう羅針盤になる
暑さに踊ったら葉で水を掬い
傘で覆ってうなじをひたす
遠くへ
あなたと漕ぎ始める

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