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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2023年3月の記事一覧

書記の読書記録#840『はじめての英語学 〈改訂版〉』

長谷川 瑞穂(原著)『はじめての英語学 〈改訂版〉』のレビュー レビュー言語学の幅広さについて知るには,ひとまず英語を元に考えるとやりやすいだろう。 もくじ第1章 ことばの起源と語族     1. ことばの起源     2. 語族とは?   第2章 人間のことばと言語研究     1. 人間のことばの特徴     2. 言語研究の対象     3. 言語研究の分野     4. 言語資料の収集     5. 言語研究の方法   第3章 英語の発音とスペリング     1.

書記の読書記録#839『生涯学習概論: 知識基盤社会で学ぶ・学びを支える (講座・図書館情報学)』

渡邊 洋子(編著),前平 泰志(監修)『生涯学習概論: 知識基盤社会で学ぶ・学びを支える (講座・図書館情報学)』のレビュー レビュー生涯学習とは何かをまとめた教科書で,図書館関係者のみならず何らか教育に関わるのであれば知っておきたい内容。 「学ぶ」とはどういうことなのか,生涯学習の流れを知ることで必然的に生じる問いである。 もくじはじめに(前平泰志) 序 章 生涯学習の場としての公共施設を考える(渡邊洋子)     ——本と出会う場としての図書館  1 学習支援者とし

書記の読書記録#838『流体工学と伝熱工学のための次元解析活用法』

五十嵐 保,杉山 均『流体工学と伝熱工学のための次元解析活用法』のレビュー レビュー次元解析の応用について,特に流体力学と伝熱工学における例を数多く示した教科書。本書で当分野の無次元量については網羅できる。 もくじ第1章 次元 1.1 次元 1.2 基本量と2次量 1.3 単位と基本単位系 第2章 次元解析 2.1 次元解析の原理 2.2 π(パイ)定理 2.3 次元定数と基本単位の数 2.4 模型実験と流れの相似則 参考文献 第3章 次元解析の実際 3.1 力学・熱

書記の読書記録#837『例題が語る符号理論―BCH符号・RS符号・QRコード』

池田 和興『例題が語る符号理論―BCH符号・RS符号・QRコード』のレビュー レビュー2章以降がBCH符号・RS符号・QRコードについての例題の山。手を動かしたりMathematicaを使ったりしながら符号に慣れることができる構成。 もくじ第1章 定義と主な定理 §1 ガロア体,最小多項式 §2 線形符号 §3 巡回符号 §4 BCH符号 §5 RS符号 §6 BCH符号とRS符号の復号 §7 積符号,連接符号とその復号 第2章 BCH符号 §1 原始元,最小多項式 §

書記の読書記録#836『解きながら学ぶ量子力学』

武藤 哲也『解きながら学ぶ量子力学』のレビュー レビュー量子力学の教科書としては1冊目で使うレベル感で,数式に抵抗がなければ候補になりうる。 もくじ第1章 量子力学がなぜ必要か-前期量子論から量子力学へ-  1.1 光の粒子性  1.2 電子の波動性  1.3 Schrödinger の波動方程式 第2章 Schrödinger 方程式と波動関数  2.1 Schrödinger 方程式  2.2 物理量と演算子  2.3 波動関数と確率解釈 第3章 簡単なポテンシャ

書記の読書記録#835『向こう岸から』

アレクサンドル ゲルツェン(訳:長縄 光男)『向こう岸から』のレビュー レビュー1848年革命以降にフランスをはじめ数多くの国が革命に見舞われた中での,トクヴィル『フランス二月革命の日々』とマルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』に比肩しうる著書。 もくじ1 嵐の前(船上での会話) 2 嵐の後 3 単一にして不可分なる共和国の第五十七年 4 VIXERUNT!(彼らは生き残った!) 5 CONSOLATIO(なぐさめ) 6 一八四九年へのエピローグ 7 Omnia

書記の読書記録#834『悪霊』(全3巻)

フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー(訳:亀山 郁夫)『悪霊』(全3巻)のレビュー レビュー俗悪と悲劇を結びつけるために多大な労力を要したであろう作品であり,構造を把握するだけでも複数回読まねばならないことは決まっている。その中で訳者による解説は心強い。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#833『ルベーグ積分講義: ルベーグ積分と面積0の不思議な図形たち』

