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ギャラリーの二人展

急用ができたカメと一旦別れたウサギは、待ち合わせまでの時間を持て余して東急プラザ銀座を一人で歩いていた。あてもなく歩き続けていると、ふとアートギャラリーの前で足を止めた。

ギャラリーには、二人の画家による絵画が飾られていた。それぞれの世界観で丁寧に描かれた作品をひとつひとつ眺めていると、画家のプロフィールが目に留まった。

「uraraさんは、画家になる夢を抱きながらも、一度は大学で法律を学ぶことを選んだんだね。でも、結局は絵の世界から離れられなかったんだ」と、ウサギは深く共感しながら頷いた。

「夢を追いかけるのは大変だけど、その姿はとても尊いわ。2000年生まれなんて、これからどんな活躍を見せてくれるのか、本当に楽しみね」

目の前にある作品は、画家の頭の中に広がる想像の街が描かれていた。「建物も、空に広がるオーロラも、その色使いに魂が宿っているように感じるわ」

urara  「想像の弾着点」

「湧き上がる雲の白っぽい青や、水面の深い青、そして積み木のように重ねられた建物の緑がとても素敵ね。まるで物語が生まれる舞台のように見える」

urara 「Rubik’s Cube」

ウサギはもう一人の画家の作品の前に立った。「ふうかさんの絵には、自分自身を投影した少女が描かれているのね。まるで夢の中で祈りを捧げているかのように、幻想的だわ」と、ウサギはつぶやいた。

さかいふうか「かみさまのいないせいかつ」

「この絵は、二人の少女がロウソクの灯りとともに、星に包まれているのね。まるで星が少女たちを守っているみたい」

さかいふうか 「ほしふる」

絵の世界に浸っていたウサギは、ふと時刻に意識を向けた。「そろそろ、待ち合わせの場所に向かわないと」ウサギは心の中で呟くと、もう一度絵に目を向けた。

その時、ギャラリーのスタッフがウサギに声をかけた。「よかったら、猫会議に行ってみませんか?」と、一枚のポストカードを差し出した。その瞬間、彼女の心の中に新たな好奇心が湧き上がった。

「ところで、猫会議ってなに?」彼女はカードをじっと見つめた。

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