見出し画像

【映画話】 ヴィットリオ・デ・シーカ監督、自転車泥棒

世界中の映画監督に影響を与えた「自転車泥棒」、やっと見れました!

自転車泥棒は、1950年公開のイタリア映画。
第二次世界大戦後、イタリアもドイツと日本と同様に敗戦国となり、
とっても貧乏でした。(第二次世界大戦より前のイタリアは、高級感の漂う場所でした。)
その当時のイタリアとイタリア人をそのまま写した映画となっています!

衝撃でした!

あらすじ
やっと仕事にありついたアントニオ(主人公)は、家族を養えると安堵しました。仕事はポスター貼り。自転車で街を周り、ポスターを貼らなければなりません。質屋に売っていた自転車を、自宅のシーツと交換してどうにか手元に戻し、仕事を始めました。
アントニオの子供ブルーノ(8歳くらい)は、学校に行かず働いています。
貧困のど真ん中にいる家族ですが、どうにか生活をしています。
アントニオが仕事をしていると、ある男が自転車を盗んで行ってしまいます。追いかけましたが見失ってしまいました。
自転車を買うお金もなく、自転車がないと仕事ができないアントニオは困り果てました、、、

私が書いた♪

この映画は戦後のインテリ(中産階級)の人へ贈る映画だったのです。
教会の中でも神に敬意を払わず、労働運動も無視、人に優しくしない中級階級層であったアントニオ。なぜそんなに自分のことしか考えていないのか?戦後に何も信じることができなくなった人格だからだそうです。
戦争があった中で、神も人も信じられなくなった。貧乏な人たちが必死で生活している中で、プライドが捨てられずまだ生ぬるいことを抜かしている。
そういう人が本当に貧困に陥った時ものすごく弱いんだよ、ということらしいです。これを見ると共感し、葛藤を理解できますね。

映画の中で、アートと政治は両立しないんだ!という論争が出てきます。共産党の集会があったり、演劇の練習している人がいたり。その時のイタリアのあり方が思い浮かばれます。

自転車泥棒は、原作はコメディだそうです。その喜劇を悲劇にしているようです。物事を近くで撮れば悲劇、遠くからとれば喜劇となります。この映画はアントニオの目線でずっと取っているので悲劇に映ります。

また、本作はチャップリンのモダンタイムズをもとにしたということです!モダンタイムズは喜劇でしたね!

以下ネタバレになりますが、
最終的には自分が自転車泥棒になってしまうアントニオ。
子供が駆け寄ることで、警察に捕まらなかったものの、
人間の心理状況がよく伝わってきます。
私だってそんな状況だったらそうなるよ、って思う。
子供の前で涙を流すアントニオ。
プライドを捨てよう。生きていくために。

今私たちはまだ食べ物や仕事、住む場所に困らない時代に生きています。
これからどうなるのでしょうね。
改めて、困らずに生活できていることが幸せに感じます!

名作となった自転車泥棒、ぜひ見て見てくださいね!

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,103件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?