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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2023年5月の記事一覧

書記の読書記録#913『齋藤正彦 数学講義 行列の解析学』

齋藤正彦『齋藤正彦 数学講義 行列の解析学』のレビュー レビュー従来の線形代数の教科書では,応用数学に関してはあと一歩届いていないものが多かった。本書はペロン-フロベニウスの定理をはじめ,応用上重要なトピックを多数扱っている。多様体やリー群の導入も面白い。 もくじ第0章 齋藤正彦先生に聞く(長岡亮介) 第1章 微積分の骨格 第2章 行列論の骨格 第3章 行列の微積分 第4章 非負行列 第5章 実社会への応用と無限次元への拡張(俣野博) 第6章 多様体の世界へ(松本幸夫)

書記の読書記録#912『児童サービス論:地域とつながる公共図書館の役割 (講座・図書館情報学)』

伊香左和子,塚原 博『児童サービス論:地域とつながる公共図書館の役割 (講座・図書館情報学)』のレビュー レビュー児童が図書から受ける影響は計り知れないものであり,図書館司書には独自の専門性が要求される。本書はサービスの紹介から問題提起まで幅広い記述が見られる。 もくじ児童図書館 児童図書館の発展段階 児童司書の専門性と役割、資質、児童司書職制度 子どもの資料ニーズ、発達段階と読書 児童図書館の蔵書構成 児童資料1 昔話・絵本・児童文学 児童資料2 知識の本 児童資料3 

書記の読書記録#911『ベクトル空間 (日評ベーシック・シリーズ)』

竹山 美宏『ベクトル空間 (日評ベーシック・シリーズ)』のレビュー レビュー佐武『線型代数学』や池田『テンソル代数と表現論』などを補完することができる,ベクトル空間・線形変換・ジョルダン標準形を学習するための教科書。 もくじ第1章 行列と数ベクトル空間 1.1 行列とその演算 1.2 行列式 1.3 逆行列 1.4 数ベクトル空間 第2章 ベクトル空間 2.1 ベクトル空間の定義 2.2 ベクトル空間の例 2.3 ベクトルの演算規則 第3章 部分空間 3.1 部分空間

書記の読書記録#910『トゥー 多様体』

Loring W. Tu(訳:枡田幹也,阿部拓,堀口達也)『トゥー 多様体』のレビュー レビュー松本『多様体の基礎』の続きとして学習するのにちょうど良いレベル感であり,ホモロジー分野への接続に使える教科書。 もくじはじめに 第1章 ユークリッド空間  §1 ユークリッド空間上の滑らかな関数  §2 導分としての RnRn における接ベクトル  §3 多重コベクトルの外積代数  §4 RnRn 上の微分形式 第2章 多様体  §5 多様体  §6 多様体上の滑らかな写像

書記の読書記録#909『演習 相対性理論・重力理論』

アラン・P. ライトマン,ウィリアム・H. プレス,リチャード・H. プライス『演習 相対性理論・重力理論』のレビュー レビュー相対性理論の学習に必携の問題集,高価であるが長く使える本なのでさほど問題にならないだろう。 もくじ第1章 特殊相対論的運動学 第2章 特殊相対論的動力学 第3章 特殊相対論的座標変換,不変量,テンソル 第4章 電磁気学 第5章 物質と放射 第6章 計量 第7章 共変微分と測地線 第8章 微分幾何学:より深い概念 第9章 曲率 第10章 キリングベ

書記の読書記録#908『物理と行列 (物理数学シリーズ 1)』

今村 勤『物理と行列 (物理数学シリーズ 1)』のレビュー レビュー数学科的な線形代数の教科書に比べ,定理の説明はより簡素で,物理(主に量子力学)への応用に関する事項が多めに書かれている。 もくじ第1章 行列と行列式 第2章 ベクトルと変換 第3章 行列の対角化 第4章 物理における行列の例 第5章 行列の関数 第6章 無限次行列 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#907『物理とフーリエ変換 (物理数学シリーズ 3)』

今村 勤『物理とフーリエ変換 (物理数学シリーズ 3)』のレビュー レビュー前半はフーリエ変換について,後半はその応用について解説している。「フーリエ変換」と名のつく教科書の中では難しめで,物理の教科書と併読するのがよい。 もくじ第1章 Fourier級数の導入 第2章 Fourier級数の種類 第3章 Fourier級数の簡単な性質 第4章 Fourier級数の有効な場合 第5章 多重Fourier級数 第6章 Fourier積分変換への移行 第7章 Fourier級数

