スウェーデンの社会システム・移民の場合その3

移民のスウェーデン語コース(SFI Swedish for immigrants)を卒業してすぐ仕事を探す人もいますが、多くの人々は引き続きスウェーデン語を勉強します。

SFI卒業レベルは中学レベルのスウェーデン語であり、その後は高校レベルのスウェーデン語をSAS(Svenska som andra språk)で学ぶことになります。そして高校卒業レベルのスウェーデン語認定試験であるNationella provというスウェーデン語の卒業試験を受けます。Nationella provはスウェーデン人も高校在学中に受ける試験で、その後大学に進む場合は、この試験でいい成績をとる必要があります。

スウェーデン人の場合、高校を卒業してすぐに大学に進むというよりも、高校を卒業してしばらくアルバイトをしたり、世界を放浪したり好きなことをして、自分のやりたいことを見つけてから入学をする人が多いようです。ですから20代後半は若いくらいで、30代以上の学生もとても多いのです。大学は入学するよりも卒業することの方が遥かに大変なので、卒業までこぎつける人は、入学者の20%程度のようです。

スウェーデン語が高校レベル以上になれば、移民、スウェーデン人という区別はなくなり、自分の目指す道に進むことになります。仕事を探す上での職安でも、移民だからという区別はありません。もちろんスウェーデン語ができて初めて対等ということになります。それでもスウェーデン人と対等に話せるようにはならないわけですから、何か特技でもないと、就職もそうそう楽にはできません。今のスウェーデンはあまり景気がよくないので、一般スウェーデン人でも簡単には就職できず、移民にとってもかなり厳しい情勢です。(2016年時点でも移民の就業が難しいのは変わりありません)

スウェーデンの大学は、日本のような入学試験はなく、高校卒業資格とスウェーデン語レベルがあれば、希望の学部に申し込むことはできます。しかし、人気のある学部に入るためには、高校の成績が優秀でないとなかなか入れないようです。

私の場合は、SFIの後もSASでスウェーデン語を学びながらウェブスクール、ビジネススクールと通い、結局足掛け10年かけてNationella provに合格しました。5時間の論文試験はきつかったですが、5時間が短く感じるくらい時間を使いきりました。合格レベルは、G(合格)、VG(優秀)、MVG(最優秀)があり、競争率の高い大学の学部に進みたい人は、Gで試験に合格しても再度試験を受けてMVGを目指していました。

スウェーデンに暮らしていちばんよかったと思うことは、学ぶ環境が整っていることです。いくつになっても学べるチャンスがあることは、とても有り難いことですね。

2002.4.30執筆、2016年リライト

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