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RX 【第4章 ライムライト】 1話 傷物 ♪Deliver Us from Evil


💀自作小説【RX】4章に入りました🧢
若者のシリアスな心情や闇だけでなく、
精神薬のリスクについても描きました。


あらすじ

悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
少年時代 学校生活 精神病院 そして闇は光へ
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
4章 退院後、うよ曲折を経て希望を見つける


前回はこちら ↓



RX 〜悩める若者への処方箋〜
🔵第4章 ライムライト 1話 傷物




いよいよ退院を迎え、再び立つスタート地点。

ここから、今から、新たな人生の始まりだ。


落ちるところまで落ちたなら、

 あとは這い上がるしかない。

失うものは何もないから、何でもできる。


早速、バイトを始めよう。

高校中退の僕は、

 学歴不問の仕事を必死に探す。


わずかな求人から、スーパーのレジ係を発見。

薄っぺらい履歴書と、

 未知数の不安を抱えて応募した。


バイト初日。

病気を自覚しているからこそ、

 対人への苦手意識が足かせに。

どうやって人と接するべきか わからない。


戸惑って業務に慣れず、ミスを連発。

「いいよ、最初は誰でも失敗するから」

周りに助けられ、なんとか一日を終えた。


ヘトヘトに疲れたが、達成感は大きい。

僕が社会の中で生き、働いている証拠だ。



しかし、また不眠に悩まされた。

明日も朝早いのに、

反省して寝つけず、時間だけが過ぎていく。


焦りから、睡眠薬を多めに飲んだ。

 それは落とし穴。ようこそ悪夢へ。


古びた地下鉄。うす暗く汚れた駅を走る、

通勤ラッシュの電車に僕は揺られていた。


無表情なスーツ姿の大人たちに囲まれる。

降りたくても、

 続々と乗りこむ人だかりに押しこまれ、


車内放送が不気味に笑いかける。

「残念でした」

電車が大きく揺れだし、

 脱線する寸前で僕は飛び起きた。


妙にリアルな怖い夢に、汗びっしょり。

静まり返った部屋に、

 荒い吐息と、胸の鼓動が波打つ。


窮屈で閉鎖的な箱に詰められ、圧迫される。

僕にとって学校や病院は、

 満員電車みたいに過酷な環境だった。


気を落ち着かせるため、今度は精神安定剤。

心のカサブタは はがれ、

 治りかけの傷口が急速に広がった。



寝不足のまま、遅刻ギリギリでバイト先へ。


一度にたくさん指示され、

働かない頭は余計に回らず、こんがらがり、

思考力が追いつかない。また聞き返す。


だんだん僕への当たりが強くなる。

「何回言えば わかるの、もう覚えて」


一向に仕事を習得できず、

真剣にメモをとるが、書くことに集中しすぎ

次の指令を聞き漏らす。その繰り返し。


どんどんレジに長い行列ができる。

「臨機応変に動いて、早く対応して」


足手まといの僕は注意され続け、

 たった数日で、職場の人間関係は悪化。

「本当うざいよな、使い物にならない」


聞こえる声で陰口を言われた僕は、

 店長にトドメを刺され、店を辞めた。

「君はこの仕事に向いてないよ」


家に着くなり、

 大量の薬を一気に水で流しこんだ。


実社会の味は苦く、壁は想像以上に高く。

 期待が弾じき返され、押し寄せる反動。

結局こうなるんだ・・・


 僕は何も変われずに、再び落ちぶれた。


(つづく)


♪イメージソング

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン
「デリバー・アス・フロム・イービル」

メンタルが一番ひどかった頃、
部屋に座りこんで毎日のように聴いていた、
(良くない意味で)思い出の曲です...🖤


この曲のBメロ、
"Will darkness turn to light ?"
訳) 闇は光に変わるのだろうか?
という歌詞が当時は強烈に印象的でした。

先の見えない長いトンネルの暗闇にいるようなこの生活状況、精神状態から、本当に抜け出せれるのか・・・?それが無理なら死ぬしかない
常にそんなことを考えていました。



🔵次回は 4章 2話 狂騒
8/27(日)に投稿予定です🧢


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今週もご通読ありがとうございました👏

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