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懐古的だけど、古びてない:映画評「浅草キッド」

劇団ひとり脚本&監督、大泉洋・柳楽優弥主演のNetflixオリジナル。
ビートたけしの「浅草キッド」を原作に、たけしと師匠・深見千三郎の関係を軸に、たけしの修行時代から世に出るまでを描いています。


…ってまあ、ここら辺は僕らの世代だと「聞いたことのある話」。
「今更それを映画化して…」
って気分はあったんですが、あまりに評判がいいので、つい観てしまい…

いや、これはいい映画です。
「浅草芸人」の話なんで、当然「懐古的」な色調はあるんですが、「映画」としてはチャンと新しいものになっている。
70年代でこの題材だと、「男と女のドロドロ」とか、「芸人の僻みやいじめ」とか、「アルコールに溺れた情けなさや人間関係の破綻」とかが取り上げられそうですが、そこら辺はスパッと切ってます。(仄めかしはあるけど)
「そこが物足りない」
ってのもあり得るとは思いますが、「<今>やるんなら、こうだろう」って思い切りが製作者サイドにあるんじゃないかと。
そのことで作品としてのテーマ性がクッキリと浮き上がっているってのもあると思います。
劇団ひとり
やるなぁ。


<以下、ネタバレを含みます。観る予定がある方は、観た後にお読みください>



感心したのは脚本・演出の「キレ」の良さです。
物語の展開上、大きな契機は
・たけしがフランス座を出ていくこと決心する
・テレビ出演で<新しい漫才>を打ち出し、成功へのキッカケを手にする
ってところなんですが、いずれも非常に印象的なシーンに仕上がっています。
それでいて、そのシーンでは、説明的なセリフはなし。
絵面とだけの演出で、グッと迫ってくる。
これはナカナカのモンです。
たけしと師匠の「再会」のシーンも良かったなぁ。
二人が大切にしているものが重なり合って、そこに醸し出される多幸感に観てる僕も酔わされるようでした。


それだけにチョット残念だったのは、「再会後」以降の展開。
ここは少し「説明的過ぎる」印象が僕にはありました。
確かに「言いたい」のは分かるし、実際、泣かされもします。
…なんだけど、前半の「キレ」から考えると、もっとここはシャープに演れたんじゃないか…と。
いや、泣いといて何言ってんねん…なんだけどw。


「現代」パートで柳楽優弥さんは特殊メイクで「ビートたけし」に扮します。
この「リアルさ」は驚くべきだし、ここまで再現できてるからこそ、この作品は成立しているとも言えるでしょう。
そういう意味でも<今>だから作れた作品でもありますね。


いやぁ、劇団ひとり。
ほんと大したもんですわ。


#映画感想文
#浅草キッド
#Netflix
#劇団ひとり
#大泉洋
#柳楽優弥
#ビートたけし

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