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立ち直るためのグルメ

その日、朝食を抜いてきたウサギは、巣鴨地蔵通り商店街のゲートの下で、仁王立ちの姿勢で前を見据えていた。「さあて、何から食べようかしら」と彼女は不敵につぶやいた。

「立ち直るためには美味しいものが必要なの」と涙目で訴えたのはウサギだった。エイプリルフールに、不器用なジョークで彼女を惑わしたカメには、彼女のために美味しいものを探すしか選択肢がなかった。「巣鴨で食べ歩きしよう」と彼が言うと、ウサギは心の中で「やった!」と小さく叫んだ。

「まずはあれかしら」気持ちのはやるウサギが最初に目を止めたのは「元祖千成もなか」の「あんバターどら焼き」だった。半分に割ったどら焼きを、小さく口にしたウサギは、「やっぱりカルピスバターは何もかもが違うわ。深いコクも、なめらかな口どけも」と、思わず目を閉じ、ため息をついた。

あんバターどら焼き

「バターの余韻がマジでヤバいわ」と夢うつつのウサギが次に見つけたのは「伊勢磯揚げまる天」の「たこ棒」だった。彼女は店の一角に座り、さっそく口に運ぶと、「スケソウダラのすり身に練り込められた、ぶつ切りのタコの食感が絶品ね。紅しょうがのアクセントも奥ゆかしいわ」と、大きな瞳を輝かせた。

チーズ棒     海老マヨ棒     たこ棒

「あとはお土産が欲しいわね」チーズ棒と海老マヨ棒も胃に収めたウサギが辺りを見渡すと、「元祖塩大福みずの」の「こうさぎ最中」に目が釘付けになった。「ああ!これは可愛らしすぎるわ。どうか私の家に来てくれないかしら?」

最中が入った袋を大切に抱えながらゆっくりと歩き始めたウサギは、ふとカメを振り返った。「もしも、私がひとつだけ悩みを抱えているとしたら、それは美味しいものに舌鼓を打てないこと。明日はどんな美味の世界へと私を誘ってくれるの?」彼女は声に期待を込めて、彼の目をのぞき込んだ。

こうさぎ最中

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