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【インタビュー】シナリオライター/ゲームライター各務都心氏に10の質問!!

ゲームライターさんへのインタビューシリーズ第4弾は、
シナリオライター/ゲームライターとしてご活躍されている各務都心さんにお願いいたしました!

各務都心さん

ゲームメディアをチェックしている方はReal Sound Tech、Game*Spark、IGN JAPAN、AUTOMATONなどで各務さんの執筆された記事をよく目にしていらっしゃると思います。
また、文章だけでなくトークスキルも高い各務さんは、ゲームメディアの動画にも出演されておいでですし、個人YouTubeチャンネルでも精力的に活動されています。

各務さんの記事は幅広い知識に基づく読み応えのある、それでいて明快な文章が印象的で、ところどころに散りばめられたユーモアもアクセントが効いていると思います!
ニュースやレビューも書かれていますが、一番印象的なのは連載のコラム記事で、毎回多彩な切り口でゲームやゲーム文化を語っていらして、読むのがとても楽しみなシリーズになっています。

今回のインタビューではゲームライターだけでなく「シナリオライター」としての各務さんについての質問も設けてありまして、大変欲張りな仕様となっています。
それぞれについて10問ずつうかがいたくもあるのですが、なんとか絞りに絞った10問となっていますので、ぜひじっくりお読みください!


インタビューはメールで行いましたので、各務さんの回答につきましてはご本人の書かれた文章となっています!



その前に!過去3回のインタビューはこちら!




質問1:自分が各務さんを知ったきっかけは、ゲームメディアの動画に出演されたのを拝見したからなのですが、その際「シナリオライター」という肩書で登場されたことがかなり印象的でした。

ぜひシナリオライターとしてのご活動について詳しくお聞かせいただければと思います。

A:代表作はマーダーミステリー「探偵シド・アップダイク」シリーズです。ウェブで遊べる無料版が2つ、Amazonなどで買える有料版が4つあるので、是非とも触れてみてください。

他には、ソーシャルゲームやインディーゲームのシナリオ、ナイトウォーキング・アトラクションのセリフ台本、アイドルの誕生日会で行われたマダミスのシナリオなども作ってきました。



質問2:各務さんは東京創元社の創設したSF新人賞である「創元SF短編賞」において『虹の石』(『ミステリーズ!』vol.82収録)で第8回山本弘賞を受賞されていらっしゃいますが、それ以前からずっと文章を書かれていることかと思います。
文章を書く面白さに気づいたのはいつ頃で、なにかきっかけがあればそれも教えていただけますか?

A:原初体験は、小学校高学年のときに先生におだてられて、やたらと作文を書きまくってたことだと思います。

次は高校時代にケータイ小説のアワードで自作が賞をいただき、ちょっとお金を貰ったことですかね。とても嬉しかったのを覚えてます。ほぼ全額がiPodとファミチキに消えました。

それから、大学時代に文芸部という創作小説のサークルに入り、真面目に勉強し始めました。同期にSF作家の柴田勝家がいます。ここでコテンパンに自分の小説を叩き直されたことが現在に活きていますね。



質問3:これまでお仕事の上でも、趣味でもたくさんの文章を読まれてきたことかと思われますが、その中で一番好きな文章や本を教えてください。
また、それにまつわる思い出があればお聞かせいただければと思います。

A:一番好きな作家はサキです。ブラックジョークを得意としたイギリスの短編作家なんですが「トバモリー」という短編が素晴らしいので是非読んでみてください。

大学時代にSFとアメリカ文学に目覚めてから、その手の有名どころはなるべく追って読むようにしています。自分のマダミスは大体アメリカが舞台で、珍妙なホラ話をする老人が出てくるんですが、これはその辺りの影響が強いと思いますね。具体的にはR・A・ラファティ、ウィリアム・バロウズ(バロウズは作品以上に本人が好きですが)などが思いつきます。



質問4:シナリオライターとして活躍されている各務さんがゲームライターとしてのお仕事もされるようになった経緯について興味のある方も多いと思います。ぜひその経緯について詳しくお聞かせください。

A:小説家になったはいいけど全然仕事がなくてプラプラしてたところに、僕が受賞した創元SF短編賞の先輩受賞者に高山羽根子さんという方がいらっしゃいまして、その方のお知り合いのボードゲーム・クリエイターと一緒にマーダーミステリーを作ることになったんです。

それで作り上げたマダミスのテストプレイに、元IGNJAPAN副編集長の死に舞こと今井晋さんが来てくれて、その後僕からゲームライティングの仕事がないかお尋ねした形です。

ちなみに今井さんは初対面なのに僕のマダミスを容赦なく批評して去っていきました。なかなか強烈でした。



質問5:おそらく子供の頃からゲームをプレイされてきていらっしゃると思うのですが、きっとある時「ゲームって面白い」と気づいたきっかけがあったはずだと予想しています。
その作品と、どういったシチュエーションだったのかをぜひ教えてください。

A:小さい頃、家にスーファミと64とPS1があったんで、持ってたソフトを遊び倒していました。小学校低学年くらいからゲームは大好きだったと思います。でも、流石に誕生日以外は買ってもらえなかったんで、そのあとはPCのフリーゲームを遊びまくっていた気がします。

今でも大好きなのはPSの『風のクロノア』です。ゲームシナリオを考えるうえでも重要な作品だと思っています。


風のクロノアについてゲームシナリオの解剖学でも取り上げており、プロデューサーの吉沢秀夫さんが細かく語ってらっしゃったのを記事でも引用しているのですが、やはり気持ちのいいアクション性と、期待を裏切るストーリー展開が素晴らしいと思っています。音楽も抜群に良いですね〜。




質問6:幅広いジャンルのゲームを遊んでいらっしゃる各務さんの選ぶ人生のベストゲームとその魅力、それにまつわる思い出についてぜひお聞かせください!

