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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2020年10月の記事一覧

書記の読書記録#27「数学序説」

吉田洋一・赤攝也「数学序説」のレビューと読書記録 レビュー「教養の数学」と銘打っており,幾何学から確率論まで,数学が発展していった歴史とともに振り返るような本。 これを読んだところで数学ができるようになるかはわからないが,全体を俯瞰するための思考体系を身につけるには良いと思う。むしろ文系向け(公理主義に対する議論とか,逆に文系の方が得意なのでは?)。 決して簡単な本ではない,大学教養レベルを要求される点もあるが,その読みやすさゆえ推薦。 読書記録# 1p17〜88 ・

書記の読書記録#26「こわいもの知らずの病理学講義」

仲野徹「こわいもの知らずの病理学講義」のレビューと読書記録 レビュー病理学の入門書として,非専門の人々が読める範囲を意識した感じの本。ブルーバックス的な。入門と言っても,あくまで医学系の中の導入であって次読むなら標準の教科書へ,くらいには難しい(個人的な感覚として,読み応えはそれなりにあった,読み流す分には良い本)。 内容の半分はがんに関するもので,総論から各論まで幅広く,一通りの知識は本書でさらうことができる。 読書記録# 1p18〜102 ・病理学の起源・細胞,組織

書記の読書記録#25 メシアン「音楽言語の技法」

オリヴィエ・メシアン(細野孝興訳)「音楽言語の技法」のレビューと読書記録 レビュー本書は作曲家自身による,自らの音楽の理論について書かれた本である。キーワードは「不可逆リズム」と「移高が限られた旋法」。 こればかりは読み切れたとは言い切れないと断言できるので,残りはメシアンの作品の案内をするにとどめておく。 極めて特徴とされる作品(巻末より)を以下に列挙する,予め聴き込んでおくことで理論の方向性がわかりやすくなると思う。 ピアノ曲:Visions de I’Amen

書記の読書記録#24「ローマ帝国衰亡史 2」

E.ギボン著(中野好夫訳)「ローマ帝国衰亡史 2」のレビューと読書記録 レビュー第2巻は,クラウディウス帝からコンスタンティヌス帝によるローマ再統一までと,初期キリスト教とローマ帝国の関係について。ギボンは,キリスト教の発生から国教として採用されるまでの過程を,ローマ帝国の衰亡を語るに避けて通れないものとしている。 読書記録# 1 p7〜112 ・アウレオルスの叛乱・クラウディウス帝,軍の改革・ゴート軍侵入,クラウディウス帝の勝利,病没・アウレリアヌス帝,,ゴート人との条

書記の読書記録#23「プログラミング言語の基礎概念」

五十嵐淳「プログラミング言語の基礎概念」のレビューと読書記録。 レビュープログラムの動作を数学的に厳密に記述するための意味論,型システム,それらに関連する基礎概念について取り扱った本で,関数型言語であるMLにより記述される。オンライン演習システム付き。 読書記録# 1 p2〜48 ・意味論や型システム記述の枠組みとしての導出システム(判断を推論規則に従って導くための記述体系)・ペアノ自然数の加算,乗算システム・導出木・算術式の評価と簡約:バッカス-ナウア記法(BNF)→再

書記の読書記録#22「オブジェクト指向でなぜつくるのか」

平沢章「オブジェクト指向でなぜつくるのか」のレビューと読書記録。 レビューまさに表題通り,オブジェクト指向で「なぜ」つくるのかについて書かれた本。オブジェクト指向という用語は,プログラミングに触れたばかりの人でも耳にすることと思う。一方でなぜそれをつかうのか,設定するのは容易ではない。 ポイントは,オブジェクト指向には,抽象的な「汎用の整理術」と,具体的な「プログラミング技術」の2つの側面があること。この辺を意識するだけでも見通しは良くなると思う,本書はその役割を果たして

書記の読書記録#21「計算機システム基礎」

山田宏尚,毛利哲也著「計算機システム基礎」のレビューと読書記録。 レビュー主に論理回路とアセンブル言語,コンピュータアーキテクチャの範囲を網羅した,コンパクトな入門書。知識の確認にちょうどいい。 読書記録# 1 p1〜60 ・フォンノイマン型コンピュータ(プログラム内蔵,逐次処理方式)・コンピュータの種類・コンピュータの5大装置・制御装置:PR,IR,デコーダ・位取り記数法・負数の表現:符号付き絶対値,2の補数,オフセット・乗算:ブースのアルゴリズム・除算:引き戻し法,引

