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【短編小説】精神メタボリズム失敗シンドローム

 中銀カプセルタワービルだとかカルーセル型メリーゴーラウンドだとか、残って欲しいと思われるものが世の中には存在している。
 もっと小さい範囲で言えば鉄道の線路を跨ぐ陸橋だとか、行者ニンニク天を出す蕎麦屋だとか。
 そしてそれらは惜しまれながら死んでいく。惜しまれながら死んでいく英雄だ。


 あいつらは犯罪にならない。
 煙草やバイクと違うからな。残る事で厭がる人間は少ない。残って欲しいと願われるし、残って欲しいと願う人間も許される。
 煙草やバイクと違うからな。煙草もバイクも自由には含まれない。加害だからだ。敵だ。滅ぼすべき存在だ。それを愛する者は単なる狂信者でしかない。
 異教徒だ。
 異邦人だ。

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