フルタイム会社員を卒業して起業しました

5人の子供を育てるママです。先月、長年働いた会社を退職しました。理由は障害のある子供のサポートをするため。退職と同時に開業届も出したので、日中を仕事時間に使えるよう起業しました。会社を辞めた理由と、退職してから一か月弱の生活を記載します。

重度知的障害がある息子のこと

結婚し、第1子が生まれてからも約22年間ずっと会社員として働いてきました(現在44歳)。男女雇用機会均等法以降、当たり前に大学に行きずっと働き続けるつもりで、仕事しながらも勉強や研修を受けてきました。働きながらでも子育てはできるし、夫も何でもできる人だし、子供たちも良い子に育っていると実感していました。が、6年前に生まれた4番目の子供には障害があり、発達が非常にゆっくり。6歳の今、洋服を脱ぐことは出来ても一人で着るのは難しい。トイレに連れて行けば用を足すけど、そもそもトイレに行きたいという意思表示は出来ない。コミュニケーションとしての言葉は発せず、大人の手を引っ張ったり、投げたり、唸ったりして伝えてきます。

そんな生活面の自立にまだまだ課題がある我が子。保育園では0歳児から手厚くサポートしてくださり、息子の発達検査では重度知的障害という判定でありながらも、いわゆる障害をさほど障害と感じることのないまま、普通に生活していました。

就学前相談にて

1歳から運動機能として立つ、歩くをサポートしてくださる療育(PT)に通い、2歳から週1回親子通園として社会性や認知を促すよう療育センターに通っていました。実際は仕事との両立は結構大変で月2回くらいしか行けなかったものの、療育らしいことを家ではしてこなかったこと、そもそも時間もないことから療育に関する知識はすべて親子通園で療育センターの先生方から教えてもらいました。

そんな穏やかで緩い子育ての中、今年から年長になった息子の小学校就学にあたり発達検査や就学前相談、学校長や担当の方との面接などが立て続けにありました。

親としては地域の小学校の支援級に私か夫の送り迎え付きで通えればよいと思っていたら、どうやら小学校の支援級には全くついていけなさそうな様子。階段を一人で登れないしトイレの意思表示もできない。そのくせ、好きなものを見つけたら素早く移動したり、投げたり、蛇口の水で遊んでしまう。目が離せない存在...!(良くない意味で)

その結果、支援学校を進められ9月に決定。同時に放課後に働きながら預かってもらえる放課後デイの見学も行きました。かれこれ10か所以上見学したり電話したりしましたが、来年度の空きが見つかりません。そもそも、放課後デイの時間って16や17時くらいまでで、フルタイム、通勤ありで働くことはどうも難しそう。時短勤務が取れればいいけど、就学前までじゃなかったっけ。。。100%在宅勤務がいいけど、さすがに無理かも。。。など色々課題が多すぎました。

また、これらの就学前相談や各所への見学、面談も当たり前に平日。その時間だけ時間休をいただいていたけど、その前後の準備とか調査とか考えることが多すぎて、もはや会社員では時間が足りなすぎました。

あっさり決断

会社員しながら、在宅勤務しながら、有休をやりくりしながら、時間を作って何とかする道と、会社員を辞めて自分で仕事をしながら4番目の息子のみならず5人の子供の成長に向き合っていく道を天秤にかけたとき、もう答えはすぐ決まりました。

最優先は家族。仕事をしていても、それだけは決めていました。むしろ今までよくやってきた。子供たちも夫も私も。その結果、9月上旬、躊躇なく会社員を卒業することに決め、上司に報告、退職願を提出しました。

開業届

とはいえ、5番目の子はまだ年中であと1年半は保育園に通い続けてほしい。17年同じ保育園に途切れることなく通い続け、5人全員卒園させたいので今から新たに幼稚園を探すとかありえない。