新井 仁之『ルベーグ積分講義: ルベーグ積分と面積0の不思議な図形たち』のレビュー レビュー測度論とルベーグ積分の基本事項を扱う本ではあるが,主流の進め方とは異なり「面積」に比重を置いた構成となっている。ルベーグ積分の違う見方が欲しい場合に適した教科書。 もくじ第1部 面積とはなにか 第1章 素朴な面積の理論  1 ジョルダンによる面積の定義  2 ジョルダンの意味で面積が測定できない図形 第2章 ルベーグの意味の面積  1 有限の世界と無限の世界  2 ルベーグによる面

書記の読書記録#832『符号理論: デジタルコミュニケーションにおける数学』

萩原学『符号理論: デジタルコミュニケーションにおける数学』のレビュー レビュー符号理論のうち,符号についてはハミング符号,LDPC符号,リード・ソロモン符号に絞り,さらに通信路符号化定理,通信路符号化逆定理,復号の計算複雑性にも踏み込んだ理論書。 もくじ第1章 本書を読む上で 第2章 符号理論とは 第3章 集合論 第4章 確率と典型系列 第5章 通信路符号化定理 第6章 通信路符号化逆定理 第7章 ハミング符号 第8章 最小距離復号のNP完全性 第9章 

書記の読書記録#831『次元解析入門 (数学のかんどころ 40)』

矢崎 成俊『次元解析入門 (数学のかんどころ 40)』のレビュー レビュー次元解析の理論と実例をまとめた教科書で,他分野に比べると類書が少なく本書が第一選択になりうる。 もくじ第0章 次元と次元解析の考え方 0.1 次元とは何か 0.2 次元のべきの競争 ―クジラのように大きい鳥がいないのはなぜか 0.3 次元解析の簡単な導入 ―落下距離が時間の2乗に比例する理由 0.4 ピタゴラスの定理 0.5 素朴な疑問 第I部 基礎編 第1章 量,単位,次元 1.1 量と単位 1

書記の読書記録#830『不等式 (数学のかんどころ 9)』

大関 清太『不等式 (数学のかんどころ 9)』のレビュー レビューさまざまな不等式を紹介した本で,題材は面白いのだが単なる羅列が多い,構成にまとまりがなく教科書としては使いにくい。 もくじ第1章 不等式の基本的性質 1.1 不等式による評価 1.2 不等式の簡単な性質 1.3 対称性と同次性 1.4 1次関数の不等式 1.5 2次関数の不等式 第2章 初等的な不等式 2.1 算術・幾何平均の不等式 2.2 微分の応用 第3章 凸数列・凸関数 3.1 凸数

書記の読書記録#829『ひまわりの螺旋 (数学のかんどころ 8)』

来嶋 大二『ひまわりの螺旋 (数学のかんどころ 8)』のレビュー レビューひまわりの種の配置にはフィボナッチ数列が潜んでいる,本書はこれに関する幾つかの分野についてのメモと言える。 もくじ第1章 ひまわりの螺旋 1.1 ひまわりの螺旋 1.2 ゴールデンフラワー 第2章 葉序 2.1 基礎螺旋・葉序の右と左 2.2 シンパー・ブラウンの法則 第3章 斜列法 3.1 斜列法 3.2 葉序3/8 3.3 葉序5/13 3.4 葉序8/21 3.5 開度法と斜列法 第4章

書記の読書記録#828『演習流体力学 (JSMEテキストシリーズ)』

日本機械学会『演習流体力学 (JSMEテキストシリーズ)』のレビュー レビュー同シリーズ『流体力学』と連動した構成で,問題演習を補充するにはちょうど良い。 もくじ第1章 流体の性質と分類 第2章 流れの基礎 第3章 静止流体の力学 第4章 準1次元流れ 第5章 運動量の法則 第6章 管内の流れ 第7章 物体まわりの流れ 第8章 流体の運動方程式 第9章 せん断流 第10章 ポテンシャル流れ 第11章 圧縮性流体の流れ 練習問題解答 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#827『符号理論入門―数学的な基礎知識から「QRコード」の作成まで』

濱屋 進『符号理論入門―数学的な基礎知識から「QRコード」の作成まで』のレビュー レビューQRコードの理解を目標とした符号理論の入門書。会話形式のせいで流れが分かりにくくなっている。 もくじ第1章 授業の説明 第2章 符号理論入門(繰返し符号;パリティ符号 ほか) 第3章 数学的基礎知識(群、環、体;整数環、多項式環、剰余環、剰余類体 ほか) 第4章 QRコードの作成(BCH符号、RS符号、Maxima使用)(QRコード概論;形式情報コードの作成(BCH符号の作成と復号、