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白鳥静香先生の言葉より 152 真っ白い雪のように 

白鳥静香先生の言葉を紹介します。

白鳥静香先生の言葉より 152 真っ白い雪のように

英語の二月であるfebruary は

ラテン語の「罪滅ぼしの月」

という意味の言葉から来ているそうです。

(ほかにも説はあるそうですが)

古代ローマでは三月から新年がはじまるので、

一年の最後の二月に一年の罪が消えることを願ったのでしょう。

罪滅ぼしといえば、

二十世紀の有名な政治哲学者ハンナ・アーレントは、

「許すこと」を政治的な問題の解決の方法のひとつ
として大切なことであるとしました。

人は誰でも、自分自身や、自分の愛する人を
守りたいと思います。

でも、それは相手側から見れば、
侵害であることもあるのです。

有限な世界では財は限られているからです。

国際政治にはそのようなところがあります。

人は何かをすれば、嫌でも誰かを害してしまいます。

有限な存在が、有限な世界で生きるということは
そのようなことです。

害されてしまった人からすれば、
それは、もうけっして取り返しがつかないことでしょう。

失ったものはたとえ、補償されたとしても
けっして
戻っては来ないのです。

とくに、時間とか生命とかは・・・。

奪った側の人はそれを解決することはできません。

絶対に・・・・。

もし、そのこと何か解決があるとすれば、

それはただ、奪われた側の人が許しを与えてくれたときだけ、

ただ、奪われた側の人が許してくれたときだけなのです。

だから、現実的な政治の場のことであっても、
最後は許しに頼るしかないといわれるのです。

世界にそういう現実があることを思うと、

古代ローマの人々が、一年のうち、最後のひと月を、

「罪滅ぼしの月」としたことに知恵を感じるのです。

古代ローマが戦争に戦争を重ねて成った国家であったからこその
知恵であったのかもしれません。

世界では、テロが年間1万3千件(2014年)、
死者が3万2千人を越えていると報道されていました。

テロは、される方はもちろんですが、

する方もまた、「自分たちは害されている。」という思いから
テロ行為に走っているのでしょう。

世界はいまだに昔の人がいったように、

「万人は万人に対して狼。」(17世紀の政治学者ホッブスの言葉)

つまり、人が人を害しあうことが続いています。

憎しみは連鎖し、続いてゆくのでしょう。

だからこそ、一年に一度、二月くらいは、

二月がfebruary、 つまり「罪滅ぼしの月」という
意味の月であることを思い出し、

相手を許すことで、

互いの罪を消してあげられたらよいなと、そう思うのです。

二月に降る、真っ白い雪のように。

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