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【Food Tech】農作物の腐敗を遅らせて食品ロス減へ | Apeel Sciences

冷蔵庫にある野菜や果物、時がたち傷んでしまい泣く泣く廃棄・・といった経験はみなさんあるのではないでしょうか。
食品ロスが問題になる中、できる限り食品は捨てずに食べきりたいですよね。

国連食糧農業機関によると、現在、世界で生産される食料の3分の1にあたる約13億トンが捨てられており、その理由の一つが「食品の腐敗」です。農作物が収穫されて消費者の手元に届くまでに多くの時間を要し、貯蔵期間にも限界があります。

そんな食品の腐敗による食品ロス問題に一石を投じたフードテック企業Apeel Sciences社のサービスが昨今注目を浴びています。

Apeel Sciencesが開発した「Apeel」とは?

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「Apeel」は、果物や野菜の皮、種子、果肉に存在する植物由来の材料(脂質やグリセロ脂質)から作られた味のない食用のコーティング製品。
この素材を農作物の表面に湿布して「第二の皮」をコーティングすることで水分の蒸発や酸化を抑えて、アボカド、柑橘類、その他の種類の果物を通常の2~3倍長持ちさせることができます。
Apeel Sciences 社のサイトによると、このコーティングを施したアボカドを1つ購入することで、約15リットルの水と42gの温室効果ガスの削減が見込まれるそう。

すでにアメリカやヨーロッパでは、Krogerを始めとした多くのスーパー等で導入されています。Apeelを利用している業者は、保存用のラップの使用量が50%減り、売り上げは5〜10%増加、店内のマーケティングキャンペーンと組み合わせて販売することで、売り上げが2%ずつ増大していると同社はいいます。

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Apeel Sciences社について

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Apeel Sciences社はカリフォルニア州の海辺の街、サンタバーバラのゴレタに本拠を置く会社です。冷蔵インフラが不足している発展途上国での収穫後の食品廃棄物の削減を支援するためにビル&メリンダゲイツ財団から100,000ドル(約1070万円)の助成金を受け取った後、2012年にジェームズ・ロジャースによって設立されました。

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最初の助成金を受けた後の9年間で、Apeel Sciences社は成長を続け、これまでに3億6000万ドル(約380億円)を調達。この資金の中には、トーク番組司会者であるOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)氏や歌手のKaty Perry(ケイティー・ペリー)氏といった著名人を始め、シンガポールが所有する投資会社Sovereign Wealth Fund(ソブリン・ウェルス・ファンド)などの大手投資会社の支援などが含まれます。

「フードシステムの負荷は限界を超えている」「もう近道はありません。使い捨てのプラスチックも農薬も、それぞれの役割を終えました」とロジャーズ氏はいいます。

かつて生産者は、作物を枯らす病害虫を防ぐための農薬や、使い捨てプラスチック包装や化学薬品処理による保存方法に依存していました。今、それがまた深刻な環境問題の原因となっています。

地産地消などローカルの商品を購入することが推奨されていても、エリアによってはなかなか実現が難しいのも実情。Apeelのような食糧保存テクノロジーなど、新しいエコーフードシステムにますます注目です。

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画像引用元:Apeel.com



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