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USでの給料はどのようになっている?

 毎年USではこの時期(1-3月)はTax Returnで盛り上がります。USでは個人で確定申告をする必要があるため、自分の給料だったり株やその他の利益や今後の方針等を考えるきっかけになります。そこでUSの多くのTech系で取り入れられているSalaryに関して自分なりに理解している部分をnoteにまとめておきます。
 
 これが一般的かと言われると、そうとも言えないので会社の方針や都合により呼称や年数などが違ったりします。あくまで参考ということで。

自己紹介

日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。


Salaryの内容

 ご存知のように、USでは年棒です。つまりあなたの年収は$xxxですと提示され、社員となると単純に月の給料は$xxx/12となります。そこから税金やBenefits(医療保険、401kなどなど)が引かれた額が毎月の給料として銀行に振り込まれます。日本の場合は年に2回(夏と冬)ボーナスが換算されるかと思います。

 USの場合は、これに加えて株式によって支払われる部分があります。それが最近日本でも話題のRSUだったり、ストックオプション(SO)だったりします。SONYでもRSU導入がはじまたりしていますね。これらに関して少し自分の経験を踏まえて説明します。

RSU(Restricted Stock Unit)

 これは、雇用開始時や雇用更新時に会社より付与される制限付株式です。会社にもよりますが、提示額分が最初に付与(Grant)されますが、即座に売買することは不可能で、半年から1年の待機期間後(Lock期間)に売買が可能になるのが一般的です。だたLock期間が開けても、全てを一括で渡されることはほぼなく、一部の株式数だけが売買可能になります(Vest)。Vestされた後は普通の株式と同じ扱いになるので、保持することも可能ですし、即座に市場で売却する(Excercise)こともできます。

 このようにRSUには売却するまでに時間がかかるので、転職などをした初年度は給料が少ないという状態が発生します。これを補うために次のような仕組みが取り入れられています。

Sign-inボーナス

 前述のようにRSUは現金になるまでに時差があるため、即効性がありません。なので会社によっては初年度(大抵は3ヶ月経ってから)にSign-inボーナスが出ます。これで初年度の給料が転職により激減してしまうのを補うことができます。
 ただし、契約によりSign-inボーナスをもらって直ぐに(1年以内)やめると全額返却を求めるなどの付帯条件がついている場合が多いです。

Refresher(継続勤務による報酬)

 RSUの仕組みとなじで、1年目以降に付与されるものです。これは仕事の成績や成果を会社が評価し、新たに付与されるRSUのことです。仕組みはRSUと同じなのでRSUの部分をご参照ください。

ストックオプション

 RSUが導入されておらず、Salaryの一部としてストックオプションが付与される場合と、役職によってRSUとストックオプションを使い分けるというのをみたことがあります。両方同時に付与されるのはかなり稀だと思います。
 目的はRSUと同じでSalaryの一部として会社の株式の一部を付与するというものです。RSUとストックオプションの違いに関してはこちらの記事の方が詳しく書いてあるのでご参照ください。

支払われるSalaryのSimulation

 ここまでは説明で、具体的に毎年のSalaryはどうなるかがよくわからないと思います。なのでBay AreaでTech系に勤めている平均値を使い簡単にSimulationしてみました。

仮定は以下です。

  • Baseは$150K

  • 契約時にTotalで$200KのRSUが付与される。ただしVest期間は4年でLock期間は1年

  • Sign-inボーナスは$30Kで初年度一括払い

  • 毎年ボーナスまたはProfit sharingとして$15Kが支払われる

  • Refresherは1年目からで契約時のRSUと同じようにLock期間は1年で、Vest期間は4年間とする。初年度は成果なしとし付与はなし

毎年の年収をSimulation

積み上げグラフで書くとこのようになります。

 このグラフを見ていただくとわかりますが、契約時のRSUの影響が大きく年収は4年目がPeakとなります。5年目はRefresherの積み上げ部分のみが残ります。特に4年目のRefresherをかなり持ち上げないと4年目の年収を維持できなくなります。つまり入社して4年目までにある程度の成果や昇進してBase給料をあげないと5年目からは給料が下がるということになります。

年収の推移グラフ

 よく言われるUSのTech系エンジニアは4年もしたら転職してしまうというのはこのような理由かもしれませんね。4年で経験を積み転職することでBaseを上げかつ契約時のRSUを沢山もらうを繰り返しているのかもしれませんね。上手く転職時の交渉をするとSign-inボーナスを多めに貰うことが可能なのでそうすると、4年目の年収を維持することも可能かもしれませんね。。。

まとめ

 USのTech系で取り入れられているSalary体系に関してまとめました。Simulationをしてみることで、4年目に転職する人が多いかが考察できたと思います。


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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。