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半導体と国防

「半導体製造が止まる危機、人類の文明は終わりの日を迎えてしまうのか?」
(JBpress/湯之上隆)


 湯之上氏の事を私は詳しく知らないが、少なくとも氏が語るマーケティング理論であったり、半導体産業に対する見解は、非常に有益なものである。
 半導体と言えば、古賀茂明とかいう韓国人らしき男や、加谷珪一とかいう経済テロリストが好んで話題にするが、引用した記事を読めば分かる様に、コイツらとは格が違うという事である。

 さて、ここで問題になっているのは、エッチング工程で用いられる冷媒についてである。
 -100 ℃ で凍結せず、しかも実用レベルで流動性を保て、電気絶縁性と実用レベルの熱伝導性を有し、大気開放や漏洩を許容出来る液体というのは、探してみると分かるが、本当に見つからない。(そうそう探すことも無いと思うが。)
 フロリナート、ノベック、ガルデンというのは、これらの条件をクリアする液体である。

 ここで、「何々と何々の混合液なら物理的に可能」などと言い出す者が出てくる。そして返す刀で、「だからそれを使えば良い」などとのたまい、最後に、「日本はそのような技術開発に出遅れた」と言い放って締める。
 よく、全個体電池で日本をDisる際に使用される論法であるが、特注で作ろうと思えば日本だって作れる訳で、問題になるのは量産である。
 安定的に原材料を入手出来、商業ベースで採算の合うコストで製造出来、需要に見合う量を継続的に生産出来、その上で環境基準を満たさなければならない。この様な製品自体の設計から始まって、製造設備の設計・建設までを考えると、本来なら 10 年は欲しい。超特急で取り組んで 5 年である。
 しかし、タイムリミットは僅か 3 年という事である。これは余りに厳しい。


 しかし、更に厳しい条件がある。
 ちょっと引用した記事から抜粋してみる。

要するに、業界団体も、政治家も、表では「半導体は戦略物資」だの、「半導体のサプライチェーの強靭化が重要」だの、「半導体は産業のコメならぬ産業の頭脳であり心臓」などとキレイごとを言っているが、日本半導体産業の危機的事態に「知らんぷり」を決め込んでいたわけだ。
 そして、過去の経緯から言うと、半導体の業界団体も、政府も誰も助けてはくれないだろう。しかし、四の五の言っていても始まらない。「天は自ら助くる者を助く」という。既にカウントダウンは始まっている。可及的速やかに対策を講じなければ間に合わない。

出典:JBpressより

 日本の半導体業界が知らんぷり出来る理由であるが、彼らの多くは半導体製造装置のメーカであり、商品の供給先は海外の半導体製造会社である。だから、冷媒が無くなる問題は直接関係無いという事であろう。
 政治家が動かない事については、最早ヤツらの得意技と言うしかないレベルの愚かしさである。

 今回のケース、特に日本の場合であるが、半導体が製造されなくなったり製造量が激減するという事態になって、先ず真っ先に困るのは、半導体を使用した製品を作っている企業という事である。
 つまり、半導体の素人が、自分で半導体の製造に関わる問題を解決しなければならないという事になる。
 その上、ほぼ無理な時間制限付きである。
 厳しいとか生易しい感じでは無く、最早絶望と言うしか無い。


 日本には「製造業は時代遅れ」などと、赤羽で泥酔したオヤジみたいな戯言を素面で吐くバカが存在するが、何度この様な台詞を吐いたところで、先進各国は何処も例外無く製造業によって経済が成立っているという事実は、微塵も変わらない。
 経済の崩壊は国家の崩壊と同義である。だから、今回の半導体問題は国家規模で総動員して当たらなければならない問題である。

 これこそ正に、国防であり、即ち政府の仕事ではないか。
 政府というのは我々日本国民が投票した政治家によって運営される。だから、先ずは我々日本国民が問題を認識しなければならない。政府が動かないのは、詰まるところ我々日本国民の責任である。


※補足①

 自動車産業では燃料電池の研究開発も行っているが、燃料電池の冷却にもフロリナートが使用されている筈である。
 彼らはどうするつもりであろうか。極低温にする訳では無いから、条件はもう少し緩いと思うが・・・。

※補足②

 我々日本国民が問題を認識しなければならない訳であるが、それを邪魔するのがメディアである。
 古賀茂明とか加谷珪一みたいな輩の意見を報道して、国民の認識を阻害する。
 厄介な事この上無い。

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