子供たちの教育費や生活費だってまだまだかかる。多少の貯金があるとはいえ、仕事大好きな自分としては何等かの形で個人として社会に労働力を貢献したい。

そう考えて、さっさと開業届を出し個人事業主の登録をして自宅で働き続けることに決めました。

余談ですが、22年間の会社員生活の中で1度転職をしています。子供を2人生んで30歳になった年、今から14年前です。会社を退職する旨を話したら、ほとんどの方は「子供2人もいるから子育てに専念するんだね」という反応でした。いや、転職するんです、と言うと驚かれたくらい母親の転職は珍しいことでした。それが今回は退職すると話したら「次の会社はどこですか」「転職ですか」「何をするんですか、起業ですか」といったような反応ばかり。しばらく子育てをすると話すと、驚かれました。それでも「またいつか一緒に仕事しましょう」「子育てが落ち着いたら次に何をするか楽しみ」と言ってくださる方がたくさんいて、ここ10年強で時代が変化したこと、これまで取り組んできた自分の仕事ぶりが認められたようでとても嬉しかったです。

退職してからの日々の生活

さて退職してから今までで約1か月がたちました。子供を保育園に預けている9時~17時までを自分の仕事時間としています。

仕事は大きく2つ。一つは異文化交流ビジネスの構築として、オンライン料理教室の開催、輸入品のオンライン販売。Webサイト構築からSNS広告、マーケティング、翻訳、仕入れ、動画編集もやります。

もう一つは医療機関のオンライン予約システムの導入、契約、教育、運営管理まで。

どれもこれまでの経験をベースになっているばかり。改めて会社員時代は多種多様な経験をさせてもらえたなと感謝でいっぱいです。

起業といっても何から始めたらいいのか分からない。。。と思っていたのもつかの間。会社を辞めたら声をかけてくれる人が周りにいて、電話やオンラインで自宅で打ち合わせしながら十分仕事は進められます。火曜日と木曜日は息子の療育があると伝えているので、実質月水金のみの稼働。好きな時間に好きなだけ自分のペースで。良かった、本当に会社員卒業してよかった。

また、会社を退職した時期と緊急事態宣言が解除された時期が重なり、たくさんの方とランチに出かけました。これまで平日ランチは会社の同僚飲み、週末遊びに出かける個人的な時間はない状態だったので、会いたい人に会いに行けてひたすらお喋りすることは何より贅沢な時間でした。

週2回ほどのランチに加え、海外の友達とのオンラインお喋り、平日の保護者会、授業参観、療育や通院などに毎日何かしらの予定があるものです。実は会社員時代は全て優先順位を下げていたもの。子供の保護者会も今までは欠席することが多かったのできちんと出席すると子供との会話や理解も深まるものだなと感心することしきりでした。

得たもの、これから得るもの

子供が生まれてからはずっと慌ただしく時間管理に追われていた生活だったのが、この1か月弱で、時間的な余裕を大事にすることを学びました。4番目の子の療育や就学準備に多くの時間を割けるようになっただけでなく、長女の大学受験のサポート、次女や三女の勉強・生活のサポート、4歳の末っ子の遊び相手などに真正面から対峙しています。

子供との時間はかけがえのないもの。頭では分かっていても、日々の炊事洗濯家事掃除に追われ生活を整えることに精一杯で、なかなか子供の精神面の支えまでコミットすることは出来ていませでした。新しい生活では、子供たちそれぞれと緊密に向き合い、さらに各自を私がサポートすることで子供たち同士も互いにワイワイと協力することができているように思います。

これまでも要所要所で子供たちと向き合ってきたつもりでも、やはり家族とより多くの時間を過ごせているのはとても素晴らしいことです。子育ては時間より質だと言われることもあります。確かに時間がただ長いだけでは質は上がりません。一方で質を高めるには時間に比例する、とも感じます。会社を辞めて、時間と心の余裕ができて、家族の時間が増えたことが私が得たものです。

またこれから得るものとして目指すのが、起業を通した新たな社会的繋がりと金銭面の余裕です。会社員時代は自然に同じ会社同士で繋がり、同時にお給料も毎月決まった額が入ってきました。これからは自分から積極的に繋がり、価値を提供して対価を得ていかなければいけない。常に頭を使って考え判断し続けることが必要で、子育てと同じくらい気が抜けないものになりそうです。

それも楽しみ。また仕事の話も記録していきたいと思います。

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