短歌 新作8首 『男友達』
知り合い、先輩、後輩、同僚、友達。
固定された関係性を、揺り動かしたくなるときがある。
あるいは、知らぬ間に形を変えているときもある。
いずれにしても、できるだけ美しい形であったならいいなと思う。
そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
男友達
大人だから傘はお互い持っていて相合傘にならない夕立ち
東京の人とは違う抑揚で君が語らう夢を聞きたい
助手席のシートの位置で確かめる君の恋人の脚の長さを
「送るよ」と笑顔で君は今夜泊めてくれない旨を突き付けてくる
下道で行ってくれれば少しでも長く隣にいられたのにな
抱いたことなんてない男友達の顔して君はハンドル握る
うやむやにして手を振ったツッコミが不在の漫才コンビのように
恋人になれないのならせめて僕の好きな曲を好きになってね
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