書記の読書記録#20 芦部信喜「憲法」

芦部信喜「憲法」についてのレビューと読書記録。 レビュー憲法を学問として理解するための基本書。一冊で憲法にまつわる問題を一通りさらうことができる。機会があるたびに通読することで基本の考え方を定着させるのも手。 本の読み方はこちらが参考になる。 読書記録# 1 p3〜72 ・憲法とは国家を基礎付ける法・型式的意味,実質的意味・近代憲法の特質:自由の基礎法,制限規範,最高法規・明治憲法:神権主義の濃い立憲君主制・日本国憲法の制定・マッカーサー三原則・日本国憲法の民定性:八月

書記の読書記録#19「分子進化の中立説」

木村資生「分子進化の中立説」についてのレビューと読書記録。 レビュー木村資生が唱えた分子進化の理論。タンパク質や核酸に見られる突然変異の多くは,適応上特に有利でも不利でもなく,そうした中立突然変異が遺伝的浮動を通じて集団内に固定されることによって分子進化が起こるという説。 これを立証するための議論が詳細に展開された専門書。数々の批判に耐えうるものとなっており,現在では定説として広まっている。当時の数理統計による記述が多い。 読書記録# 1 p17〜71 ・ラマルクの進化

書記の読書記録#18「大学入試問題で語る数論の世界」

清水健一「大学入試問題で語る数論の世界」のレビューと読書記録。 レビュー大学入試でいう整数問題について,数論の分野にどのようにつながっているかが書かれた本。ほとんど高校までの数学知識で読めるので気軽に手をつけていいと思う。入試問題というのは後になって見返すと案外おもしろかったりする。 読書記録 # 1 p10〜98 ・コラッツの問題・チェビシェフの定理・ディリクレの算術級数の定理・双子素数,三つ子素数,k組素数・ソフィージェルマンの素数・楕円曲線・類体論・完全数・メルセン

書記の読書記録#17「ローマ帝国衰亡史 1」

E.ギボン著(中野好夫訳)「ローマ帝国衰亡史 1」のレビューと読書記録まとめ。 レビュー18世紀イギリスの歴史家エドワード・ギボンによって,古代ローマ帝国の衰亡を記述した歴史書の古典大作である。現在となっては学術書としての権威は衰えたものの,読み物として純粋に楽しめるようになっている。全10巻。 読書記録# 1 p31〜123 ・2世紀のローマ帝国・アウグストゥス帝による拡大抑制策・例外:ブリタニア征服,ダキア征服・トラヤヌス帝の東方への遠征,ハドリアヌス帝は放棄・ローマ

書記の読書記録#16「連分数のふしぎ」

木村俊一「連分数のふしぎ」のレビューと読書記録まとめ。 レビュー連分数とは,分母の中に分数が含まれ,その分数の分母の中にさらに分数が含まれ……というように分数が次々に連なったもの。 連分数をベースに,無理数やユークリッドの互除法,連分数近似,黄金比と進んで最終的に超越数まで至る。連分数は単純に見た目が面白い以上に,実用的な都合の良さも持っている。 読書記録まとめ(10/4〜10/6)# 1 p10〜121 ・分数と循環小数の変換,有理数・連分数・2次方程式の解の公式,a

書記の読書記録#15「アルゴリズムとデータ構造」(まとめノート)

西尾 章治郎 (監修)「アルゴリズムとデータ構造」のレビューとまとめノート。 レビュー基本情報技術者試験の受験にあたり,ITパスポートから特に難易度がはね上がる「アルゴリズムとデータ構造」「プログラミング」の対策として先行して学習した。 本書は「アルゴリズムとデータ構造」の最低限をまとめた教科書で,擬似コードと図解からその仕組みを学ぶことができる。入門書と言うには本格的だが,選択肢の一つとしてはありか。 まとめノート(全14p) 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#14「グラフ理論入門」

R.J.ウィルソン「グラフ理論入門」のレビューと読書記録まとめ。 レビューグラフ理論は応用範囲の広い分野であるが,本書はその基礎事項がまとめられている数学書である。位相幾何学あたりは知っておいた方が良さそう。 読書記録まとめ(10/1〜10/3)# 1 p1〜82 ・単純グラフ・連結,隣接・握手補題・プラトングラフ・二部グラフなら閉路は全て偶数長・オイラーグラフ:点の次数が全て偶数・Fleuryのアルゴリズム・ハミルトングラフ:Diracの定理・問題:最短路問題,中国の郵