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旅は人生そのものだ【北海道編】#わたしの旅行記


「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」 

―月日は永遠の旅人であり、過ぎてはやってくる年もまた旅人である。

松尾芭蕉『奥の細道』の冒頭だ。私はこの言葉が大好きだ。
なぜなら、この言葉には「旅とは人生そのものだ」と意味が込められているから。(自分の解釈です)

旅には出会いが付きものだ。人との一期一会な出会い、初めて見る景色との出会い、そのときの自分の感情との出会いまで、常に新しい出会いを届けてくれる。そんな旅が私は本当に大好きだ。

私が22年間生きてきて最高な旅の出会いを書いていきます!


「北海道に行きたい!バイクで!」20歳の夢

大学生女子、バイクの虜に

乗り始めたきっかけは大学の通学に便利だからという理由。

しかし、バイクに乗っているうちに気づいたんです。

風を切って走る爽快感、季節によって違う太陽のキラキラ感、時間帯や天気1つ違うだけで全く異なる五感の刺激にたまらなく虜になっている自分がいました。

太陽の光がキラキラ!青い海と空!

私の冒険心と好奇心を刺激するのがバイクという存在なのです。もうほんと好き!男心ってやつ?をくすぐってくる感じがたまらない…。

あと少しだけ周りから「かっこいい!」と言われて浮かれていた自分もいました(^_^;)
普段からThe女の子ファッションが大好きな人間なので周囲からかなりのギャップに映ったのでしょう。(ドヤッ)

大抵お出かけする時は目的地を決めて、そこがゴールという感覚がある人が多いのでは? 


でも私は違います。(もちろん違わなくないときもある)
目的地はあくまで手段。バイクをただ走らせるための口実にしか過ぎないのです。
きっとライダーの方は共感してくださるかも?


北海道への思い

そんな私が北海道に興味を持った理由。
それは圧倒的スケール感。
この規模の大自然の中をバイクで走ることが出来たらどれだけ幸せなんだろう、と考えるだけでワクワクが止まりませんでした。

十勝平野を一望。圧倒的スケール感。
南富良野町/新得町「狩勝峠」

そして私は生粋の冒険好き。新しい景色や人との出会いにたまらなく幸福感を覚えるんです。


周りが反対しようと関係ない、私の人生だ

でも周囲から(特に家族から)は「やめとけ」と言われていました。

「時間もお金もかかるし初めての土地で何かあったらどうするの」
「1人で大丈夫なの?女の子だし」
「クマとかシカとか出るんでしょ?危ないって」

いいね!楽しんできて!と送り出してくれる友人たちもいましたが、こんな心配をされたこともありました。

正直私は「うるさいな、わかってるって、なんで信用してくれないの?」と悲しい気持ちになりました。

そのときに気づいたんです。
「純粋に心配もしてくれているけど、ただきっと羨ましいだけなんだ。」と。

社会人にもなればまとまった休みを取ることが難しくなり、時間の面で長期間の旅行はハードルが高くなる場合が多いと思います。(もちろんそうではない人も世の中にたくさんいますが。)

しかし、私に反対してきた人たちはみんな、
やりたいことに対して「時間がない」「仕事休めないからできない」「もう年だし今更」と、いつもできない理由を探して挑戦しない人たちばかりでした。

私の前向きな挑戦を否定しないで、やりたいことやらせて、だって私の人生じゃん。

やりたいことを自由にやる、それは私の信条といえるものだということも、この旅をきっかけに気づきました。

「1人でバイクで名古屋から」が出会いのきっかけに

北海道でのバイク1人旅では、今まで地元をツーリングしていただけでは得られなかった「人との出会い」がたくさんありました。その中で特に印象深かったことを紹介していきます。


【旅好きで活発なおじさん】

名古屋港フェリーターミナルでバイクの乗船開始時間まで待機していたときに話しかけてくれました。

すごく旅好きな方で、旅先で出会った人の写真を撮っていました。それがきっかけでいろいろな人との会話も生まれて、人の数だけ旅のストーリーがあることを感じられて、人生楽しそうって思いました。

「礼文島いいですよ、おすすめです」
「美瑛・富良野の北の国からのロケ地の温泉に入ろうと思ったら、水着女子2人が来て断念した」
「雪中キャンプ最高だよ」
「雪かき後のアイスは格別だよ」
「北海道にバイクで17回行ったよ。本州にはない規模の絶景がたまらないね」

