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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2022年7月の記事一覧

書記の読書記録#585『偏微分方程式―科学者・技術者のための使い方と解き方』

スタンリー・ファーロウ(訳:伊理正夫,伊理由美)『偏微分方程式―科学者・技術者のための使い方と解き方』のレビュー レビュー偏微分方程式をいかに立てて解くかを少しずつ理解することができる良い教科書。特に物理系の人は必読。 もくじ1. 入 門  1.1 偏微分方程式入門 2. 拡散型の問題  2.1 拡散型の問題(放物型方程式)  2.2 拡散型問題のいろいろな境界条件  2.3 熱伝導方程式の導出  2.4 変数分離  2.5 非同次境界条件を同次境界条件に変換すること  

書記の読書記録#584『統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み』

宮川 雅巳『統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み』のレビュー レビュー因果ダイアグラムの手法を手順立てて学ぶ教科書で,Pearl本と合わせて読むのが良さそう。本書では,Boxによる回帰分析のabuseを問題の起点に,パスダイアグラムの作成とバックドア基準の適用を目標に進む。 もくじ1. 古典的問題意識  1.1 Boxの警告:回帰分析のabuse  l.2 YuleとSimpsonの指摘  1.3 交絡因子の同定とそれによる調整  1.4 本書のプラン 2. 因果推論の

書記の読書記録#583『弁証図解 漢方の基礎と臨床―症状・病名と常用処方』

高山宏世『弁証図解 漢方の基礎と臨床―症状・病名と常用処方』のレビュー レビュー漢方薬をどう使うかを,西洋医学の分類からまとめた教科書で,臨床医のリファレンス用だろう。 もくじ基礎篇(漢方の歴史;漢方の基礎理論) 診断篇(漢方の症候分類(弁証) 漢方の診断技術(四診)) 治療篇(漢方の治療法;症状・疾患別漢方治療) 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#582『複素解析』

L.V.アールフォルス(訳:笠原乾吉 )『複素解析』のレビュー レビューアールフォルスの“COMPLEXANALYSIS”(第3版)の翻訳で,複素解析の標準的な教科書。見た目ほどは難しくない。 もくじ第1章 複素数 第2章 複素関数 第3章 写像としての解析関数 第4章 複素積分 第5章 級数展開と無限積展開 第6章 等角写像 第7章 楕円関数 第8章 大域的解析関数 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#581『曲線と曲面(改訂版) -微分幾何的アプローチ』

梅原 雅顕,山田 光太郎『曲線と曲面(改訂版) -微分幾何的アプローチ』のレビュー レビュー微分幾何学の定番の教科書で,小林『曲線と曲面の微分幾何』と共に基礎を固めるのによい。 第3章は多様体の知識が必要,微分幾何学との関係をより簡易にまとめた教科書に千葉『ベクトル解析からの幾何学入門』がある。 もくじ第1章 曲線  §1 曲線とは何か  §2 曲率とフルネの公式  §3 閉曲線  §4 うずまき線の幾何  §5 空間曲線 第2章 曲面  §6 曲面とは何か  §7 

書記の読書記録#580『同志少女よ、敵を撃て』

逢坂 冬馬『同志少女よ、敵を撃て』のレビュー レビュー2022年本屋大賞受賞作,第166回直木賞候補作。 独ソ戦を舞台に,実在した女性狙撃部隊をモデルとした作品。作者の意図は以下に詳しい: 戦争描写のディテールは読んでいて楽しくなるもので,デビュー作ながらも直木賞候補作に昇るだけの実力を感じた。 しかしながら,本書から読み取れるメッセージ性はいかにも安易なものばかりで,歪んだ事実に対する想像力に欠けていると思う。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#579『標準 ベイズ統計学』

ピーター・D・ホフ(翻訳:入江 薫,橋本 真太郎 ,菅澤 翔之助)『標準 ベイズ統計学』のレビュー レビューベイズ統計学の基本をまとめた教科書で,今後はこれが標準レベルと見なされるか。数理統計学の要素がやや強いので一つ下の難易度の本を読んでから挑むとよい。 例: もくじ1. 導入と例  1.1 導入  1.2 なぜベイズか   1.2.1 稀な事象の確率の推定   1.2.2 予測モデルの構成  1.3 本書の構成  1.4 補足と文献案内 2. 信念,確率,交換可能

