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統合失調症と付き合いながら夢を叶える生き方

私は十六歳で統合失調症になり、現在、四十五歳で、病気と付き合いながら介護士の仕事をしています。
私には夢があり小説家になることです。
統合失調症になる前、十四歳からマンガ家になることを夢見ていました。
しかし、二十代で自分には絵の才能が無いことに気づき、小説家に夢を変えました。
基本的に物語を作りたいと思っているようです。
小説家と言っても、世界的に有名な小説家になりたいと思っています。
これは妄想だと言われるかもしれませんが、その夢にしがみつくことで私は統合失調症の急性期、精神科を受診もせず、大学受験を乗り越えました。夢がなかったら、あの苦しみの中で死を選んでいたと思います。
だから、寛解に近い今でも、大きな夢は捨てないようにしています。
狂っているかもしれませんが、私は小説家として世界史に名を残すために生きています。
しかし、それだけが夢ではなくて、他にも夢はあり、それは海外旅行をたくさんしたいということです。世界中を見て回りたい、マチュピチュ、エジプト、グランドキャニオン、イグアスの滝、メキシコの古代遺跡、アンコールワットなどなど、まだ行ったことのないところがたくさんあります。現在は介護職で時間もおカネもないので、代わりに趣味として登山をしています。小説が売れればカネと時間ができるので、海外旅行をしまくりたいと思います。その見聞を小説にフィードバックする人生にしたいです。
登山は、海外旅行の代わりにと言いましたが、これもすでに私の人生の軸のひとつになっています。介護職に就いた十年前から毎夏、最低一回は泊まりで登山をしています。住んでいる場所が静岡県なので、中部地方の山、特に日本アルプスに登っています。
登山を始めてみて、山の知識が増えました。
日本には多くの魅力ある山があります。
私には日本全体にどんな山があるのか明確な地図がなく、ただ登った山から見えた別の山を次の目標にすることが多いです。
この十年で、槍ヶ岳、奥穂高岳、前穂高岳、剣岳、立山、赤石岳、聖岳、荒川三山、八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、鳳凰三山、などと登って来ました。
山小屋などで読んだ本で、山との出会いがあることもあります。
例えば、ジャンダルムという岩山があります。それは奥穂高岳から西穂高岳に至る稜線上にある岩山で、登山者の憧れの山だということです。北アルプスの一般登山道最難関にあるとのことです。私は今年、そのジャンダルムに登る予定です。毎年、登る山を決めて、それに向けて準備をし、実際に登る。これは夢をひとつひとつ叶えていくことで、良い生きがいとなります。
小説家になるというのも夢ですが、登山も夢です。毎年叶う夢です。
私はそんな人生を面白いと思っています。
病気が治ってないから幸福かどうかはわかりません。
私は幸福というものを、仏教の悟りの境地のようなもの、と高く設定しています。
だから、幸福になろうとそれだけを目標にするのではなく、今、楽しめることは楽しんでおこうと、そんな人生を生きています。
統合失調症になったことも含めて、まんざらでもない人生だと思っています。
私は十四歳の時、手塚治虫に憧れて、マンガ家を目指し始めました。
手塚治虫の『火の鳥』や『ブッダ』を読んで仏教に関心を持ちました。
だから、仏教をやっている人の、悟りを得るための修行というのはわからなくもないのです。
しかし、例えば、悟りを得るために、座禅ばかりしている人生は楽しいでしょうか?
悟りを開くために生きる人生は楽しいでしょうか?
もうちょっと言い方を変えれば、幸福になろうと努力する人生は楽しい人生でしょうか?
私は小説家になれたら幸福になれるとは思っていません。
先に述べたように幸福とは悟りの境地のようなものと思っているからです。
小説家になるのは夢ですが、叶ったら幸福になるとかじゃなくて、ただ満足するのだと思います。
山に登って満足するのと同じです。
私は十六歳で統合失調症を発症し、二十一歳で初診を受け、そのとき誓ったのは、薬を飲み続ける、睡眠はしっかり取る(徹夜はしない)、このふたつです。
この誓いを二十五年間守り通しています。
現在は老人ホームで介護職をしていますが、徹夜はしない誓いがあるため、夜勤は免除してもらっています。それ以外はなんでもやります。
夜勤をやらないから正規職員にはしないと言われ、パートで十年がんばったら、夜勤無しの正規職員にしてくれました。
介護の仕事に夢があるわけではなく、小説家を目指すのに、適度に体を動かし、精神も酷使しない仕事であるために都合が良いので十年以上続いています。
介護の仕事は嫌いではなく、人間の尊厳に関わる深い仕事だと思っています。
もし、小説家になれなくても、定年まで介護職でよいと覚悟はできています。
結婚もまだ相手はいませんがしたいと思っています。
結婚とか、趣味とか、仕事とか、夢とか、統合失調症を理由に諦めるようなものではないと思います。
希望を持って生きたいと思います。
あの急性期、「死んでたまるか」と思って耐えた日々に思いを馳せれば、どんな困難も乗り越えていけると信じています。

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