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自ずから然り Let It Be

こだわりを持って生きる道を貫こうとすると、ストレスのない生活を意識していたとしても、たまにはどうしても疲れてしまうことがあります。そんなとき、自分にとって無理のない(それをやることや準備がストレスにならない)リフレッシュ方法を持っていることが大切です。個人的な習慣で言えば、疲れ果ててどうしようもなくなったときには、都会を離れて行きつけの温泉に日帰りで行くことにしているのですが、その温泉の哲学がとても魅力的かつ奥深いものなので、ご紹介したいと思います。

箱根の自然の中にある「天山」という温泉なのですが、ここでは「じねん(自然)」という考え方を大事にしています。それは「自ずから然り(=あるがままの状態)」を意味する仏教に由来する言葉で、明治期に「Nature」の訳語として音読みの「自然(シゼン)」が採用されるずっと以前から、日本人が大切にしてきた自然観だと言われています。そして「天山」では、地表に湧き出た直後の温泉は、すべての生き物が本来持っている、この「じねん(自然)」の力を蘇らせる効果があるのだと説明されています。無理をせず、「自ずから然り」の流れに、身も心も委ねる。「天山」は、湯につかりながら、そのような東洋的感性を取り戻す場として設計されているようです。

「じねん(自然)」という言葉をもう少し調べていくと、その起源は中国の老子の思想である「無為自然」にあるとされています。「作為のない、あるがままの状態」という意味を持つこの思想が日本に渡り、現在の日本人の文化や振る舞いの礎となった仏教や禅宗の中に組み込まれる中で、徐々に私たちの価値観の中に根付いていったようです。また、よく言われるようにキリスト教的世界観の中では、「自然(シゼン)」とは人間が制御すべき対象と見なされています。しかし、日本人は古来からアニミズムや自然崇拝といった世界観の中で、森羅万象に神々や霊性を重ねて生きてきたため、「自然(シゼン)」とは人間の制御を超えた存在として捉えられてきました。「人間と自然がひとつのものである」と考えると、人の心も自然のように制御を超えたものであるのだと思えてきます。

現代社会を生きる私たちは、ついつい世の中に蔓延するたくさんの論理(「正解らしきもの」や「常識らしきもの」)によって心を支配されてしまいそうになりますが、「じねん(自然)」の精神で向き合うならば、日々のひとつひとつの決断も変わってくるかもしれません。近年は、地球環境やサステナブルを意識する「Living with Nature」の思想が急激に人々の関心テーマとして注目されるようになりました。もちろん、それも極めて重要な人類的テーマではありますが、私たち一人ひとりの人間の心のありようについて考えるとき、「じねん(自然)」や「無為自然」を指す「Living as Nature」の思想を意識することもまた、大切なのではないかと思います。


NOTES:
・「じねん(自然)」の考え方を組織経営に応用しているユニークな事例として、ダイアモンドメディアという会社があります。その名も『自然(じねん)経営』という一読の価値ありな書籍も出しているので、東洋的な次世代型の組織論に興味がある方は是非。

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自分が本当の意味でリラックスする時間を確保するためのアイディアとして、その時間をはじめるための「儀式」をつくる、というのも有効です。一流のスポーツ選手たちが自分をゾーン状態に連れていくための独自の「儀式」を持っているように、私たちも「リラクゼーションの儀式」を持ってみるのはどうでしょう。
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