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ピンクのエプロンを着てナナの帰りを待ちながら料理するハチになる夕方。

私は実家暮らしで未だに母親に頼って生きているけれど、仕事で帰りが遅くなる家族のために時々料理をする。料理をするようになったのはまだここ3年くらいのことだけれど、キッチンに立つようになった私に、母がエプロンを買ってくれた。

Francfrancのピンクの花柄のエプロン。

華やかな花柄にピンクのリボン。どうせ着るならエプロン1つでもかわいいものを着たいという女の子の望みを叶えてくれるこのデザイン。見た目がかわいいだけあって、エプロンにしてはちょっと値段が高かった。だけど母が買ってくれたので、料理をする時は必ずこれを着る。

これを買った時、少女漫画『NANA』の主人公、ハチが着てそうなエプロンだなと思った。

ハチという女の子は作中で、好きな男を追いかけて上京するような大胆さを持ちながら、仕事は長続きしないしその癖していつまでも夢見がちだし、これといった特技がある訳でもない。だけど唯一ハチが得意なのが料理で、同居人のナナやその友達たちからは評判が良い。

私が特に印象的なのは、ライブを終えたナナの帰りを待ちながら夕食を作るシーン。ナナたちが喜ぶ顔を想像して、張り切って料理をするハチ。甘えん坊で頼りないハチだけど、優しさと愛情は強い女の子だと思う。

私がこのエプロンを着る時、あのシーンのハチの気持ちになりきる。かわいいデザインのエプロンを着て、家族の帰りを待ちながら、喜ぶ顔を想像して包丁を握る。私は気が散りやすくてBGMが無いと料理に集中できないので、いつも料理中は音楽を流す。その際に、作中に登場するハチの好きなバンド、"TRAPNEST"のアルバムを聴くことがある。これはアニメ版『NANA』の主題歌を集めたアルバムで、アニメを観たことのある人には馴染みのある曲が詰まっている。

TRAPNESTのボーカルであるレイラの美しく切ない歌声を聴きながらこのエプロンを着て、家族の帰りを待ちながら料理をする私はもう、ハチそのものである。

以前のnoteでも書いたけれど、私はアニメのキャラクターに憧れる癖のある女の子なので、こうやってハチになりきっている間はわくわくできる。家でのエプロン姿なんて別に誰に見せるために着ている訳でもないけれど、着ている時の私はかわいい乙女、ハチになれる。

いつか彼氏ができて同棲したり、結婚したりするようなことがあれば、このエプロンを嫁入り道具の1つとして持っていきたい。このエプロンを着ている時は、少女漫画の主人公でいられるから。

自分の書いた言葉を本にするのがずっと夢です。