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クリスマスケーキの上の砂糖菓子のサンタさんを相手にあげられることが愛なのだと思う。

ホールケーキを注文すると、真ん中のチョコレートのプレートを誰にあげればいいのかという小さな問題が発生する。誕生日であれば主役にあげるのが基本になるが、それ以外の特に主役のいない時のケーキだと「誰が食べる?」となりがち。

私はひとりっ子なので、昔からいつもそのチョコレートが与えられる。クリスマスケーキを注文すれば、砂糖菓子のサンタさんは私のお皿に乗せられることになるし、苺が1つ余ると私のところに1つ多く乗せてもらえる。

私はいつも貰う側で、切り分けてもらう側で、与えてもらう側にいる。

私は現在のところ、正直なことを言えば、「将来子供が欲しい」とは思っていない。自分は愛情にに飢えているから、子供ができてもまっすぐにかわいがれる自信が無いし、自分の生活だけでぐちゃぐちゃになってしまう私が、絶対に守り抜かなければならない存在を抱えることが不安なのだ。

そして現在恋人がいる訳でもなく、私が特別な愛情を注ぐ対象は存在しない。私は恋愛経験が全く無いので、誰かに大きな愛情を注ぐという経験も無く、頭では想像ができても実際に自分が他人に対して愛情を注げるのか分からない。

だけどふと、「私もいつか、クリスマスケーキのサンタさんを誰かに譲りたいと思う日が来るのかな?」と思った。

クリスマスケーキの上のあの砂糖菓子のサンタさんを、何も言わずに自然に相手の小皿に取り分けてあげたいという感情が湧いた時、それが愛なのではないかと思った。

今の私はまだまだ心が子供だから、自分がサンタさん食べたいな、とちょっとだけ思ってしまう。

それでも、私がいつもチョコレートのプレートや砂糖菓子のサンタさんを食べて嬉しかった時のように、誰かに同じ愛情を向けられるようになるのだろうか。見返りを求めず、ただ純粋な愛情を周囲に配れるようになるのだろうか。

いつかきっと、大切な人のお皿の上に、砂糖菓子のサンタさんが倒れないようにそっとケーキを切り分けられるようになりたい。


自分の書いた言葉を本にするのがずっと夢です。