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珈琲と写真。


料理の写真は撮れない。

ひとたび料理が盛られた湯気の立つ皿を目の前にしてしまうとたちまち理性がふっ飛んで、料理と己の食欲以外のすべての存在がこの世界から消え失せる。真っ白な無の世界に、料理と私。さながら映画「マトリックス」の有名な戦闘シーンである。露出や焦点距離をいかに合わせられようか。

いただきます、とばかりに飛びかかり、ひとしきり貪って満腹中枢が刺激されるとようやく正気に返って初めて気付く。

しまった、また写真撮るの忘れた!

たまに撮影係の役割を請け負って記録を残さねばならない時などは心頭滅却が必要とされる。もとより足りてない理性をかき集め、なんとか数回シャッターを切る。被写体が食べ物の時だけは、ファインダーは単なる障壁である。そんな心持ちなもんだから後になって写真を見返してみるとたいがい使い物になってない。食欲に圧倒されてウワノソラ感がダダ漏れである。


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しかし、珈琲ならばカメラを向けられる。


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珈琲はラーメンのように伸びたりしないし、焼肉のように焼きすぎて固くなってしまったり、アイスクリームのように溶け出したりしない。(アイスコーヒーの氷は溶けるけど、これは無問題。)


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何かの作業に夢中になってしまい、ふと思い出し慌てて口をつける冷めた珈琲もまたよしである。


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珈琲はこちらのタイミングを待っていてくれる。


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珈琲はそれ自体の味や香りを楽しむことはもとより、その時空間までも一緒に味わうもの。だから景色の一部として捉えることができるのかもしれない。


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美味しい時空間を過ごしましょう。


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あ、すみません、ブレンドお願いします。



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