書記の読書記録#578『偏微分方程式入門』

金子晃『偏微分方程式入門』のレビュー レビュー本書では,まず物理学における偏微分方程式の例を扱ったのちに数学的理論について説明される。初心者向けではないが長く使える教科書。 もくじ第1部 偏微分方程式の立て方 第2部 偏微分方程式の解き方 第3部 偏微分方程式論の基礎 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#577『固体医薬品の物性評価 第2版』

日本薬剤学会 物性FG『固体医薬品の物性評価 第2版』のレビュー レビュー原薬・製剤の物性評価法について,実際の事例を含めまとめられた教科書。 もくじ第1章 固体医薬品の基礎理論 第2章 固体医薬品の物性測定法の理論と実際 第3章 固体医薬品の物性評価の解析例 第4章 レギュラトリーサイエンスの動向 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#576『黒い皮膚・白い仮面 【新装版】』

『黒い皮膚・白い仮面 【新装版】』のレビュー レビューフランツ・オマー・ファノン (Frantz Omar Fanon、1925年7月20日 - 1961年12月6日) は、植民地主義を批判し、アルジェリア独立運動で指導的役割を果たした思想家・精神科医・革命家。ポストコロニアル理論の先駆者としても認識されている。(Wikipediaより) アルジェリア戦争 1954年に激化したアルジェリアのフランスからの独立戦争。民族解放戦線(FLN)による激しい武力闘争が続いた結果、ド

書記の読書記録#575『おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)』

ウォルト ホイットマン(訳:飯野 友幸)『おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)』のレビュー レビューウォルター・ホイットマン (Walter Whitman, 1819年5月31日 – 1892年3月26日) は、アメリカ合衆国の詩人、随筆家、ジャーナリスト、ヒューマニスト。超越主義から写実主義への過渡期を代表する人物の一人で、作品には両方の様相が取り込まれている。アメリカ文学において最も影響力の大きい作家の一人でもあり、しばしば「自由詩の父」と呼ばれる。(Wik

書記の読書記録#574『「東アジアに哲学はない」のか――京都学派と新儒家』

朝倉 友海『「東アジアに哲学はない」のか――京都学派と新儒家』のレビュー レビュー東アジアにおける哲学は,京都学派と新儒家をともに視野に入れて受け止めることから始まるー本書が伝えたいことは,この一点に尽きる。(あとがきより) 西洋哲学と東アジア哲学の違いについて触れつつ,京都学派と新儒家の進展について説明する。新たな創設への希求,ディアレクティークの欠如など。 もくじ第1章 東アジアと西洋哲学―「哲学なし」とはどういうことか(近代哲学の歴史的意義―ベーコン、デカルト、そ

書記の読書記録#573『質的研究入門―“人間の科学”のための方法論』

ウヴェ フリック(訳:小田 博志)『質的研究入門―“人間の科学”のための方法論』のレビュー レビュー人文・社会科学系や医療・看護系などでは避けては通れない分野である質的研究についての,広くまとめられた教科書。今後当分野がサイエンスとして成り立つかどうか注目。 もくじ第1部 フレームワーク 第2部 理論からテクストへ 第3部 研究デザイン 第4部 口頭データ 第5部 観察と媒介データ 第6部 テクストから理論へ 第7部 質的研究の基礎づけと執筆 第8部 質的研究:統合と展望

書記の読書記録#572『ノーベル経済学賞 天才たちから専門家たちへ』

根井雅弘(編著)『ノーベル経済学賞 天才たちから専門家たちへ』のレビュー レビュー現代の経済学を知る上で,ノーベル経済学賞の流れを追うことは有効だろう。本書では各人物の功績が簡単にまとめられている。 もくじはしがき  第一章 百家争鳴のパイオニアたち 1969-1979 1 もっとも幸福な時代 2 発展の礎 3 観察ツールの確立 4 思想への影響 第二章 ケインジアンと自由市場主義者 1980-1989 1 大恐慌時代に育って 2 ケインジアンたち 3 自由市場主義者 4