書記の読書記録#906『トポロジーの絵本 (シュプリンガー数学リーディングス 第8巻)』

G.K.フランシス(訳:宮崎 興二)『トポロジーの絵本 (シュプリンガー数学リーディングス 第8巻)』のレビュー レビュートポロジーに出てくる図形についての2次元での絵がまとめられた専門書で,図形そのものだけでなく2次元に落とし込むこと自体が興味深い研究対象てあろう。 もくじ第1章 図形トポロジー    角箱の中の鞍形面    円筒の中の鞍形面    ホイットニーの傘    ケーリーのカスプ    ピンチ点/分岐点 第2章 技法と道具  3次曲線による比喩  曲面の基本パ

書記の読書記録#905『実例で学ぶ英語学入門: 異文化コミュニケーションのための日英対照研究』

多々良 直弘,松井 真人,八木橋 宏勇『実例で学ぶ英語学入門: 異文化コミュニケーションのための日英対照研究』のレビュー レビュー本書は言語学の入門書でもあり,各理論の入口を紹介している。 もくじ英語学の歴史と対照研究 カテゴリー化 事態把握―状況の捉え方と言語表現 メタファー・メトニミー・シネクドキー 文法化 構文―意味を伝える言語形式 メンタルコーパス―母語話者がもつ言語知識 イメージ・スキーマと意味拡張 バリエーション―イギリス英語、アメリカ英語、そして世界の諸英語

書記の読書記録#904『時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎』

James J. Callahan(訳:樋口 三郎)『時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎』のレビュー レビュー特殊相対論と一般相対論の両方をカバーしており,微積と線形代数の知識でかなりの範囲を読み進められる入門書。相対性理論を学習する最初の1冊でも良いと思う。 もくじ第1章 1905年以前の相対性 第2章 特殊相対論-運動学 第3章 特殊相対論-力学 第4章 一般の座標系 第5章 曲面と曲率 第6章 内在的幾何 第7章 一般相対論 第8章 相対論から導かれるこ

書記の読書記録#903『物理と関数論 (物理数学シリーズ 2)』

今村 勤『物理と関数論 (物理数学シリーズ 2)』のレビュー レビュー複素関数,微分方程式の応用的な解法が本書のメインで,物理に重要なトピックがまとまっている。サブの教科書として使いやすいとは思う,流通が悪いのが難点。 もくじ序  記号表 第1章 複素関数論  §1.1 複素数  §1.2 複素変数の関数と微分  §1.3 初等関数   a)多項式,有理関数,代数関数   b)冪級数   c)指数関数,三角関数,双曲線関数   d)対数関数,逆三角関数   e)一般の冪

書記の読書記録#902『表現論入門セミナー[新装版]第Ⅰ巻 具体例からの表現論入門』

平井 武『表現論入門セミナー[新装版]第Ⅰ巻 具体例からの表現論入門』のレビュー レビュー同著者の『線形代数と群の表現』の続編にあたる表現論の教科書であり,具体例を多くこなすことで慣れていく。 もくじ第1章 群とその作用 第2章 群の作用と群の線形表現 第3章 回転群の表現とその量子力学への応用 第4章 SO(3)、SU(2)およびそのリー環の表現 第5章 有限次元表現から無限次元表現へ 第6章 上半平面・単位円板での分数変換と保型関数・保型形式 本記事のもくじはこちら

書記の読書記録#901『和算百科』

和算研究所『和算百科』のレビュー レビュー日本独自の数学として長い歴史を持つ「和算」についてまとめられた本。初等的な知識でも十分数学を堪能することができる。 和算研究所について; もくじ第I部 和算の黎明  1 日本の数学は古代中国の数学書『九章算術』から始まった  2 田畑の面積計算  3 万葉集と九九  4 律令制度と算博士,算師  5 収穫物の容積計算  6 室町時代の数学  7 平安時代の教科書「口遊」  8 計算道具「算木」「ソロバン」の伝来  9 日本人が書

書記の読書記録#900『テンプレートでそのまま書ける科学英語論文〜ネイティブ編集者のアクセプトされる執筆術』

ポール・ラングマン,今村 友紀子『テンプレートでそのまま書ける科学英語論文〜ネイティブ編集者のアクセプトされる執筆術』のレビュー レビュー論文の執筆からアクセプトまでの流れが簡潔にまとまっている。個人的には付録にある手紙のテンプレートがありがたい。 もくじはじめに I 論文出版の全体像と攻略法 第1章 論文出版ゲーム:いかにして勝つか? 第2章 編集長の最初の審査を通過する 第3章 査読者による評価を知る 第4章 研究テーマの設定から投稿までを俯瞰する I