短歌 夏の新作8首 『冬のすいか』
令和初めての夏も、終盤に差し掛かりましたね。
変わらないことで得られる安心感。
変わらないことで募るマンネリズム。
それでも今日という日を生きられることに感謝して、明日という日がやって来るのを待っている。
そんな日々感じているモヤモヤを、8つの短歌で表現してみました。
タイトルは『冬のすいか』。
夏だけど。
僕が所属している短歌結社「短歌人」の同人誌では毎年8月に、若い会員が腕を競い合う20代30代特集が行われていて、今年はこの連作で参加しました。
先月発売したばかりの第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文を書いてくださった、295の短歌で綴った物語です。
『冬のすいか』 鈴掛真
幸せに慣れてしまっていつからかぜんぜん苦くないカプチーノ
生きる意味なんて探していないからラムレーズンのアイス買ってきて
石鹸がやけに小さくなっていく洗う体をひとつ増やせば
君が鳴らす言葉の形を知りたくて冷蔵庫に貼るホワイトボード
甘すぎて今に破れるクレープの緊張感で僕らは暮らす
つらいときだから笑っていてほしい冬に売ってるすいかみたいに
もし僕がいなくなったら何色に枕カバーを君は濡らすの?
今日という次元を終わらせるための歌を唄おう「おやすみ」「おやすみ」
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