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個人の資産運用は”相対的目線”ではなく”絶対的目線”で考える

米国も日本も景気後退懸念が急速に台頭し始め、株価が乱高下しております。

ブラックマンデーに次ぐ史上2番目の下落率を記録した8月5日の日経下落は強烈でしたね。

ちらほら悲鳴も聞こえていたような。。。

総悲観とまでは言わないものの、”株式とはこのようなモノ”という認識がなく、自分のリスク許容を超えるポジションをとっている人から脱落していく局面だと思います。

さて、こんな時だからこそ、今の相場から一歩引いたテーマで書いてみたいと思います。


物事を評価したり、眺めたりする時には相対的な見方と絶対的な見方が存在します。

相対/絶対という概念の代表例としては”なにかしらの評価”が思い浮かぶ人も多いでしょう。

筆者の場合、小学校時代の通信簿は絶対評価基準で付けられていて、中学以降は相対評価基準に変更された記憶があります。

【相対的とは】
・他との関係において成り立つさま。また他との比較の上に成り立つさま。

【相対評価基準】
・相対評価の考え方は「集団の絶対数が多くなればなるほど、その成績の分布はおよそ正規分布に近づく」という統計学の理論を基本としている。教師は成績資料を精査した後、生徒を成績順に並べ、5段階評定の場合、5…7%、4…24%、3…38%、2…24%、1…7%を目安とした、一定の割合で評定をつける。

【絶対的とは】
・他との何物とも比べようもない状態・存在であるさま。

【絶対評価基準(認定評価)】
・教師が公開していない基準、教師の頭の中にある満足のいく成果というものにあわせて評価される。評価方法として例えば、試験や平常時の課題、授業態度等を勘案し、特定の評定値が当該科目履修者全体の平均となるよう割り当てる方法などが用いられる

出典:デジタル大辞典、Wikipedia

どちらの見方も、事象によってフィットするフィットしないがあるので、どちらが良くてどちらが悪いなどはありません。

株式投資の世界で例えれば、過去20年の平均年運用利回り8%の投資対象xと年運用利回り9%の投資対象yがあったとします。
※話の都合上リスクは考慮しないものとする

収益率だけを絶対評価的に見れば、どちらも立派なリターンです。ABCランクを付けるのであればx,yどちらもA評価で良いでしょう。

しかし、相対評価で見ると、両者の間には1%の差があるのでxは評価B、yは評価Aという感じになりますね。


話の本題はここからです。

こと個人の資産形成を目的とした資産運用においては、”絶対的”な見方で考えることを個人的にはおすすめしています。

インターネットや各SNSなどを見ていると、自分よりも高い収益率を報告する人や自身のポートフォリオよりも高いリターンの投資商品などの情報を目にすることが多くあると思います。
※現実に沿えば、リターンばかりに目が行ってリスクやコストを見ていない人も非常に多い

直近の例でいえば、2024年8月5日の日本株式市場の暴落翌日、8月6日にその反発をとれた人を見て羨ましく思ってしまう感情もそれに近いです。

または、自分自身のポートフォリオを指数と比較し、勝った負けたと一喜一憂することもあるかもしれません。
※これは必ずしも悪いことではないが

しかし、個人の資産形成が目的であれば、究極的には各人の目的が達成さえできれば、収益額や収益率を他者と比較する必要性はありません

個人投資家は機関投資家と違い、資産運用がメインビジネスではないし、運用成績による人事評価などもありません。

そして個人の資産形成の目標額や残存期間は人それぞれの価値観や稼ぐ力、ライフスタイル、年齢などによって十人十色です。

また他人の投資対象やポートフォリオの成績は私達の人生には何の意味も持ちませんし、なんの影響も与えません。言ってしまえばノイズなのです。

ですので、まずは自分自身の資産形成の目標額と時間的猶予をハッキリさせることに集中した方が良いでしょう。銘柄選択やポートフォリオ構築はそのあとです。


話はズレますが、まともな投資対象であれば、リスクとリターンは裏表の関係です。

リターンを爆発的に高めるということは、その分のリスクを背負うということになります。

一定期間のリスクとリターンをある均衡地点に置いた場合、理論上それ以上のリターンは期待できません。

ここから動かせるドライバーは「資本をより多く投下できるか(入金力を高められるか)」と「資本を市場に投下する時間を延ばせるか」しか残らないのです。

これを理解できていないと、他者の高い収益報告やテクニカルな方法論に揺
さぶられ、不必要なリスクをとる行動をしてしまいます。
※そしてだいたい損します

下記は「100万円を10年前にどれかに投資していた場合」的なお話です、、、

①S&P500:100万円 ⇒ 約270万円(約2.7倍)
②アマゾン  :100万円 ⇒ 約1200万円(約12倍)
③ビットコイン:100万円 ⇒ 約1.5億円(約150倍)

過去10年でのリターンイメージ

これをみて、あなたは何を感じ、何を考え、どう行動したくなるでしょう?

「時代はビットコイン、これからもビットコインだな!」となり、「ビットコイン全力投資!」となるのであれば、収益率を軸とした相対的なものの見方に支配されていると思います。

暗号通貨や個別株に投資することが悪いという話ではなく、期待リターンとリスクをセットで考え、自身のリスク許容度を加味したうえで、資産配分を考えるのが基本のキでしょう。

理想としてはより低いリスクで自分の目的を達成できるに越したことはありません。
※ちなみに筆者は個別株にも投資していますし、ごく少量ですがビットコインも持っています

結論です。

個人の資産形成を目的とした資産運用は自分自身の資産形成のゴール(いつまでに/どのくらい)を定める事がなによりも大切です。

そしてそれを達成するための実現可能性が高く、合理的な手段を選択したあとは、他者や他の商品とのパフォーマン比較はしないこと。

要するに”相対的”ではなく”絶対的”な視点で考えたほうが、心穏やかに長く個人の資産形成を続けられる可能性が高いですよ、というお話でした。


おしまい

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