A:個人的に好きなのは上にもある通りクロノアですが、ゲームライター的な答えで言えば『Outer Wilds』だと思います。冗談抜きにこの世で一番スゴいゲームなので、絶対遊んでください。



質問7:シナリオライターとしての執筆活動とゲームライターのライティングはかなり違うとお見受けしますし、ゲームのインタビューやレビューとコラムの書き方もまた違うのではないかと思われます。
また、複数の文章を同時進行で書かれることも多いように思われますが、どのように頭を切り替えて執筆されていらっしゃるのでしょうか?

A:かなり細かいレベルで話し始めると色々あるんで、大雑把に言いますと、ゲームライティングに関しては、遊びながら大体書くことは考えていて、終わったら一気に書き上げるので、そんなに切り替えを意識したことはないです。正直、それこそ小説のように日を分けて何度も書き直してたら赤字なので……。

シナリオライティングに関してはさっき話に出したボードゲーム・クリエイターの方と一緒に作ってるので、実質的に進行やディレクションをお任せしてます。その手のことにまったく自信がないので非常にありがたいですね。



質問8:これまで書かれたシナリオライターとしての作品、またはゲームライターとしての記事の中でもっとも思い入れのあるものと、書かれた時の思い出について教えてください。

A:シナリオライターとしては、ここ5年ほどは「探偵シド・アップダイク」シリーズに心血を注いでいるので、是非とも遊んでみてください。

Game*Sparkだとサガの特集記事が気に入ってます。初めて触れる人に良い感じの記事になったかなと思っています。

IGNJAPANだと「ゲームシナリオの解剖学」の『The Beginner's Guide』ですね。まあ、これは元のゲームが偉大すぎるので、そのまま手なりで書くだけでも良い記事になってくれました。

Real Sound Techでは『ゲームの元ネタを巡る旅』という連載もしています。自分で調べていても毎回新しい発見があってなかなか面白いアングルの企画だと思っているので、是非とも読んでみてください。



質問9:シナリオライターとして、もしくはゲームライターとして、文章の書き手としてのご自分の強みはどこだと思われますか?

A:シナリオライターとしての強みというのは難しいですね……。メールの返信は早いですよ。まあ、それは半分冗談として、自分は欧米文化に対する憧れがあって、バタ臭い設定を書きがちなので、そういうのを求められたらすぐ書けるので強みと言えば強みです。ただその代わりに、現代日本が舞台の作品が好きじゃないので、そういう意味では弱みでもあります。

ゲームライターとしての強みは、大体ほぼすべてのゲームをクリアできるってところでしょうか。高難易度アクションとか対戦ゲームとかは遊びたがらない人もいるので。

ネイティブレベルで英語が読めないのは明確に弱みです。



質問10:シナリオライター/ゲームライターを目指している人になにかアドバイスがあればぜひ教えてください!

A:ゲームライターは、なるために資格もアワードも必要ない仕事なので、目指すうえで特に言えることはないです。なってからは、山ほどゲームを遊ぶことになり、しこたまゲームにまつわるレビューやコラムを書くことになるので、とにかくゲームについて遊び倒すのが良いかと思います。

シナリオライターという肩書きも、同様に自称すれば済むものですが、小説の新人賞や、文章や動画の投稿サイトで目立った功績があると看板にしやすいので、まずはそこを目指すのはどうでしょうか。


各務さんのプロフカード


各務さんのX(旧Twitter)アカウント

各務都心 かがみとしん(@toshinthepump)さん / X



個人YouTubeチャンネル



各務さんへのインタビューを終えて……

シナリオライターとゲームライターの二足のわらじを履いている各務さんへのインタビュー、これまでとはちょっと違った形式でお送りしましたがとても興味深い内容になったのではないかと思います。
それぞれのお話をもっと深掘りしたいとも思ったのですが、結果としてほぼ半分ずつ伺うことにしました。


なかでも小学校時代から文章が得意でいらして、高校の時に受賞経験があるというエピソードが特に印象的で、やはり才能のある方は早いうちから活躍されているのだなと納得させられました。


各務さんはほぼ連日個人YouTubeチャンネルで配信をされていらっしゃいますので、もっと各務さんのお話が聴きたい!という方はぜひそちらもチェックしてみてください!



ゲームライターさんインタビューシリーズについて

さて、4回にわたって連載してきたゲームライターさんへのインタビューですが、いったん今回で最終回といたします。
また機会があれば不定期で再開するかもしれませんので、その時にはまた楽しんで読んでいただければと思います。



自分はただの一般人ゲーマーですが、ゲームライターさんと交流する機会に恵まれ、ぜひともいろいろなお話を伺いたいと思いインタビューをお願いしたのがこのシリーズの始まりでした。
皆さんご多忙にもかかわらず快諾いただいて、とても読み応えのあるインタビュー記事を書いてくださり、こうして公開することができたことについて、とても感謝しています。
また、多くの方に読んでいただき、拡散していただけたこともうれしく思っています。


このnoteはわたし鈴木の個人名義のものではありますが、このインタビューシリーズに関してはほぼライターさんたちが書かれた記事だと言えるでしょう。
大きな反響をいただけたのは、すべてライターさんたちのおかげです。
短い時間ではありますがゲーム業界の最前線でお仕事されていらっしゃる方々とご一緒させていただけて、とてもよい経験になりました!


インタビューに協力してくださったライターの皆さん、これまで読んでくださった皆さんに重ねてお礼を申し上げます。