【短編小説】パネルマジックTokyo
電車がカーブにさしかかって大きく揺れる。
横長に伸びた座席の端にある鉄パイプの手すりに身体が軽く押し付けられるのを感じた。
昼過ぎの電車は混雑とは程遠く、穏やかな光が窓ガラスから差し込んでいた。
しかし空いていた俺の隣に知らない女が座ったので舌打ちをして座席を立った。
鉄道会社が客に座ってもらう為に取り付けた座席を、だ。
理由はひとつ、シンプルだ。
世界はクソで埋め尽くされている。
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