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後悔しない人生をゲットできる「コンコルドの誤謬」という知識

わかっていても難しい「損切り」

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株式投資をしている方には、耳馴染みある「損切り」という言葉があります。購入した株の値が下がっても「いつか上がるかも」と考え、売らずに放置する(今、わたししています。ある銘柄が-16%になっている)ことを「塩漬け」と言います。塩漬けにせず、売ってしまうことを「損切り」と言います。上がらぬ株を見切って、損をしてでも他の銘柄の購入などの投資に切り替えるわけです。これが難しい。難しい理由は、わたしたち人間は損が大嫌いだから。


「コンコルドの誤謬」とは

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まず損が嫌いな理由を説明したかったのですが、少し長くなるかもなので、さきにタイトルの「コンコルドの誤謬」を説明してします。誤謬は、「ごびゅう」と読み、「間違い」という意味。間違ったままそれに気づかない、そういうニュアンスがあることばです。英語だとFallacy。

コンコルドは、超音速で飛ぶイギリスとフランスで共同開発した旅客機。コンコルドは、開発段階で、「これは、完成しても赤字になる」ということがわかっていました。しかしそれまでに多くの資金と時間が費やされています。それがゆえに開発を停められずに1970年に運行が開始され、2003年に飛行が終了しました。詳しくは、250機売れれば採算ラインに乗る予定が、コスパの悪さに16機しか製造されないで終わるという内容でした。

このコンコルドの好例としてコンコルドの誤謬と呼んでいるのは、人の

それまでの投資を惜しみ、投資がやめられなくなる傾向

です。別名、サンクコスト効果(Sunk cost effect)とか埋没費用効果と呼ばてています。

コンコルドの誤謬の例

卑近な例として、パチンコなどのギャンブルを挙げることができます。パチンコをはじめてみると調子がよくすぐに3万円相当の勝ちに恵まれました。もう少しやればもっと勝てるかもと思いきや、負け続け、気がつくと1万円ほど負けている状態になりました。このとき、「せっかく勝っていたのに」などという気持ちからやめられなくなるのがコンコルドの誤謬です。勝っていなくても起こりますが。継続するとさらに損失が増える状況でも、人はそれまでの投資を思い、行為を中断できなくなります。この不合理な判断をバイアスというので、このコンコルドの誤謬もバイアスの1種です。

他には映画。映画に1900円払い観はじめたとします。しかし一向に面白くありません。しかし「せっかく1900円払ったのに」という思いで最後まで観てしまいます。これもコンコルドの誤謬です。実は、途中で面白くないと気づいた時点でもまだ回収できる資源を持っていました。それは「時間」です。最後まで観ることで貴重な資源である時間をさらに損失してしまっています。

これは多くの場面で発生しています。テーマーパークにたどり着いたものの雨が降ってしまい、でも「せっかく来たのだから」と考えて、雨のなか歩きまわり、風邪をひくのも、貢ぎまくった相手に脈がないとはっきりわかっても諦められないのもコンコルドの誤謬です。恋愛の場合は、他の強力な動因が関わってくるので、「それすなわち」と言えるわけでもありませんが。


コンコルドの誤謬への対処法

いわゆる損切りが対処法なのですが、冒頭で書いたとおり難しい。それをいくぶん容易にするのが、この思考法です。

今からできるベストな選択を考える

です。サンクコストとは、埋没費用と翻訳されているように「すでに沈んでしまった費用」という意味なんですが、それを一旦思考から追い出します。そして今からできるベストな行動の選択が何かを考える。コンコルドなら開発をやめることでした。何億ドルを投資していたとして、更に損失するよりはそこで打ち切るほうがベターです。甘言に弄されて壺を買ってしまったとして「あ、間違えた」と思ったらコミットを中断したほうがベターです。映画なら「つまらない」と思ったら、映画館を出て、散歩するなり、漫画を読むなり、別の映画を観るほうがベターです。自分の時間を好きなことに投資できます。株ならまた有望株を探して投資しなおせます(わたし、できてませんが)。


コンコルドの誤謬は組織で起きやすい

個人なら上記の対処法でうまく乗り切れるコンコルドの誤謬は、組織となると難しくなります。ステークホルダーが多いため、決定を翻すのに乗り越えるべきハードルが多くて高いためです。これ、じつはプロジェクトの失敗の原因によくなっています。ゆえに、もしあなたがプロジェクトリーダーならプロジェクトを始める前に「このプロジェクトの設定がそもそも間違っていないか」という精査を先にしたほうが良いんです。任命されたからやる、ということでは、失敗にひたすら走り、ブレーキが効かなくなる電車に乗るようなものだから。

ゆえに企業全体で、なんならリーダーや経営者が率先して「コンコルドの誤謬」という武器になる(防具になる)知識を組織でシェアしていったほうが良いでしょう。そうすれば「これってコンコルドの誤謬なんじゃないですか」というブレーキを発することも聞くことも可能になってきます。


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