こんなお話をスマホの写真とともに聞いていました。そしてこの一言にとても感銘を受けました。


「やりたいな、行きたいなって思ったら行動に移しちゃえばいいんですよ」

この言葉が本当にその通りだな、と思いつつ、私もそう言っていられる人でありたいな、と心から思った一言でした。

そして、この言葉通り行動し続けているおじさんがキラキラ輝いて見えました。

そしておじさんは仙台で一足早く下船。そのときおじさんから缶コーヒーをもらいました。

「お気をつけて、楽しんできてね、いい旅を」

名前も知らない女子にここまでしてくれるなんて、と胸が少し熱くなりました。

私も仙台で一時下船して仙台の街を少しお散歩しようと船の中を歩いていると、窓の外から自転車で颯爽と走るおじさんの姿が。

「ありがとうございます。おじさんも気を付けて、素敵な旅にしてくださいね」

と心の中でお祈りのようなお礼をしました。

もう会うことのないおじさんだけれど、大切なことを教えてくれて嬉しかったです。


たった一回の出会いがこんなにも温かくて素敵なものなんて知らなかった。


「これが旅の醍醐味なんだ!」って気づかされた経験でした。


またどこかで再会できたらいいな。


【シェルターを一緒に駆け上がった奈良のおばちゃん】

美瑛町の「白ひげの滝」を一眼レフで夢中に撮っていた時のこと。旅行ガイドのおじさんに話しかけられました。十勝岳が30年ごとに噴火していて、国が避難先としてシェルターを作ったことを教えてくれました。前回噴火したのが33年前なので、いつ噴火してもおかしくない、と言われて背筋がゾゾっとしたな…。

お時間あったらぜひシェルター登ってみて、と言われたので登ってみることに。私がシェルターの方に歩き出したら、同じくガイドさんの話を聞いていたおばちゃんも歩き出していました。

なんとなく隣に並んで歩いている感じになって、なんとなく私から「シェルター行ってみます?」と話しけて一緒に行く感じになりました。

シェルターは200段以上の階段になっていて、登り切る頃にはお互い息が上がりまくって大変でした。

「これ結構きついですね、まだ半分もある!頑張りましょう!」
「あともう少しですね、これ1人じゃ脱落してましたよ」

と言葉を交わしながら登るのは本当に楽しかった。


登り切った頃には「共に困難を乗り越えた戦友」という気持ちで心の距離がぐっと縮まっていたように感じたな。

シェルターの下りはとても楽ちんだった。
帰りの階段はスキーの話で持ち切りだった。(シェルター登った先に見えたのが雪山の十勝岳だったから)

おばちゃんが高校生のとき学校の行事でスキーをやったらハマってしまったこと。
子どもができてからはあまりできなくなったけど、スキーは本当に気持ちよくて楽しかったこと。
昔ゴンドラが止まって20分放置されて怖かったことなどなど。


おばちゃんが興奮気味に本当に楽しそうに話している様子がとても印象深かった。

階段を下り切ったら、おばちゃんから「記念撮影しない?」と言われて一緒に自撮り写真を撮った。

1人でいるときに誰かと一緒に階段上るのも、1人旅でこんなに誰かと盛り上がれるのも、自撮りをするのも、初めてのことだらけで胸がすごく高鳴った。

ありがとう、おばちゃん。写真大事にするね。

まさかお写真撮れるなんて思ってなかった!
楽しい思い出をありがとう



【プロの写真家の方】

私は一眼レフで写真を撮ることが好きだ。十勝岳望岳台で写真を撮りまくっていたら、「名古屋から来たの?カメラ習ってるの?」と話しかけられた。

「そうです、カメラはお遊びで撮ってるだけです」と答えたら
「習った方がいいよ、実は僕カメラの先生をしているの、名古屋で」と言われた。

え、え?と目が点になったとはこのことかな、と思った。

やけにカメラ習うといいぞ、と言われ続けたので、「新手の勧誘か?それとも詐欺師か?」なんて疑いの心が芽生えてしまった(本当にごめんなさい)

疑心暗鬼な気持ちはあったけど、北海道の話でとても盛り上がった。

ごはんこの辺りおいしいところはある?とか
バイクすごいね、名古屋から来たなんてチャレンジャーだね、などなど北海道やバイクの話でとても話が弾んで楽しかった。

私が就職先が北海道だと伝えたら、「カメラの学校に通うのは難しいか~、でも北海道で今紅葉見頃です!とかいろいろ教えてよ」と言われて名刺を渡された。

「ここに写真送ってもらえたら添削もしちゃうよ」なんて言われて私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思う。

