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RX 4章5話 劇的 ♪City Of Angels


いよいよ4章 最終話です!
最後までお楽しみください


あらすじ

悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
4章 退院後、うよ曲折を経て希望を見つける


前回はこちら ↓



RX 〜悩める若者への処方箋〜
🔵第4章 ライムライト 5話 劇的




真夜中を疾走する高速バス。

 体がこり固まるほど狭い座席。

横の人のイビキが耳栓をも貫き、

 僕は騒音を我慢させられ続け、災難だ。


ようやく目的地に到着。

看板が出迎え、巨大な建物が見えてきた。


"WORLD ARENA"


毎年、ここで、

 プロレスの祭典が開催される。

今年でちょうど20回目らしい。


数々の名勝負が繰り広げられた 戦いの聖地。

神々しい存在感を放った 外観に圧倒される。


午後。開場され、中に入るなり、

 思わず感嘆のタメ息が漏れた。

数万人を収容する、広大なアリーナの壮観。


大会が始まり、全身の鳥肌が立つ。

色とりどりの照明。大音量の入場曲。

 ショーアップされたド派手な演出だ。


はるかに遠い、スタンド席の最後列から観戦。

レスラーは豆粒くらい小さいが、

 テレビで見るよりケタ違いの臨場感。


ライトを浴びたリング上で、

 超人たちが激戦を演じる。

画面ごしで見てきた世界が、目の前に。

僕もあの場所に立ちたい・・・


 止まっていた夢時計が、動き出した。



いよいよ大会の最後を飾るメインイベント。

豪華な入場シーンで、

 花火が打ち上がり、爆音に耳をふさぐ。


有名な外国人スター選手に挑むのは、

期待のスーパールーキーと紹介された、

 僕が知らない、若くて大柄なレスラー。


試合が始まると、

 実力や経験の差で相手に攻められる。

それでも負けじと立ち向かうルーキー。


倒れても、何度も立ち上がる姿に、

 僕の心は打たれ、突き動かされていく。


場内のボルテージは最高潮で、

 手拍子や声援が沸き起こる。


観客は日常を忘れ、年齢も性別も関係なく、

みんな一体となって盛り上がる、熱気の渦。


捨て身のタックルで逆転し、

並外れたパワーで相手を抱え上げて回転。

そして豪快に、床に叩きつけて決着した。


若きヒーローの誕生に、どよめき、

 大きな歓声と感動に包まれる客席。

魂が震えて、情熱が燃え盛った僕は、


ベルトを手にして感極まる、

 新チャンピオンに強く憧れた。


「 勝 者 、 剣 国 ム サ シ ! 」



伝説的な一夜だった。会場の外へ出ると、

満天の星たち。今度こそ きらめいている。


子供の頃からの夢。

中途半端に断念していたが、

 諦めは付いていなかった。


今日、奪い返した。

自分を変える一番の劇薬は、

 夢を持つことだったのだ。


月光を追い求める帰路。

 曲がりくねりながら意志を固め、

結論は出なくとも探し当てた答え。


楽しみも生きがいも そこにあるなら、

 生きるか死ぬかは どっちでもいい。


部屋に戻ると一念発起。

積もった ほこりを払い、ダンベルを握る。


本当の再スタートだ。

レスラーの夢へ走りだした。またしても。


<4章 完>


♪イメージソング

サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ
「シティ・オブ・エンジェルズ」

爽やかであり、力強くもあり、聴いてて心が浄化されるような、なんだか澄んだ活力が湧いてくるような、そんな素敵な曲とMVですね✨


2章の前半で主人公はプロレスから離れ、
4章の後半で再びプロレスに夢を抱きました。

過去と現在の自分が重なるオーバーラップ。
そしてそれは未来へと繋がる、
夢物語のプロローグとなっていくのです。



🟢次回は 5章 1話 勇胆
9/24(日)に投稿予定です🍀


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4章ご通読ありがとうございました😊
来週から始まる5章もお見逃しなく!

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