RTのちょっとシネマもっとシネマR「アルプススタンドのはしの方」

たまには現在公開中の映画の感想でも書きましょうか!

今回紹介する映画は「アルプススタンドのはしの方」という映画

大きなロードショー系のシアターでは公開されていませんが非常に良作です!
友人から「あれは観たほうが良い!」と勧められて観ましたがこれがなぜ大きなシアターで公開されないかと思うぐらいに心に残る内容でした。

というわけで参りましょう

「RTのちょっとシネマもっとシネマR(リターンズ)」
今回は「アルプススタンドのはしの方」上映開始です、どちら様もお時間の許します限りごゆっくりとお楽しみ下さい。


物語の舞台は高校野球夏の甲子園の応援席、でもそこはブラスバンドや応援団のいる中心ではなくそこから外れた「はしの方」、そこに座った二人の演劇部員「安田さん」と「田宮さん」と元野球部員の「藤野くん」、成績優秀だけどクラスの中では地味な「宮下さん」を中心に話が進んでいきます。

演劇部の二人は「とある理由」で演劇の全国大会に出られなかった、藤野くんも「とある理由」で野球部を辞めた

この3人に共通するのは「しょうがない」というワード

応援に来ているのにそんな気持ちが心の奥にあるせいかどこか冷めた目で見ている3人、その更に後ろで観ているのは成績優秀な「宮下さん」彼女もまた「ある想い」を抱えて球場に来た一人。

最初はぎこちない会話の4人が少しづつ自分の心の中を話し始め、周りの登場人物や画面には映らない野球部員たちとの色々な関係性が明らかになってくると物語の面白さがどんどん加速していきます。

この映画、「野球部の応援」というシチュエーションでありながら、野球をしている場面が1シーンも出てこないのは非常に面白いです、試合の展開は球場のアナウンスと応援団の声や登場人物たちの解説でのみ話されますが、それでも非常に良くわかるようになっていて手に汗握る場面もあります。

内容を端的に表現するなら「ある理由で主役になれなかった脇役達の小さな青春群像劇」ということになると個人的には思うけれど
それはこの4人だけではなく、他に出てくる容姿端麗で成績優秀でクラスの中心にいるブラスバンド部の部長だったり、やたら応援に熱が入っている赴任して3ヶ月の先生も含めてそうで、みんな「何か」を抱えながらアルプススタンドに来たのです

野球部という「主役」を応援に

でもそこには「主役」に負けない輝きや熱さや想いがあります。

それは物語が後半になればなるほど熱量を増していき、最後には観ている観客も一緒に熱くなれる

「しょうがない」というワードから始まるけれど

最後には「しょうがない、なんてことなない」そういったことを思い出させてくれる素晴らしい映画でした。

「諦め」と「贖い」と「嫉妬」と「強がり」

という感情が高校生特有の熱量で交錯して、ともすれば暗くなりそうなのに「応援」という中でそれは爽やかに「青春」という言葉に昇華されていく。
この見応えのある物語を80分弱という非常に見やすい尺に収めた監督や脚本家の腕にも舌を巻きます。

久しぶりに心の底から「良い作品だ」と思える映画でした、これを勧めてくれた友人に本当に感謝です。

「アルプススタンドのはしの方」まだ上映している映画館もあるので興味が湧いた方は是非とも見て頂きたい一本です!!

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