まさか、プロの写真家の方とお会いできるなんて思ってもみなかった。

「一期一会」って言葉をそのとき思い出した。一度きりの出会いを大切に、という言葉。
だからこの出会いを無駄にしたくない、と思った。

後日談ではあるけれど、この出会いから半年以上が経った今でもこの方とは今も関わり続けている。
この方が講師をしているカメラ講座に勇気出して飛び込みで参加した。「一期一会」の出会いだったから。

それをきっかけに写真やカメラの知識をいろいろ教わったり、個別でごはんを食べに行くくらい仲良しになった。

今は北海道で社会人をしているけれど、名古屋に帰ってきたらうなぎでも食べに行こう!なんてお誘いもかかっている。

旅先での出会いからつながった人は生まれて初めての経験だった。しかもそれは自分で掴み取ったものだ、と思うと本当に感慨深い気持ちになる。


飛び入り参加した講座で撮った写真
こんな感じの写真、先生と出会ってなかったら撮れなかったと思う



【ローソンで話しかけられた北海道職員の方】

ニセコの羊蹄山を眺めながらローソンで朝ごはんを食べていたときのこと。やっぱり「名古屋から来たの?」と話しかけられた。スーツを着ていて誰かと待ち合わせをしているようだった。

羊蹄山を眺めながらのたらこクリームパスタは格別!


とても温厚な雰囲気のおじさんで笑顔がとても素敵だった。
そして、その言葉からたわいもない会話がとにかく楽しかった。(私が北海道の教員になるんですよ、って話したら僕も北海道の職員だよって言われて、何だか立場が似たもの同士で嬉しかったな。)

おじさんは私のバイクを見て、「バイク素敵だね、とても似合っているね」と言ってくれた。

「バイクってさ、ただ大きいだけじゃダメだよね、ライダーと一緒になってかっこよく見えるバイクって人それぞれだよね」

この言葉がとても印象深かった。
バイクの世界には「排気量マウント」というものがある。小さい排気量のバイクは大きい排気量のバイクから見下されるものだ。

私は250ccのバイクで決して小さいバイクではないが、大型バイク乗りからしたらマウントされる可能性もある。ましてや女が乗っているんだから、なめられる態度を取られることもある。私はそれで悔しい思いをしている人がいると知って、とても憤った経験がある。

だからこのおじさんの言葉は、そんなマウントを「似合う」という言葉で跳ねのけてしまう清々しさと人柄の良さを感じた。

そして別れ際に「僕たち友達になったね」と言っておじさんは待ち合わせていた人と車でどこかに行ってしまった。

胸がじんわり温かくなるのを感じた。友達だなんて、こんな嬉しいことないよね。本当にありがとう。



「あぁ、生きてるって感じ!」

ここまで印象深かった人との出会いエピソードを紹介してきました。(長文になっちゃった、ここまで読んでくれてありがとう)

すべてのエピソードに共通して感じたこと、この見出しの通り「あぁ、生きてるって感じ!」ということ。

もちろん人との出会い以外にも、広大な大自然との出会いや突然の天候悪化で痛い目にも遭ってきた。旅には予想外のアクシデントや辛い出来事も付き物なんだと思い知らされたこともあった。

でも、それらすべての出会いから感じた胸の高鳴りや内側から湧いてくるエネルギーが、私の人生を豊かに潤してくれると心から感じられた。

こんなきれいな虹にも出会えるなんて幸せ!



旅は私にとって人生そのものだ

結論として、私は何が言いたかったかというと、この記事のタイトルの言葉通りなのだ。

私は、人が幸せに生きられる条件として、「自分で決めたことを自分の力で進んでいくこと」だと思っている。

自分でバイクに乗ると決めた。自分で北海道に行くと決めた。1人でバイクで行くと決めた。お金も時間も自分で作り出して実現させると決めた。旅の行程も全部自分で決めた。

何もかも自分で決めた先には、思いがけない心を動かす出会いがたくさん待っていた。

自分で決めて進んだ道の先には、きっと幸せが待っている。それを心から強く感じられた旅になった。


つまり、私にとって、旅は人生そのものなのだ。


これからも旅をし続ける人生にしていきたいな、という大きな夢も生まれた。一歩ずつ、自分で決めて歩を進めていこうと思う。


 すべての出会いのきっかけになった「名古屋」ナンバー

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